仰天探検隊!パート13
仰天探検隊では、これまで世界で一番寒い国や、
一生風呂に入らない美しい民族、とんでもなく暑い国などなど
様々な国をリポートしてきた。
でも、どんな国も意外と文明が入っていた。
しかし、今回仰天探検隊が行く「コロワイ族」の集落は、全くと言っていいほど
文明・文化が入っていない超原始的な場所だという。
それは赤道直下のジャングルにあった!
"謎の民族、コロワイ族の集落へいざ出発!"
向かったのは、赤道直下のインドネシア!!
日本からバリ島を経由してインドネシアの首都・ジャカルタへ。
そこから、国内線に乗り、5時間半。
到着したのは、ニューギニア島。
コロワイ族の森までは、さらに飛行機を飛ばす!
1時間飛んで到着したのは、デカイという町。
日本を出発してすでに30時間。
ここからは車。1時間ほど走ると大きい川が。
ガイドによると、ここからはボートで移動するという。
川沿いにあるいくつもの集落を見送り、途中の岸辺でトイレ休憩。
こうして川を下ること...なんと9時間!
ようやく着いたのは、マブル村という村。でも、ここはまだ文明がある。
コロワイ族についてこの村の人に聞いてみると、なんと、人を食べるという噂が!
人を食べる?いったいどういう事なのか?
この日はここで足止め。スタッフは村人の家に泊まらせてもらった。
翌朝。
コロワイ族の森に行くには、歩くしかない。すぐに、道は険しくなった。
探検隊は、ひたすらジャングルを突き進む!
過酷な環境で歩き続けること4時間。
森の奥から音。弓を持った人の姿が見える。
しかも、ほぼ素っ裸!
これ...実は日本からわざわざ取材にきたスタッフのために、
コロワイ語通訳のおじさんが仕掛けた歓迎の儀式。
しかし裸の男達に全く動揺しないスタッフ。
通訳のおじさんに冷静に集落に案内してもらった。
"暦の概念がない「コロワイ族」"
集落でまず紹介されたのが、リーダーのマルコスさんと奥さんのリビさん。
2人の年齢は分からない。
そして息子のソンニ君。
こちらも年齢ははっきりとはわからないが、5歳くらいだという。
末っ子のワッタ君は推定3歳。
彼らに暦はなく、年齢は誰もわからないのだ。
この集落では、30人ほどのコロワイ族が住んでいる。
本当に見る限り超原始的な感じ。
高温多湿な気候に適した、ほとんど裸スタイル。
男性は、ヤシ科の植物でできた、腰の飾りをつけているだけ。
女性は、木の繊維で作った腰みのをつけている。
それにしてもこの時代に、文明なしで生活できるのだろうか?
食べ物、家、その他どうやって暮らしているのか?
ちなみにコロワイ族は、みんなとっても小柄。
平均的なコロワイ族の成人男性と、身長158センチ60キロ超の仰天スタッフを比べると、細く小さい事がわかる。
集落に到着し、挨拶を済ませた所でまずはお宅を拝見。
コロワイ族の住まいは超すごいツリーハウス!
高さおよそ25m。だいたいビルの8階分。
すると5歳くらいのソンニくんが登り始めた。もちろん命綱などない 。
慣れた手つきで5分ほどすると頂上についた。
次はスタッフが、一応命綱をつけて昇る。
ハシゴの角度はおよそ75度、体感はほぼ垂直。
子どもが5分で登ったところを、スタッフは10分かけてようやく頂上へ。
ツリーハウスの中に入るスタッフ。意外と中は広く、およそ19畳。
丸太と木の皮でできた床には隙間がある。これは下の人との連絡用との事。
ハシゴと同じように木や葉っぱなどで骨組みを作り、防水性の高いヤシの葉で雨を防ぐ。
壁は木の皮で作られている。
強風で家が倒れるのを防ぐために、風が吹き抜ける構造になっている。
作り始めるとおよそ1か月で完成するという。
"コロワイ族「人食い伝説」の真実"
そんな天空の家であるものを発見。
そこにあったのは...骨。「人食い伝説」は、やっぱり本当なのか!?
マルコスさんによるとその昔、人食い伝説はあったのだという。
それは一体どういう事なのか?
マルコスさんが言うには、かつて罪を犯した人を罰するために
火あぶりにしたのち、食べてしまうという風習があったのだという。
現在はこの集落にも外の人が出入りするようになり、国の法律も浸透。
人食いの風習はもうない。
ちなみにさっきの骨は豚のもの。狩りでとった獲物の骨をこうして家に飾っていた。
ところで、そもそもなぜ高い木の上に家を作るのか?
それは森には悪霊がいると信じられているため、それを避けるためなのだという。
やはり本当に彼らは原始的な生活をしているようだ。
とはいえ、こんな高い家を毎回行き来するのは大変。
実はこの集落にはツリーハウス以外にも4つの建物がある。
コロワイ族の子どもたちの安全を考え、基本はこの建物で生活している。
もちろん電気、ガスは通っていない。
食事を作り、あかりを得るために、囲炉裏が作られている。
ちなみに囲炉裏の煙で、建物が燻されることで防虫効果や木材の耐久性が増すという。
では飲み水は?というと...近くの川を利用している。
生活用水が流れてこない、川の少しだけ上流で確保する。
コロワイ族はとってもおしゃれ。男女ともにピアスやネックレスで自分を飾る。
装飾品は動物の骨や植物でできたもの。
1番人気の素材は、犬の歯。
彼らにとって犬はとても神聖な存在。
犬が死ぬと、哀悼の意もこめてネックレスにする。
"コロワイ族の大好物「サグ」とは?"
