トップモデル...首の痛みで謎の急死
34歳の人気モデルの死。その原因はなんとカイロプラクティックだとされた。
テレビもネットもその話題で持ちきりに。施術をしてからわずか8日の死だった。
"カイロプラクティックを受ける"
2016年1月25日。アメリカ・ロサンゼルス。
ケイティ・メイは、7歳の娘ミアを育てるシングルマザー。
そして彼女はアメリカの一流誌の紙面を飾るトップモデルだった。
この日、彼女は首を痛めていた。
数時間前...彼女の自宅で撮影が行われていたのだが、
カメラマンの要求にこたえ首をひねった時、痛みを感じた。
我慢できない痛みではない。ケイティはその後も撮影を続けた。
一晩眠れば良くなるだろう...ぐらいにしか考えていなかった。
それが、悲劇の引き金になろうとは。
翌朝...首の痛みは相変わらずだった。
そこでマネジャーにカイロプラクティックを薦められたケイティ。
1月27日。ケイティは、自宅近くでカイロプラクティックの施術を受けた。
カイロプラクティックとは、1895年にアメリカで生まれたもの。
投薬や手術はせずに、独自の技術をほどこす。
いわゆる「マッサージ」と似ているが、
マッサージは皮膚表面に押す、揉む、さするなどの刺激を加えることで、
血液などの循環をうながし、筋肉のコリをほぐす...というもの。
一方カイロプラクティックは、脊椎や体の各部の歪みを矯正することで
痛みの軽減や、自然治癒力の向上を目指すもの。
発祥の国であるアメリカでは、国家資格として法制化されていて、
専門大学で4200時間以上のカリキュラムを修了した者に、
D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)という学位が与えられ、
さらに州ごとに定められたライセンスを取得した者だけが人に施すことができる。
ケイティの担当ももちろんライセンスを持つカイロプラクターだった。
担当のカイロプラクターはケイティの症状を確認し、
首を回旋させるように動かした。
ケイティはそれほど効果は感じなかったが、これで回復するだろうと思っていた。
だが、翌日も痛みは取れなかった。
まだ疲れが残っている。そう思って、体を休めることに専念した。
しかし実はこの時、彼女の体には恐ろしいことが起こっていた。
"再びカイロプラクティックへ"
実は一刻も早く病院へ行くべき状態だったのだが、
また、カイロプラクティックを選択したケイティ。
この日も前回と同じように、首を回旋させたり...それを30分ほど受けた。
しかし首の痛みは取れず頭痛もひどくなる一方。
それでも病院には行かず、もう一度カイロプラクティックの施術を受けることに。
2月1日、この日念入りに受けたのは、
首を引っ張ってのばし、間隔の詰まってしまった骨の矯正をはかる処置。
そして最悪の事態が起こる。
8時間後...頭が割れるように痛い。さらに手足にはしびれも。
言葉もうまく話せなくなっていた!
彼女の体に何が起きたのか?
首の骨に沿って走る椎骨動脈は脳に血液をおくる重要な血管。
ケイティはいつの段階かはわからないが、この血管に損傷を負っていたと思われる。
三層構造になっている血管の壁に裂け目が生じて、そこに血液が流れ込む、
椎骨動脈解離と呼ばれる症状。
血流が悪くなり、血栓が出来て、それが脳で詰まり、脳梗塞をおこしていた。
ひどい頭痛はそのサインだったが、それに気づかず首をねじる、引っ張るなどの刺激を受け続けた。
ケイティはかけつけてくれたマネジャーの車で病院に運ばれた。
すでに意識はほとんどない状態だった。
椎骨動脈解離は血管が破れるまでになっていた。
損傷した動脈を修復する手術も行って脳への血流の回復がはかられたが、
意識は戻らなかった。
2月3日。連絡を受け故郷ピッツバーグから駆けつけた両親は「脳死」と言う
残酷な宣告を受けた。
2月4日。兄弟や友人もかけつけた中、
回復の見込みはないとして家族は生命維持装置を外すことに同意。
カイロプラクティックを受けてからわずか8日、34歳の死だった。
今回仰天スタッフは彼女の検死報告書を入手した。
そこに「カイロプラクティックによる施術」が原因としてあげられている。
それでも、今回の件は非常にまれな事故であるとし、
カリフォルニア・カイロプラクティック試験委員会は、
現在までのところ、担当したカイロプラクターに処分は下していない。
カイロプラクティックの主な目的は、そもそも怪我などの治療ではなく、
自分の体が持つ能力や機能をベストな状態に調整することである。
ケイティのようにその施術を受けてはいけないケースもあるのだ。
34歳であまりにも早すぎる死を迎えたケイティ。
施術を受ける側も首の痛みには注意を!