放送内容

2017年2月22日 ON AIR

はたきで鳥アレルギーに

仏壇店で働く真面目な青年が、あるアレルギーで会社を辞めることに。
彼は、常に危険にさらされていた!


人混みはもちろん、外を歩く時も...
身近にある意外な物でのアレルギー反応。その正体とは!?


"突然、謎の咳が止まらない"


2004年4月、男性は大学卒業後、都内の仏壇店に就職。
1人暮らしで、部屋は散らかり放題。
男性の勤務態度はマジメで客からの評判も良かった。


しかし入社して6年が過ぎようとした頃、体に異変が起き始める。
なぜか咳が出る。それから何日も咳は続いた。


実は男性は以前病院でハウスダストとダニに反応する咳喘息と診断されたことがあった。
部屋が汚いせいだと思い、徹底的に掃除。
そして奮発して羽毛布団を購入した。


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部屋も綺麗にしたので、これで治るはず、と思っていたが...咳はさらに悪化。
ホコリが原因ではないとしたら食生活なのか?
そこで、野菜などを多く摂るようにしたが、咳はいっこうに治まらない。


そんな体調のまま時は過ぎ、2013年11月。
突然、高熱に見舞われた。


熱を測ると、なんと40度もある。
命の危険を感じた男性はすぐに病院へ。点滴をうけ、熱は下がったが咳は止まらない。
詳しい検査を受けると、間質性肺炎と診断された。


間質性肺炎とは、肺の中にある肺胞の周辺などに炎症が起こった状態。
炎症が続くと肺全体がかたくなる。その結果、肺の膨らみが悪くなり、
十分な呼吸ができなくなる。


原因は明らかなものと、そうでないものがある。
原因が分からないものは特発性間質性肺炎と呼ばれ、難病の特定疾患に指定されている。
間質性肺炎は進行すると 死に至る事もある病なのだ。


彼の場合も原因が不明だった。
その後、呼吸器専門の医師に診てもらうと、
医師は、血液検査の結果からある事に気付く。
それは間質性肺炎の原因はアレルギーかもしれないという事。


原因を特定させる方法として吸入誘発試験というものがある。
それは、疑いのあるアレルゲンを吸入し、症状が起こるか確かめるテスト。


危険性もあるため必ず患者に検査の必要性やリスク等を説明し、同意してもらってから行う。
そして、医師が疑っていたアレルゲンを吸ったその夜。
男性は42度近くの高熱が出た。


そして、ついに原因が特定される。


"真の原因は仕事中に使用していた『アレ』"


その原因は、なんと「鳥」だった。


鳥関連過敏性肺炎。
鳥の羽やフンに含まれるタンパク質を吸引することで、肺に炎症を起こす
アレルギー性の肺炎。


鳥関連過敏性肺炎は、鳥を飼ったり、羽毛布団やダウンジャケットなどの羽毛を使った
製品を使用したりすることで発症する。


もちろん全ての人が発症する訳ではない、比較的珍しいアレルギー。
ちなみに鶏肉を食べても発症の心配はない。
この病気では鶏肉は、アレルゲンにならないからだという。


生活環境改善のために買ったはずの布団が、逆に症状を悪化させていたのだ。
それにしても男性にはわからないことがあった。羽毛布団にする前から咳の症状はあった。


そんな疑問を残しながら、男性の鳥アレルギーと知ってからの生活は大きく変わった。
鳥のアレルゲンの大きさはかなり小さく、一般的なマスクはあまり効果がない。
横の隙間などから簡単に入ってしまう。


冬の間、電車でダウンジャケットを着た人に近寄れない。
さらに...鳥のフンが近くにあっても咳は出る。


何処へ行っても、危険と隣り合わせ。
しかも、なぜか鳥を飼っているわけでもない仏壇店での勤務中にやたら咳が出る。


そして全てのナゾが解ける。
上司に仏壇の掃除の指示を受けて手にしたものを見て気が付いた。
鳥の羽根でできているハタキ!実はこのハタキが咳の原因だったのだ。


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入社当初は咳をしていなかったが、途中から咳が出るようになった。
それは使い続けた羽根のハタキによって、男性の体内で抗体ができ、
鳥アレルギーを発症したから。


さらに羽毛布団を使用した事で 症状は悪化していた。
それから男性は なるべく外出の多い仕事場に配属してもらった。


しかしミーティングや事務作業などもあったので100%改善とはいかない。
そのため、2016年9月に男性は退職することになった。


身近な物が引き金となり、思わぬ形で発症するアレルギー。
咳が長続きするようであれば何かのアレルギー...なのかもしれない。

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