放送内容

2018年1月23日 ON AIR

なぜ妻はキレるのか?その気持ちの真実

年々増加する夫婦間でのDV相談件数。
実は、男性が女性から受ける被害がこの6年で、なんと13倍近くに増えている。


近年話題となった漫画『キレる私をやめたい』著者は田房永子さん。
自身の体験をコミカルに描いているが、その内容は「夫に暴力をふるう自分に悩む日々」。


永子さんによると、1回怒ってマグマが噴火すると自分では抑えられなくなるのだという。
何故キレてしまうのか?彼女の抱えた『闇』とは?


"夫に対して生まれた怒りのスイッチ"


1978年、東京に生まれた永子さん。
元々画を描くことが好きだった彼女は美大を卒業後、漫画制作の現場に。
控え目で、自分の主張や意見を伝えるのが苦手だった。


そんな永子さんと夫との出会いは25歳の頃。
彼も控えめなタイプ。そんな穏やかな人柄に引かれ2人は交際を開始。
しばらくして2人は結婚し、一緒に暮らし始めた。


すると永子さんに異変が...
はじめはこんな事からだった。
彼のために作った料理に少しだけだが味付けについての指摘をされた。


なぜか、彼のその一言に無性に腹がたった。
次の瞬間、控えめだったはずの永子さんは強い口調で反論していた。
それを聞いた彼は素直に謝ったが、その後このやりとりが永子さんを変えていく。


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永子さんが家事の事で指示をするとその通りに動く夫。
思ったことを口にする...それに彼は従ってくれる。
それは人生で初めてのことだった。


実は永子さんは、幼い頃から自分の思いを聞いてもらったことがなかったという。
それは母親だけでなく、以前付き合った恋人も永子さんをリードするタイプで、
自分の意見など言えなかった。


だから、今度付き合う人は私の思いを伝えられる人がいいと思っていたのだ。
そうして出会った彼。なんでも自分の言うことを聞いてくれる。


きっとこれが愛情なんだ。それが当たり前なんだ。
そう感じてしまった永子さん。そして、暴走が始まる。


自分の思いが夫へ伝わらないと
その怒りは夫への攻撃となり、永子さんはキレる自分を止められなくなっていった。


"控えめな性格のはずが...口調も荒くなる"


ある日。
仕事で疲れて寝ている夫のため朝食に野菜ジュースを作った。
しかし、夫は仕事で疲れてなかなか起きようとしない。


せっかく作った野菜ジュースの鮮度が落ちていく...それがいやだった。
すると、永子さんは豹変する。


永子『起きろよ!!早く飲めって言ってるだろ?何回言わせんだよ!このクソ野郎が!』


大人しかった永子さんからは想像もつかない暴言だった。
それからというもの...反論や注意を受けるたび、愛されてないと感じ
永子さんはそれを力でおさえつけた。キレると手がつけられなくなった。


やがて夫は、妻に話しかける一言一言に気を使うように。
機嫌を損ねると妻は暴力をふるうようになった。


こんな妻と、この先やっていけるのか不安になる夫。
しかし優しいときもある...夫の心は葛藤していた。


一方で、実は永子さんも悩んでいた。
なぜ、こんなに怒りが爆発するのか...自分でもわからない。


今まで一度もキレたことなどなかった。
でも自分に従わない夫だけは急に許せなくなる。
キレるたびに自己嫌悪に陥る。だが怒りを抑えられない。


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そんな状態の時に永子さんは娘を出産し、母となった。
ある日のこと、幼い娘が自分の言う事を聞かない事があった。
ささいな事だったが...一瞬、我が子に対する激しい怒りを感じた。


大切な我が子に、夫への怒りと同じような感情を持ってしまった。
そして娘が1歳になろうとしていた時に事件が起きた。


"怒りの原因は母との関係にあった"


ある日、散らかりがちのおもちゃを片付けやすくする為に夫が収納カゴを作った。
それを見て永子さんは激しい怒りを覚えた。
夫が勝手に取り付けた!片付けない私を責めている!
いつもの様に夫を怒鳴る永子さん。


それを受け、我慢の限界だった夫は初めて、永子さんの腕を取り気持ちをぶつけた。
すると永子さんは「夫に暴力をふるわれた」と警察に通報してしまった。
しかし、すぐに大変なことをしてしまったと気づいた。


夫が事情を説明し、大事にはならなかったが
自分が情けなくて仕方が無かった...もう別れるべきなのかもしれない。
しかし、夫はこの件に関して何も言わず、いつもの様に接してくれた。


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永子さんは今の状態を改善する為、治療を行う事にした。
受けたのはゲシュタルトセラピーという心身医学療法。


ゲシュタルトセラピーとは、自分の悩み、つまり永子さんの場合は、
「怒り」が、どんなことが原因で生み出されているかを、自ら気づくための療法。


その方法は、自分の姿を自分で想像するという不思議な体験だったが、
このセラピーで永子さんはある事を発見したという。
永子さんの怒りの原因は母との関係にあった。


常に母に反論を許されなかった永子さん。
自分の心の思いを普通に伝える方法を知らなかったのだ。


こうして自らの怒りの原因を知った永子さんは考え方を変えた。
責められていると思わず、自分も相手を従わせない。
そう思うだけで怒りは湧き上がらなくなったという。


2人は今、穏やかに幸せに暮らしている。

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