生き返った弟...涙の初対面
愛する弟が突然、事故により脳死判定を受けた。
深い悲しみの中、ある依頼が。
それは弟の顔をドナー提供してほしいという依頼だった。そして感動の結末が。
"銃の暴発事故で顔を失った男"
1974年アメリカ・バージニア州で生まれたリチャード・ノリスは、
温かい家族に恵まれ、幸せに暮らしていた。
しかし、22歳の時に悲劇が起きた。
それは...銃の暴発だった。
奇跡的に一命をとりとめたものの、顔の半分を失ってしまったリチャード。
30回以上にも及ぶ顔面再建手術を行うが、それには限界があった。
呼吸はかろうじてできたが、食事は胃につないだチューブを通してのみ。
顎や舌も損傷していた為、話すこともできなかった。
何より耐えられなかったことは変わり果てた顔。
常に顔を隠すマスクをつけ、誰とも関わらず人目を避け隠れるように生きていた。
そんな生活が15年続いたある日、大きな転機が訪れた。
それは顔面移植の提案だった。
ロドリゲス医師によるとこの手術が成功する確率は50パーセント。
もし、失敗すれば命を...落とすこともあるという。それは命を懸けた手術の提案だった。
"脳死となった青年の顔を移植"
一方その頃、メリーランド州ボルチモアにジョシュア・アバサーノという青年がいた。
ジョシュアはこの時21歳。明るい家族に恵まれ、その中心にはいつもジョシュアがいた。
しかし突然の悲劇が彼を襲った。
ジョシュアは交通事故で脳を激しく損傷。下された診断は脳死だった。
脳死とは、回復の見込みは無いが、まだ一部の臓器が機能を果たしている状態。
あんなに元気だったジョシュアが脳死...家族は受け入れられなかった。
そんなときとある医師がジョシュアの家族の前に現れた。
その医師とは、顔を失ったリチャードの主治医、ロドリゲス医師だった。
彼がジョシュアの家族に伝えたこと...それは脳死のジョシュアに顔面移植のドナーに
なってほしいというものだった。
実はジョシュアの骨格・血液のタイプは顔を半分失ったリチャードのものと一致していた。
急な依頼に戸惑う家族だったが、脳死となってしまった息子の顔が誰かを救う事に
なるならばと、ドナーを承諾した。
そして2012年3月、顔面移植手術が行われた。
脳死のジョシュアの髪の生え際からおでこ、さらに眉、鼻、あご、額から鎖骨付近までを切り取りそれをそのままリチャードの顔に貼り付け組織をつなぐというもの。
36時間にも及ぶ手術。その結果、リチャードは見事に移植に成功した。
頭や目、耳以外は脳死のジョシュアの顔で再建された。
一方、ジョシュアの姉レベッカは、複雑だった。
その成功を知って「弟に会いたい」と思うようになっていく。
そして手術から3年後、ついにリチャードとレベッカの対面が実現した。
レベッカにとって3年ぶりに触れる弟の肌。最愛の弟に会えた、そんな気がしたという。
そして顔面移植手術から5年の現在。今も元気に暮らすリチャード。
なんと食事を美味しく食べられるまでになった。
以前はわからなかった味や臭いを感じるという。
そして弟の顔をドナー提供した姉・レベッカさんとは現在も連絡を取り合っている。
その特別な関係はこれからも続いていく。