放送内容

2017年12月19日 ON AIR

なぜ男たちは次々騙されたのか?

今年7月、ある女の死刑判決が確定した。
女の名は上田美由紀(43歳)。


上田美由紀の周りで6人もの男性が不審な死を遂げた、鳥取連続不審死事件。
そのうち2件が上田による殺人と認定された。


当時マスコミを騒がせた連続殺人事件。
男と金...そしてウソで固められた上田美由紀。


多くの男たちがなぜこの女に溺れ、あるいは騙され、
死ななければならなかったのか?恐るべき連続殺人事件の全貌とは?


"水死体で発見された被害者"


被害者の1人、圓山秀樹さん当時57歳。
彼は上田によって殺された。


先月スタッフは鳥取市内に住む遺族に会う事が出来た。
圓山秀樹さんの長男・弘幸さんと二男・賢治さん。
今でも一生忘れたくない出来事だという8年前の事件を語ってくれた。


今から8年前、長男・弘幸さん、二男・賢治さんは建設会社を経営していた。
そこに、父の仕事を手伝っていた前田という男性から電話が。


昨日から父親の行方が分からないという。
電話を取った賢治はすぐに兄、弘幸さんに連絡。
そして...最悪の結果を迎える。


1時間後、前田が圓山秀樹さんの車を発見。
そのすぐ下にある川の中で...水死体となった圓山秀樹さんを発見したのだ!


事件など滅多に起きない静かな地域。
現場は浅い川。事故を思わせる外傷はなかった。


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刑事によると秀樹さんは自殺の可能性もあるという。
しかし息子たちにとって、自殺など考えられなかった。
そしてすぐにある女の存在を知ることになる。


行方不明になった日、父は上田美由紀という女に会いに行った事がわかった。
秀樹さんと上田とはいったいどういう関係だったのか?


"100万円以上の未払いがあった"


それは事件の1年以上前。
圓山秀樹さんは小さな電器店を経営していた。


そこへ1人の友人がやってきた。彼は圓山さんが電気工事で知り合った男性。
よく飲みに行くほど仲が良かった。
そんな友人が、自分の彼女だと言って紹介した女...それが上田美由紀だった。


それからしばらく音沙汰はなかったが、事件の2か月前のこと。
上田は突然、秀樹さんの店に現れた。
テレビを買い替えるために訪れたという上田は気前よく家電を計27万円分購入。


だが、上田は手持ちのお金がないので支払いを待ってほしいと言った。
秀樹さんと上田は特別な関係ではなかったが...友人と交際していた女性だったため、
上田を信じ、その場で支払いがないまま家電を渡した。


すると数日後...またも上田が現れた。
支払いに来たわけではなく、妹もテレビが欲しいのだという。
さらに一緒に来た見知らぬ男もテレビを購入。
この日も後払いすると言って商品を持ち帰った。


こうして上田は計53万円以上。
上田が連れてきた男は70万円程、合わせて123万以上が後払いとなった。


だが、期日になっても代金は支払われず、何度も催促した。
家にまで行ったこともあったが...払ってくれない。


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ところが、突然上田から代金を支払うと電話が。
秀樹さんはすぐに集金に出かけ、そのまま行方が分からなくなった。
そして翌日、変わり果てた姿となって発見されたのだ。


秀樹さんの司法解剖の結果、遺体から睡眠導入剤が検出された。
父親が睡眠導入剤を服用していたなど聞いたこともない。
息子たちは秀樹さんの死に深く関わる女...上田美由紀について調べた。


すると、聞こえてきたのはとにかく悪い噂ばかり。
さらになんと上田と関わる男性が数人亡くなっているという情報も。
上田美由紀とは一体どんな人物なのか...?


"関係を持つ男性が次々に死を迎える"


1973年、鳥取県倉吉市で生まれた上田。
どちらかと言うと目立たないタイプだったが、文集に書いた趣味は「あばれること」。
そんな上田は、若くして結婚・離婚を繰り返し5人の子を抱え生活をしていた。


仕事はカラオケスナックのホステス。
上田は男性の心の隙に入り込み、ハートを掴むのが天才的にうまかった。
聞き上手で、男を立てるのがうまい。そして...すぐに誘惑する。


時にはプレゼントで気を引き、仲が良くなると一日に何十回もメールや電話。
そんな上田に多くの男たちが溺れていった。


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男性のハートをつかむとこんなことを言いはじめる。


『もっと一緒に居たいなぁ。50万くらいあれば一緒に暮らせるのになぁ...』
『ガンになった親の入院費が結構大変で...こんな事話せる人、他にいなくて...』


こうして金をむしり取った。


金の使い道はただただ食費か生活費。
そんな上田の周りである出来事が起きていた。それが...男性たちの不審死。


会社員の42歳の男性はスナックで出会い、家族を捨て上田と同棲。
すると、その男性は職場関係者に金を無心するようになり
2004年、列車にはねられ死亡。自殺とされた。


その後、27歳の警備員の男性と同居を開始。
彼も2007年8月、海で溺れ死亡。事故死とされた。


さらにその翌年、スナックで上田と出会い交際していた警察官の男性も
2008年2月、山中で死んだ。自殺とされた。


いずれも事件性はないと判断されたが、わずか4年で上田に関わる3人もの男性が
相次いで死を迎えていた。


そして、警察官の男性が亡くなる直前、上田はある男と出会っていた。
その男こそ、後に秀樹さんの店で一緒に詐欺を行う人物だった。


"とんでもない嘘で男を取り込む"


