放送内容

2017年12月19日 ON AIR

仰天探検隊!「アフリカの秘境であの仰天部族に潜入!」

11年前に放送された、とある番組の映像。その中に驚きの人々がいた!
それはアフリカに住むムルシ族。


よく見ると、唇に円板状のものをはめ広げている。
今もムルシ族はこんな大きな唇なのか!?


気になった仰天スタッフは日本から西へはるか10000キロ、
アフリカ東部、エチオピアまで飛んだ!


"ムルシ族は昔と同じままなのか?"


日本を発って18時間。エチオピアの首都アディスアベバ。
赤道に近くてもそこは標高2400m。


年間平均気温は約16度で、街を見ると...なぜか走る人が多い。
長距離走はこの国の国民的スポーツ。
これまでオリンピックのマラソンなどで22個の金メダルを獲得している!!


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そんなエチオピアで暮らすムルシ族に会いに行くため、
国内線に乗り3時間、アルバミンチという街へ到着。


ここからは車で見渡す限りの大平原を走ること6時間余り。
道沿いに延びる「オモ谷」へ。


この先、「オモ川下流域」は、アウストラロピテクスなどの骨が出土した遺跡と、
今も残る独自の文化が世界文化遺産に登録されている世界屈指の秘境!


日本を出発して丸2日。
仰天探検隊は、ついに集落へと到着した。


かつて唇にお皿を入れていたムルシ族。
果たして彼らは今でもその風習を守っているのか?


目の前に現れたムルシ族は...昔と同じ唇にお皿が!
模様入りで派手なおめかし。
なんとイボイノシシの牙を飾りに使っていた!


"伝統的なお皿の作り方とは"


ひとまず、村のえらい人...村長のニャマニさんのもとへ。
この人には唇のお皿も、おめかしも無い。
実はムルシ族の唇の皿は女性のシンボル。男性は付けないという。


茶目っ気たっぷりのムルシ族。
スタッフは唇の皿は取れるのか聞いてみた。


ムルシ族の女性がお皿を外すと、びっくり!彼女たちの唇は伸びたまま!
しかもゴムのような輪っか状に!
引っ張っても、痛くは無いらしい。


そして彼女たちには下の歯がない。
皿が当たらないように、歯は抜くのだという。


その皿を見せてもらうと、スマホほどの重さで土を焼いたもの。
側面には溝があり、滑車にロープをかけるようにつける。


お皿の名前はクリヘットという。
ムルシ族の女性は12歳から15歳の間に、下唇をナイフで切開し、
小さいクリヘットを入れ年齢に伴い、サイズもアップしていく。


ただし、このクリヘットを24時間常につけている訳ではない。
夜は必ず外し、食事の時も外すという。1日のうち外している時間の方が実は長い。
主に村の催しや街に出かけるときにつけるという。


その作り方を見せてもらった。
粘土をこねて、まず円盤状に。そのふちに程よい溝を作り天日干し。
丸一日しっかり水分を抜く。


乾燥したら炉端焼きのようにじっくりと焼き、
仕上げは、灰から作った顔料で色付け。


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美のシンボルは鮮やかな色が好まれアレンジも様々!
2日がかりで出来上がる。


"ムルシ族の生活に密着!"


女性は唇に大きなお皿をはめ、体中に飾り付けをしているムルシ族。
今も伝統を守っている一方で、驚くべき光景が!


なんと、ムルシ族の人々の手には携帯電話が!
それはやや懐かしいタイプではあるが、村の近くには電波塔が立ち通話も可能。
ただし、村に電気が通ってないため、少し離れた街に行った際に充電するのだという。


遊牧民のムルシ族は、ヤギや牛など家畜を売って生活している。
家のつくりは、木の枠組みに藁を被せ、壁と床は牛の糞で固めたもの。


入り口はわざと小さくしてある。
この辺りは、日中は暑く夜は冷え込むため、保冷・保温のために
どの家も入り口が小さく作られている。


外に出ると、それぞれの家の側には畑が。
育てているのはモロコシの実。
トウモロコシの仲間の穀物で、ムルシ族の主食となっている。


実際に調理の様子を見せてもらった。
乾燥させたモロコシの実を、ゴルと呼ばれる石の道具で細かくすりつぶす。
結構な重労働!


すり潰したモロコシの粉は沸かしたお湯に入れ、
水気がなくなるまでじっくり煮詰めると、やがてペースト状になっていく。
これが、「ダリ」という伝統料理。


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絞りたての牛のミルクと一緒に頂くのがムルシ族の毎日の食事。
弾力があり、しっかりしたパンに似ているという。
味は素材そのものだけの素朴な味だった。


翌日...毎朝女性たちの日課は、まずメイク!
鏡がないので、みんなで仲良く塗りあって少女たちもメイク合戦!


さらに、男女ともに身体を傷つけ模様とする、スカリフィケーションを行うのも伝統。
唇同様、耳にも穴を開け、輪っか状にする人もいる。


"伝統のお皿に隠された悲しい歴史とは"


そんなとってもおしゃれで、明るいムルシ族。
しかし実は唇のお皿には、ある辛い真実が隠されていた。


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今は唇にお皿を入れることで女性は美しいとされているが、
元々は自分を醜く見せるために始まったと言われている。


村長によると「奴隷貿易」が盛んだった19世紀ごろ、
この地の女性たちは唇に皿状の木片をはめ込み自分を醜くみせることで
奴隷にされることを防ごうとしたのだという。
ムルシ族のシンボルにはこんな命がけの歴史があった。


だが、その伝統も少しずつ異変が。
若い女の子の中には、唇にお皿を入れたくないという子もいる。


さらにエチオピア政府はムルシ族の風習を「危険なしきたり」だと考え、
禁止しようとしたこともあったという。


つらい歴史を力強く乗り越えてきた誇りでもあり、美の象徴でもあるムルシ族のクリヘット。
その伝統は近い将来見られなくなってしまうかもしれない。

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