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ある事を探し続ける父
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今年5月、自転車でアメリカを縦断しようとする男性がいた。
名前はビル・コナー。
自宅があるウィスコンシン州からフロリダ州まで2200キロを走る計画だった。
なぜ彼はこんな挑戦をしたのか?
そのきっかけは1本の電話だった。
"最愛の娘が意識不明の重体に"
ビルには2人の子どもがいた。長男のオースティンに、長女のアビー。
数年前に離婚したため別々に暮らしていたのだが、その長男から電話が。
その電話は、長女アビーが意識不明の重体だという連絡だった。
ビルはすぐに病院へ駆けつけた。
すると、そこには生命維持装置をつけられた娘の姿があった。
長男の話によると、オースティンとアビーは母のジミー、
それにジミーの再婚相手の4人でメキシコ旅行を楽しんでいた。
そして、ホテルのプールにいたバーテンらしき人物から、酒を勧められたという。
それが原因かはハッキリしないが、2人は意識を失った。
幸い長男のオースティンは病院へ搬送中に意識が回復したが、
娘のアビーの意識は戻らないまま脳死状態になってしまった。
しかし、ビルはそれをすぐには受け入れられなかった。
そんなビルに医師から辛い宣告が...臓器移植のスケジュールを進めたいという。
実はアビーは16歳の時にドナー登録をしていたのだ。
移植するということはすべての可能性がなくなる。
とはいえ、脳死と宣告された以上、これは従わざるをえない。
そして愛する娘、アビーの体から心臓を始めとする4つの臓器が摘出された。
なんども理解しようとした。
しかし、父親には突然の死を受け入れられなかった。
なぜ娘は死ななければならなかったのか?
そしてある事を決意し、ビルは仕事を辞めた。
"娘のため、2200キロの自転車の旅へ"
それから4か月。
ビルは自転車で旅に出ることにした。
アビーという美しい娘がついこの前まで生きていた事をみんなに知ってもらいたい。
その思いだけだった。
こうしてスタートした自転車の旅。
ゴールは2200キロ先のフロリダ州。
その間、多くの人と出会い、最愛のアビーの事、そして臓器ドナー登録の必要性を語った。
旅をスタートしておよそ1か月。ルイジアナ州に立ち寄った。
実はここに来たのにはワケがあった。
ビルを待っていた1人の黒人男性。
すると...ビルは聴診器を取り出し、男性の胸に当てた。
聞いていたのは元気に動く心臓の音。
この男性こそ、アビーから心臓を提供された人物だった。
彼は心不全を患い、残り10日の命と宣告されていた。
そしてアビーから心臓を提供されたのだ。
この感動の対面が多くの人を動かすこととなった。
この出来事が注目されたことで臓器ドナーの登録者が5万人も増加。
アビーは戻ってくることはできないけれど、他の命を救いたい。
そう語るビルさんは今も突然亡くなった娘の生きていた証と、
なぜ命を奪われなければならなかったのか、その理由を探しながら必死に生きている。