マニラ空港のワナ
空港で濡れ衣を着せられ、逮捕されてしまう。
そんな恐ろしい事件が世界中で起きている。
いわれなき罪で多くの人が逮捕される事件が頻発していた。
そのうちの1人、アメリカ・フロリダ州に住むリーン・ホワイトさん。
壮絶な恐怖を体験したという。一体彼に何が起きたのか?
2015年フィリピンの首都マニラにあるニノイ・アキノ国際空港。
観光やビジネスで年間約3600万人もの利用客がある。
リーン・ホワイトは父マイケル、義母のエロイザと共にマニラに降りたった。
フィリピンは義母の母国。
ここから国内線に乗り換えマニラの南、パラワン島へと向かう予定だった。
乗り換えの際には改めて手荷物検査を受ける必要がある。
するとX線検査で何かが反応した。バッグを開けると...なんと銃弾が!
本人はなんでこんなものが入っているのか分からない。
マイアミから飛行機に乗る時も手荷物検査は受けており、特に問題はなかった。
乗り継ぎ便の出発まで数時間は空港のロビーで待っていた。
一度トイレに立ったがその間は親が荷物を見ていたし、
それ以外は、荷物から目を離さなかったはず。
自分でもなぜこんなことが起きたのか整理がつかないまま
リーンは空港の保安職員のほか警察官も加わり細かく事情を聞かれた。
とにかく全く身に覚えがない。
すると警察官は信じられない事を言った。3万ペソ(約7万円)支払えば見逃すという。
警察が自分たちをハメたのでは、と疑ったリーンは支払いを拒否。
こうして彼は「無許可で銃弾所持」の疑いで逮捕された。
実はバッグから銃弾が発見される事件が2015年9月頃から急激に増加し、
その数なんと107件。しかもこれは逮捕されたケースのみだった。
つまり金を払ってこの場で解放されるなら、と要求に応じた人も数多くいたはずと推測される。
その後リーンは6日間留置場に拘束され、4万ペソの保釈金を払いようやく釈放された。
だが、容疑が晴れたわけでは無いためフィリピンから出られない。
"同じ被害者の告発で事態は急展開"
しかし、事態は、ある女性がSNSに書き込んだことで動きだす。
リーンと同様の被害を受けSNSに被害内容を書き込んだアメリカ人女性がいた。
彼女も、同様の手口でお金を払ってしまったが腹の虫がおさまらずSNSに投稿。
すると、すぐに世界中のメディアがこの事を大きく取り上げた。
SNSに投稿した女性も、取材を受け被害を世間に訴えた。
すると続々と被害にあった人たちが現れメディアに出まくった!
被害者の中には日本人もいた。
東京に住むこの男性はマニラに観光で来ていたがその帰り現金の要求を拒否すると、
逮捕されたのだという。おそらく日本人の被害者はもっといたと思われる。
このような報道が連日行なわれ、フィリピン国内は大変な大騒ぎになった。
弁護士団体も立ち上がり被害者の救済に乗り出した。
そして、逮捕から約3か月後の12月7日。リーン・ホワイトは証拠不十分で無罪が確定。
さらに逮捕された日本人もその後証拠不十分で無罪になった。
ここにきて、ようやくリーンの事件にかかわったとされる警官3人と空港職員の2人が
証拠捏造や恐喝の容疑で書類送検された。
しかし、最終的には全員が不起訴。
監視カメラの映像には銃弾を仕組んだり、恐喝した事を裏付ける場面が
確認されないためだった。
真相が解明されないまま幕引きとなったこの事件だったが、
その後、フィリピンのドゥテルテ大統領が動いた。
ドゥテルテ大統領は、犯罪者に対し厳しい処罰をくだす過激な政策を行っている。
この事件に関してもニュース番組で、不正を働いた空港関係者は
即刻刑務所送りにすると言及した。
これらが要因となり、現在事件は無くなったという。