そんなコロワイ族、食べ物はどうしているのか?
丸太を組み合わせて30分ほどで出来上がったのは、野ブタ用の罠。
これで豚を捕獲するという。
彼らは狩りの腕も超一流。
夜行性の動物を狙い、夜に狩りをするという。
肉は、煮込んだり、焼いたりと森からの恵みを感謝していただく。
一方、女性たちは、大きなヤシの葉の片側の葉っぱを織り込み網の様なものを作っている。
その網の中に入れるのは「アリの巣」。
実はこれ、川に沈めれば、魚を捕れる仕掛けとなっている。
川には魚も豊富。時には、スッポンもとれる。
意外と、食材豊富なコロワイ族のジャングル生活。
しかし、彼らにはもっと重要な食材があった!
森の奥へ進むこと45分、水辺のエリアにやってきた。
目の前に現れたのは、ここニューギニア島周辺が原産と言われている
「サゴヤシ」というヤシ科の植物。
すると、マルコスさんが小さい斧で大きなサゴヤシを15分かけ倒した!
今度は別の男性たちが、表面の皮をはぎ、
謎の道具を持った女性と子どもたちが合流し、何かを作っている。
実はこれ、コロワイ族の大事な主食づくり!
男性陣、女性陣が手分けをして主食づくり装置が完成した
なんだか「流しそうめん」のような感じにも見える。
そして、女性陣が砕いたサゴヤシを例の装置に入れた。
次に植物の葉を利用して、水を汲むと砕いたサゴヤシにかける。
水をかけては絞り...を繰り返すと、しぼり汁がたまっていき、
その底にはでんぷんが。
コロワイ族の主食というのはサゴヤシから採れるでんぷん「サグ」だった。
一本のサゴヤシから、集落30人、半月分の「サグ」が出来上がる。
炭水化物は、彼らのエネルギー源!
だが、更にスペシャルな食材がゲットできる場所があるという。
そこは2か月前切り倒したサゴヤシ。
その中にまるまる太った白いものがいた。これは「ヤシオサゾウムシ」という虫の幼虫。
腐ったサゴヤシの中で育っていた。
これがコロワイ族の一番のごちそうだという。
スタッフが恐る恐る食べてみると...皮が結構硬いがフルーティ!
柿みたいな味がしておいしい!
残りは、葉にくるんで大事にお持ち帰り。
ところでこのサグ、非常に保存性に優れている。
食べ方は、そのまま火に入れて...焼き目がついたら取り出して、焼けた部分をむくだけ。
味付けなどは一切ないが、大人も子どももサグが大好きなのだ。
"森と生き、森に生かされている人々"
たくさんの食べ物を与えてくれる、恵みの森。
子育ても、自然のまま。子どもの遊び道具は、森から得た自然素材。
女子は木の繊維を使ってあやとりも。
コロワイ族がいつも身に着けているバッグも森からの恵み。
川に生えている木の繊維を手で編んでいく。
色がついている部分は、木の実やフルーツで染めたもの。
軽くて伸縮性があるため、赤ちゃん用のゆりかごとなったり、
仕事中のママにとっては、抱っこひも替わりになる優れもの。
若い子に外に出ていく気はないのか聞いてみると、
なんと、ほぼ全員この森での生活を望んでいた。
そしてマルコスさんも同じ考え。
森で生きていくことを決めているマルコスさん。
しかし、子どもたちの世代には様々な可能性を広げてあげたいと思っているという。
マルコスさんの娘は現在、森を離れ、森から一番近いマブル村に住み小学校に通っていた。
森に戻るかどうかは、彼女次第らしい。
そのマブル村に住んでいるのもコロワイ族。
実はこの村、インドネシア政府がコロワイ族のために作った村だった。
国から援助が与えられ、町は整備され、電気も通っている。
森のコロワイ族は物々交換のためにマブル村をおとずれる。
森の生活と文明のある町の生活がすぐ隣合わせにあるコロワイ族。
取材最終日。コロワイ族が現地ガイドから何かをもらっていた。
それはなんとマラリアの薬。
実はこの地域、マラリアを媒介する蚊が生息し、コロワイ族も昔から苦しめられていた。
死を招く悪霊から逃れるために高い木に家を建てたというコロワイ族。
悪霊の正体は、マラリアを媒介する蚊なのでは...と考える人もいるとか。
森は恵みも与えてくれるが、その裏で人間にとって危険も多い。
集落にはもちろん、一番近いマブル村にも常駐の医師はいない。
彼らの寿命が決して長くないのも事実だ。
マルコスさんが森の中で穴を掘っていた。
これはサゴヤシを植えるための穴。サゴヤシを倒したら必ず新しく植え直すという。
何十年か後の未来のために。
森と生き、森に生かされているコロワイ族だった。