チアリーダー...スポーツを彩る華やかな存在で憧れの的。
一握りの選ばれた者しかなれないチアリーダーはまさに学園のクイーン。

去年、カナダに住む1人のチアリーダーが注目を浴びた。
フィービー・チェジネロさん16歳。
長い手足に抜群のスタイル。そんな彼女にはある秘密が...

実は彼女、ある日ある出来事をきかっけにイジメの対象となっていた。
好奇の目でみられ...からかわれる毎日...。

そんな中、彼女はチアリーダーテストに挑戦した。
チアリーダーはこの学校でも花形であり、生徒たちの憧れの的。
しかしフィービーのおかれた環境ではとっても無謀な挑戦だった。

練習はしてきたとはいえ素人同然...受かるはずもない。
それ以上に、彼女にはとんでもないハードルがあった。
ヒドい言葉を浴びせられ、いじめられたがフィービーは諦めなかった。

毎晩のように練習を重ね、トライアウト3回目にして
念願のチアリーダーに合格した。

しかし、本当の苦しみはここから...
チアのチームメイトはフィービーと同じ場所で着替えるのを嫌がった。

長い髪、抜群のスタイル。チアの衣装を颯爽と着こなす彼女だが、
実は彼女...元々は男性だったのだ！
あどけない少年が学校のクイーンへ！その道のりとは...

"小さい頃から体と心のギャップに苦しむ"

2000年、カナダ オンタリオ州
出生時につけられた名前はクリスチャンだった。

両親は幼い時に離婚。母親と、3歳上の兄と3人での生活。
クリスチャンは幼いころから自分を男の子だと思った事はない。
だから遊び相手は常に女の子。

そして...かわいいと言われることが大好きだった。
小学校に入ると男の子のような立ち振る舞いを求められるクリスチャン。
しかし女の子への憧れは日に日に大きくなるばかり。

そしてスカートも穿かせてもらえないことから、こんな行動に出る。
なんと化粧をして登校したのだ。もちろん母親には怒られた。

自分はなぜか男の子のようにしなければいけない。
心は完全に女なのに。

こうして、自分の気持ちを隠して成長。その生活は苦痛の連続だった。
特に嫌だった事が...学校のトイレ。男子のいる前で立ってする事など耐えられない。

着替えも...裸を見られるのが恥ずかしい。
親にも言えず、女性の心を持ち心と体のズレに悩みを持ち続けた。
しかしそれも限界となり、13歳である決断をする。

"母の協力の元、女性として生きる事に"

女性として生きていく。それは、母へのカミングアウトだった。
ショックは大きかったが我が子の心を知りたい、と母は必死に調べた。
すると...トランスジェンダーという言葉に目が留まった。

トランスジェンダーとはLGBTという性的マイノリティの中の一つ。
身体の性と、自身が認識している心の性とが異なるため、自身の体に違和感を持つ。
恋愛対象が男性か女性かは問わない。

母はクリスチャンのその思いを理解する事に決めた。
その後専門医の診断を受け、性別を変え、名前もフィービーに変えた。

母は学校に相談。
わが子が女性として学園生活を送れるよう理解を求めた。
こうしてフィービーは「女性として」学校に通いはじめた。

学校ではイジメの対象となったが、
それでも、女性として生きていく事に喜びを感じチアリーダーの道を選んだ。

元男...それゆえの孤立と、イジメに耐える日々。
しかし努力を惜しまず徹底した食事の管理に、地道な練習を積み重ね、
練習後も毎日のように残って自主トレをした。

そんなある日の事。
足をくじいたチームメイトを助け、医務室へ連れて行くという出来事があった。
差別や偏見にも負けず努力家...そんなフィービーに心を開く仲間が増えていった。

こうしてチームメイトとの絆を深めていったフィービーは、
チアリーダーとして数々の試合で活躍した。

現在のフィービーさんは転校し、今の学校ではチアリーダーをやっていないという。
ウエディングプランナーを目指しているというフィービーさん、日々自分を磨いている。