この男も妻子ある身だったが、すぐに上田に心酔し深い関係に。
そして離れられなくなっていく...それはこんな会話があったから。


上田はこの男に妹のアケミを紹介したいと言ってきた。
その後、男は上田の妹アケミと連絡を取り合うようになった。
直接会う事はなく、やりとりは電話のみの関係。


するとある日、アケミから姉が妊娠をしたという連絡があった。
相手は自分だという...男は電話先のアケミの言葉に動揺した。


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アケミはその後も姉である上田美由紀の状況を逐一報告してきた。
子どもは1人ではなく3つ子であるという事。
妊娠の事を親に反対されて、自殺未遂をしたという事。


男は次第に追い詰められていった。
だが...アケミは上田が一人二役で演じる架空の人物。全てがウソだったのだ。


しかし男はアケミの存在を信じていた。
そして悩んだ末...男は養育費を払うことを提案。


すると上田は、子ども1人につき1千万円、全部で3千万円を要求した。
もちろん男にはそんな金などない。
男はやむなく家族を捨て、上田のアパートで同棲を始めた。


その後も上田は男に激しく金銭を要求するようになった。
借金までして1000万円以上も上田に渡していた。


だが、出産予定日を過ぎても生まれる気配はない。
男が上田に聞くと、数日前に薬を使って3つ子はおろしたのだという。


もちろん出産予定日を過ぎてそんなことできる訳などない。
だが、正しい判断が出来なくなっていた男はまたも上田のウソを信じてしまったのだ。


"2人を殺害したその手口とは"


やがて2人は金が無くなり、詐欺をするようになる。
それは...取り込み詐欺。
後払いで商品を手に入れ転売。金に換えた。


実は同じ時期、上田には他にも交際していた男性がいた。
男性はトラック運転手。そしてこの男性からもお金をだまし取っていたのだ。


そんな時に問題が起こる。
トラック運転手は金を返すよう上田に要求。
その額270万円。上田は追い詰められていた。
そして...ある行動に出る!


2009年4月。
上田はトラック運転手を誘い出した。


そして、コンビニでおにぎりと味噌汁、お茶を購入。
トラック運転手の車で海へ移動した。


しばらくして...上田は同居していた男に連絡をした。
男は指定された海岸へ...すると上田はなぜか海にでも入ったかのように
全身ずぶ濡れになっていた。


そして1週間後、その海岸から3.5キロの沖合でトラック運転手は遺体で発見された。
警察はすぐに捜査を開始。
すると...トラック運転手から睡眠導入剤が検出された。


一方、上田は殺人を犯した後も取り込み詐欺を続けていた。
そして新たなターゲットとして目を付けたのが...圓山秀樹さんだったのだ。


後払いで家電を大量購入し、代金の支払いを迫られた上田は再び行動に出た。


2009年10月6日。
「借金を返済する」と秀樹さんを呼び出した上田。


そして、この時も上田は同居していた男を呼び出した。
そこで、眠そうな秀樹さんを見たという。


上田がちょっと涼ませる必要があるからと車2台で鳥取市内にある摩尼川付近へ。
下の駐車場で待つように男に伝えた上田は秀樹さんと2人きりに。


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裁判ではこの時、意識朦朧となった秀樹さんを起こすと、車からつれ出し川へ誘導。
溺死させたとされている。


その後、駐車場で待機している男に連絡。
男が秀樹さんの事を聞くと、上田は「2人で話していたら急に殴られて
どこかに行ってしまった」と説明をしたという。
この時、上田の足元は濡れていたという。


"睡眠導入剤が事件解決への糸口に"


借金による短絡的であまりにも身勝手な犯行。
事件を追う鳥取県警は、トラック運転手の事件と秀樹さんの事件に
上田が何かしら関係していると思っていた。


そこで2009年11月2日。
警察は、ひとまず取り込み詐欺の容疑で上田と同居していた男を逮捕した。
上田は詐欺容疑については認めたが、殺人については一貫して否認した。


そして証拠品の中に解けない謎があった。
トラック運転手の遺体から検出された睡眠導入剤と、
秀樹さんの遺体から検出された睡眠導入剤の成分が微妙に違っていたのだ。


しかし、この事が事件解決への糸口となる。
聞き込みで、なんと上田と付き合いがあったある夫婦から自分たちが使っている
睡眠導入剤を上田に渡した、と言う証言があったのだ。


さらに、その夫婦はトラック運転手の事件の後のタイミングで、睡眠導入剤を変えていた事も判明。
その成分が秀樹さんから検出されたものと一致した。
おそらく上田はこの睡眠導入剤をうまい口実をつけて飲ませたのだろう。


そして、同居していた男から殺害に関する直接的な目撃証言ではなかったが
殺害前に被害者と一緒に居たのは上田一人だったことが確認された。


2010年1月。
ついに上田美由紀を殺人容疑で逮捕。


検察は、当日上田だけが殺害ができる状況であった事、借金があり動機があった事。
殺害に使用したとされる睡眠導入剤を入手可能だったことなどから事件は
上田の犯行と判断。死刑を求刑した。


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これに対し上田は、殺人容疑を一貫して否認したが、
今年7月、最高裁で出された判決で上田美由紀の死刑が確定した。


身勝手な女に命を奪われた秀樹さんの息子たちはこの判決を受け
罪の報いは受けるべきだと語ってくれた。


数多くの男性を騙し、短絡的な殺人を繰り返したとされる上田美由紀。
事件を認めることのない中、彼女の口から真実が語られる日は来るのだろうか。

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