子どもたちが倒れたナゾのドリンク
2008年、東京都。とある場所で事件は起きた。
いつものように練習を終え、水分補給する子ども達。
すると...子ども達が吐き気や頭痛、めまいをもよおし苦しんでいた!!
しかも1人だけではなく、6人の子どもたちが同様の体調不良を訴え始めたため
すぐに病院へ向かった。
一度に数人が同じ症状だった事から食中毒を疑ったが、
子ども達は同じものを食べた形跡がない。
後日、保健所が調べたところ、驚くべき事実が判明した!
"子ども達を苦しめていた原因は...銅中毒"
その原因とは...銅のとりすぎによる急性銅中毒だった。
銅はレバーや牡蠣などに含まれ鉄分などと同じく体に必要な成分。
食品に含まれる銅は通常、口から入り胃と小腸で吸収されたのち肝臓に送られ、
タンパク質とくっつき、赤血球や骨の形成を助ける働きをし、余ったものは排泄される。
しかし、急激に大量の銅を摂取すると、胃や小腸で吸収する際に粘膜を荒らし、
腹痛や嘔吐を引き起こす。これが急性銅中毒の初期症状。
やがて肝臓も銅を処理しきれず、体内に銅が分散され、蓄積される。
脳に銅が溜まるとめまいやけいれん、そして肝臓に溜まると肝硬変などの症状を引き起こし、ひどい場合は、死に至ることもある。
では子ども達の体にいつ、どうやって大量の銅が摂取されたのか?
調査の結果、子ども達の飲んだ水筒の中が破損して銅が露出しており
それに酸性飲料のスポーツドリンクが反応し、銅を溶かしてしまっていた。
子ども達はそれを飲んで、中毒症状を起こしたのだ。
実はスポーツドリンク以外にも酸性の飲み物はオレンジジュースや乳酸菌飲料
炭酸飲料など、どれも銅を溶かす可能性がある。
現在、日本のメーカーの水筒は直接飲み物が触れる部分に銅を使っていないが、
古い水筒や一部海外製品には、注意が必要となる。
"意外な場所でも起こる急性銅中毒"
そんな急性銅中毒を引き起こした想像もつかない事件が発生していた。
それは、とある弁当店。
この店で弁当を買い食べた人たちが...次々と、銅中毒を発症した。
原因となったのは、なんと...焼きそば。
実はこの店では、普段は小豆を煮るために使っていた銅鍋で、焼きそばを作っていた。
そして、その鍋に入れてはいけないものを入れてしまった。
それはなんと、焼きそばソース。
焼きそばソースは酸性。そして、使用した銅鍋は、長年使用してきたことでたくさんの傷がつき、コーティングがはげ銅がむき出しになってしまっていた。
焼きそばソースを使うことで、銅鍋の表面に銅が溶け出したのだ。
焼きそばソースの他にも、ケチャップやマヨネーズ、酢なども酸性のため、
銅と反応しやすいので注意が必要。
厚生労働省によると、現在、銅鍋などの銅を使った調理器具や
食器などは原則、別の金属で全面メッキし、食べ物や飲み物と直接触れることが
ないよう処置しなければいけない。
しかし、金タワシなどでこすりすぎるとメッキが剥げ、銅が露出してしまうので
注意が必要。
さらに銅製の調理器具を使用する際は調理したものをすぐに取り出し、入れたままにしないなど銅製品の特性を踏まえた使用を勧めている。
銅中毒が疑わしい時は、十分に吐かせた後、速やかに医師に相談することをお勧めする。