理解不能!超キケンな通学路
中国南西、四川省にある集落。
地元の人は崖村と呼んでいる!
子どもたちは、断崖絶壁の通学路を心細い木の梯子を頼りに登る。
しかも、命綱なしで。
さすがに危ないということで
去年、ようやく梯子が頑丈な鉄パイプになったばかり。
ならばどれほど危険なのか、番組が仰天視察隊として実際に確かめる!
"視察予定の村が取材拒否に!"
東京から飛行機でおよそ5時間。四川省の中心都市、成都に到着。
視察隊という事で、この人を呼んでみた!
東京都知事、小池百合子...に扮した芸人、八幡カオル!
でも見た目がそれっぽくない。
なんと、カツラとメイク道具が入ったバッグが、手違いで違う便に。
どう見ても、ただのおばさん!
なので翌日改めて...小池百合子に扮しようやく視察に!
崖村は成都から車で、10時間。
見渡すかぎり崖に囲まれた道をひた走り...崖村に到着!
すぐに例のハシゴを発見した!
視察を始めようとしたところ、村の偉い人からロケはするなと止められた!
もちろん、取材許可は取っていたのに、なぜ?
実はロケ直前、中国の習近平国家主席がこの崖村の道の改善を指示したことで、
急にメディア規制がかかってしまったのだ!
仕方なく来た道を引き返していると、ガイドからある情報が。
なんと崖村は他にもあるという。
その「第2の崖村」は、最初の崖村のおよそ250キロ先。
車で更に7時間走り続けると、同じような景色が。
近くにいた人に聞いてみると、崖の上に村があり、
週に1回、小学校に行くのに村の子が下りてくるという。
ここは崖にある、いくつかの集落を合わせ、「崖村」と呼ばれるようになったらしい。
ちなみに小学校は10km離れた崖の下。
子ども達が毎日上り下りするのは危ないので、近くに寮があり、
週末だけ、崖を登って家に帰る。
"いよいよ崖村の頂上へ向けてスタート!"
そんな時、スタッフに話しかけてきたのは崖村の一番上に家があるという申さん。
申さんはロバで荷物を運ぶ仕事をしている。取材を快くOKしてくれた。
スタート地点の標高は557m。
ここから目指す、崖村の一番上はとんでもなく高い場所にある!
普通に暮らしていたらお目にかかる事のないような断崖絶壁に沿って登り続ける。
しばし進むと岩を削った道が現れた。いまにも崩れそうだ。
実は15年程前まで、この崖村も梯子での登り下りだった。
あの危険すぎる崖村が、これでも少しは改善されているのだという。
なぜ、そもそもこんな崖の上に住んでいるのか?
申さんによると、400年前、先祖達が他の民族との戦争を避けようとして、
いまの高い場所に住み始めたのが始まりだという。
つまり祖先が開拓した土地を愛し、不便ながらも守り続ける人々がいるという事。
登り始めて1時間。最初の集落に。
すると、小学生の子どもたちに出会った。
「この通学路は大変じゃない?」と聞くと、「いつもの事だから」とサラリ。
そんなこともありながら一行は一番上を目指し進む。
あと2時間で日が暮れてしまう。暗くなると進めない危険な場所もある為、とにかく急ぐ!
見れば足がすくむ、崖の下はかなりの急勾配。
計測するとなんと35度。
こうして、2つ目の集落に入ると、そこに意外なものがあった。
それは、大型のロープウェイ。
これで登ればよかったのか...と思ったら、まだ試運転の段階とのこと。
このロープウェイが繋がる先は、隣の崖。
隣の崖は車で上がれるため、物や人の行き来が超便利になるという。
そして...目指す崖の頂上は、まだまだ。
さらに危険な難所があった。すぐ右は断崖絶壁で道幅は50センチ。
この道を地元の人はスイスイ進んでいく。
登り始めて4時間半。ようやく一行は頂上へ。
この日は申さんのお宅にお世話になることになった。
"ついに頂上へ。崖村の生活とは?"
計測するとこの場所の標高は1343m。
つまり...麓からおよそ800m登ったということになる。
申さんが住む集落は、崖の端スレスレに家が集まり、19世帯112人が暮らしている。
四川省ではこれまで大きな地震が何度か起こっているが、この地域では大きな被害はない。
地元の人曰く、下にいるほうが、土砂崩れや川の洪水被害に遭うのでは?とのこと。
料理をしてくれるのは自称89歳の申さんのお母さんと奥さん。
ここでの調理は電熱コンロ。崖の下から送電線がこの集落まで届いているのだという。
ちなみにガスは通っていない。
肉や野菜などの食材はどうしているかと言うと、
豚などの家畜は麓から運んできて、家のそばで飼育。
野菜なども自分たちで栽培しているという。
米や加工品などは麓の町にまとめて買いに行くが、それ以外は自給自足。
そして生活用水はというと、水道ではなく湧き水や雨水をここよりもさらに
上の方から引き、各家庭のタンクに貯めて使っている。
そして夕食。料理はなかなか美味しい。
さらに勧められたのは...漢方に使われるクコの実を漬け込んだお酒。
89歳になる申さんのお母さんはこれを一日何杯も飲んでいるという。
一口飲んだ八幡は、激しくむせた!
そしてこの崖村の必需品が...スマホ。電波はバリバリ届くという。
結婚し、村を離れて暮らす娘一家とも、こうしてやりとりできる崖村の生活。
そしてリビングには、大きなテレビとDVDデッキなどの機器も。
19年前に電気が通って以来、標高1300メートルの崖村の生活は飛躍的に変わった。
ちなみにお風呂は電気温水器によるシャワー。
申さんの甥っ子は、下の小学校へ通っているという。
明日は彼らと一緒に崖を下りることになった。
"崖村から小学校へ。超危険な通学とは?"
そして翌朝。申さん達との別れを惜しみつつ子ども達と通学路へ。
しかし、子ども達は学校に遅刻するからともう出発していた!
追いかけること10分。子ども達は待っていてくれた。
ここからはランチェー君と、弟のシカン君に付き添い、
お母さんも同行で小学校近くの寮まで崖下り。
ちなみに荷物は寮にすべて置いてあるので、手ぶら。
崖すれすれの道を行く。どう見ても危険だが、子どもたちはいつもの道。
スイスイ進んでいく。
昨日4時間半も登った上、足への負担は下りの方が大きい。
スタッフも追いつけず、子どもたちとの差は開くばかり。
スキーのジャンプ台とほぼ同じ、最大傾斜を下りていく。
あとで聞いたところ、子どもたちはこの道をスタッフがいなければ
走って下りているとのこと。
こうして、下りは2時間で到着。
ふもとから学校までは車で20分ほど。
崖村の子ども達が通う小学校。
平日の間は、学校近くの寮で暮らしているという。
これだけ不便な場所で引っ越そうとは思はないのか?
お母さんは子どもたちの安全のためにも引っ越しを希望しているが、
崖の下のエリアにはあまり土地がないのだという。
一方で申さんは、上の方は空気がきれいだし、下にいなくても大体のものは揃うから、
このまま上にいたいと思っているという。
こんなキケンな通学路。
しかし、住む人にとってはかけがえのない故郷の道なのだ。