急死した美女...原因はあの食事
牛乳や大豆などから精製される粉末のプロテイン。
筋肉のもとになるたんぱく質を効率的にとることができるため、
最近では若い女性を中心にダイエットサプリとしても人気となっている。
だが、そのプロテインが原因で、若く健康的な女性が命を落とした。
彼女の体に何があったのか?
筋トレが趣味の女性が突然意識不明に
2017年5月。
オーストラリア西部、美しい海に面した町マンジュラ。
この町で暮らすミーガン・へフォードは、2人の子をもつ25歳のママ。
彼女の趣味は筋トレ。
出産後のスタイル維持で始めたものだった。
小児クリニックで、看護アシスタントとして働いていた彼女は、
職場にプロテインを持って来るようになった。
しかし、これが悲劇の始まりだった。
トレーニングにのめり込んでいったミーガンは、
地元のボディービル大会に出ることを考え始めていた。
ジムのトレーナーのアドバイスもあり、ミーガンはたんぱく質中心の食生活に。
卵も高たんぱくでカロリーの低い白身だけ。
ビタミンやミネラルを多く含む野菜とともに、卵白だけのオムレツにして食べた。
食後は粉末プロテインを牛乳に溶いて飲む。
出勤前にも、1時間トレーニング。
それを終えるとまたプロテインドリンクを飲んだ。
昼食は茹で野菜とともに、高たんぱく低脂肪の鶏の胸肉を食べ、
仕事の合間にも、プロテインバーをとる。
こうして徹底した食生活にして2週間ほどたった頃にある異変が。
ミーガンは急に体のだるさを感じ始めた。頭痛もありいつまでたっても治まらない。
しかし、軽い風邪だと思っていたミーガンは病院へ行くことはなかった。
そしてたんぱく質中心の食生活に変え40日ほど経った、ある日の夕方。
部屋の手続きにきた不動産屋が、意識不明で倒れているミーガンを発見した。
彼女はすでに自発呼吸もできない脳死状態だった。
原因は彼女が持つ疾患だった
その後、精密な血液検査をした結果、驚くべきことが分かった。
なんと血中アンモニアの数値が、信じられないほど高くなっていたのだ。
医師によると、ミーガンの病名は「尿素サイクル異常症」というものだった。
肉や魚、大豆などに多く含まれるたんぱく質は、筋肉や骨、血を作るために欠かせない
三大栄養素のひとつ。
だが、食事として体内に入ったたんぱく質は、分解・吸収される過程で、
有毒なアンモニアを発生させる。
通常アンモニアは、肝臓で解毒され、無毒な尿素となって体外に排出される。
しかし、先天的にこの経路に異常があり、アンモニアをうまく無毒化できない人がいる。
それが尿素サイクル異常症。
つまり、もともと彼女にとってプロテインは危険なものだった。
この病気を持つ人はたんぱく質を摂取すると、血中アンモニアの値が高くなり、
体のだるさや、多呼吸、嘔吐、意識障害、痙攣といった様々な全身症状がおこり、
最悪の場合は死に至るケースもある。
尿素サイクル異常症だったミーガンはたんぱく質を取りすぎた事で脳死状態となり、
手の施しようがない状態と宣告された。
搬送されてから4日後。
家族はミーガンの生命維持装置を外すことに同意。
若く美しいボディービルダーは思わぬことで突然の死を迎える事になってしまった。
実は「尿素サイクル異常症」は遺伝性の疾患。
検査したところ、ミーガンの母や子どもたちにも、尿素サイクルの異常が判明した。
ただ比較的症状が軽く、普通に肉を食べても問題ないという検査結果だった。
症状が軽い人は、たんぱく質を含むものを普通に食べるくらいでは、
自覚症状なく生活していることもある。
しかし、たんぱく質を多くとった時に体のだるさや吐き気などの体調不良が
続くようになったら...早めに医師に相談した方がいい。