日本に上陸した恐怖の殺人アリ
アナフィラキシーショックを引き起こす恐ろしい生物、
それが南米原産のヒアリ。
ヒアリの体長は2.5mmから6mmと米粒くらい。
しかしその毒性は非常に強く刺されると火傷のような激しい痛みが生じる。
僅か20分足らずで全身に発疹が現れることもある。
一度に多数のヒアリに刺されると呼吸困難に陥り死亡することも。
そんな恐ろしいヒアリがついに日本に上陸した。
今月16日、兵庫県の神戸港のコンテナヤードで発見され、
目視でおよそ100匹が群れていたという。
先月には尼崎市で中国から来た貨物船の積み荷からもヒアリが見つかっている。
実はこのヒアリ、2度刺されると激しいアナフィラキシーショックを起こす恐れがある。
そんな中、アメリカ・ジョージア州に住むジェニー・ポメロイさんが悲劇に見舞われた。
"睡眠中に刺され、意識不明に"
2013年7月。
一人娘は10年前に独立、ポメロイさんは夫と悠々自適の生活を送っていた。
この日、体調を崩したポメロイさんはリビングで休んでいた。
これがある悲劇を招くことになる。
普段から夫婦にはとても気にかけていることがあった。
それはヒアリの駆除。夫が定期的に殺虫薬を散布していた。
しかし、ここ最近は雨が多く、庭の手入れが中々出来ない日が続いた。
その為、夫婦の知らぬ間にヒアリの巣が出来ていたのだ。
そして最悪のことが起きてしまう。
室内に侵入したヒアリが、容赦なくポメロイさんの足を刺したのだ。
ところが熟睡していた彼女はその事に気づかなかった。
しばらくして...ポメロイさんは倒れた。
何かを察知した夫はアレルギー反応を押さえるエピペンの注射をポメロイさんに打つ
処置をしたのち911に通報。
すぐに病院に運ばれたが...ポメロイさんの意識は戻らない。
その後、彼女は脳死状態となり5日後、亡くなってしまった。
"過去に刺された人が持つヒアリアレルギーとは"
ポメロイさんが命を落とした原因というのが...ヒアリアレルギーと呼ばれるものだった。
ヒアリの毒にはタンパク質が含まれていてこのタンパク質に対して
激しいアレルギー反応を示す人が人口の1~2%いるといわれている。
ポメロイさんもその一人だった。
20年前、彼女は一度ヒアリに刺され病院へ搬送され入院したことがあった。
この時、ヒアリの毒がポメロイの体内に侵入、毒の中のタンパク質を異物とみなし、
抗体を作ってしまった。
抗体は肥満細胞と結合し次に刺されたときに備えていた。
そして再びヒアリに刺された時に眠っていたため、アレルギー反応を押さえる
エピペンの注射が遅れてしまった。
そのため抗体は激しく反応、血管を拡張させ、気道が塞がってしまった。
そして脳に酸素を送ることが出来ず脳死状態に陥り死亡したのだ。
ポメロイさんは20年もの間、ヒアリに刺されないよう細心の注意を払ってきたという。
10年前に一人娘のアンさんが結婚し、待望の孫も誕生。
亡くなったのは第二の人生を楽しみ始めた矢先のことだった。
南米原産のヒアリは1930年代にアメリカ南部に上陸。
1998年には西海岸でも定着が確認された。
全米ではヒアリが生息している地域の住人の3分の1が毎年ヒアリに刺され、
その内約100人がアナフィラキシーショックを起こして死亡している。
21世紀に入るとアメリカから遠く離れたオーストラリア、中国、台湾などで
相次いで侵入を確認、莫大な費用をかけて駆除しようとしたが、定着してしまっている。
環境省は2005年、ヒアリを特定外来生物に指定し、その定着を水際で防ごうとしていた。しかし今年、兵庫県の神戸港のコンテナヤードで発見されたのだ。
ヒアリはこのまま日本に定着してしまうのか?
万が一、定着するとヒアリは日本在来の蟻や昆虫を殺し、
その結果、生態系を変え、農作物などへの影響も出る可能性があると言われる。
万が一ヒアリが日本に定着するとヒアリに刺されることで、
命の危険にさらされる人は何と100万人もいる可能性があるという。