妹を見捨てなかった兄
2016年12月、
ウクライナ西部の都市、ザカルパッチャ州のウージュホロド。
この町で農業を営む、メブザ夫妻。
子ども2人は自立していたが...2匹の犬を飼っていた。
兄のパンダと、妹のリュシ。
保護施設にいたところを譲ってもらったのだ。
そんなある日...犬たちがいなくなった!
"怪我をした妹に寄り添う兄"
2人は近くを探したが...どこにもいない。
ついにその日、犬たちは帰ってこなかった。
実は2匹は...ある場所を動けずにいた!
そこは...線路の上!
妹のリュシが足にケガをし、ここから動けなくなっていたのだ。
12月のウクライナはとてつもなく寒い。
2匹は寄り添い、夜が明けても動けなくなったリュシの側を
兄のパンダは、離れようとしない。
しかし、そこへ列車がやって来た!
運転手は気づくのが遅く、列車を止めることができなかった。
もう犬は助かりはしないだろうと思いながらも、運転手が再びその場所に戻ってみると
なんと2匹は...生きていた!
すぐに運転手はレスキュー隊に通報。
現場にはレスキュー隊とともに、動物ボランティアが駆けつけた。
列車がやってくる時もケガで動けないリュシを守るかのように、
兄のパンダは、離れようとしなかった。
そして列車が通り過ぎるその時、列車が近づくと、
できるだけ体を低くして身を守っていた。
兄のパンダは、妹のそばで2日間も過ごしていた。
気温がマイナス10℃を下回る中、常に寄り添っていたことで助かったという。
救出の際に撮影した動画がネットで広まり、行方不明から4日ぶりに無事、
飼い主のメブザさん夫婦の元へ戻ることが出来た。
現在のパンダとリュシは、変わらず仲良く一緒に過ごしていた。
しかし、妹のリュシは列車の音を聞くと怖がるようになってしまったため、
メブザさん夫婦は、もう逃げ出さないように頑丈な囲いを作った。
あの出来事以来、2匹はすっかり甘えん坊になったという。