肉アレルギー発症のきっかけはある生き物
毎日ごく当たり前に口にしている食材、
それがある日、突然危険な食べ物になってしまうことがある。
その原因は思いもよらぬ意外なものだった!
肉を食べると蕁麻疹が
島根県東部の雲南市。
2005年9月、食べ物など一切気にせず食べていた女性の身にそれは起こった。
彼女は夫と昼食に入った店で豚の焼肉定食を注文。
おいしくて大満足だったが、3時間ほどたった後...突然体にかゆみが!
ふと見ると、腕にびっしりと蕁麻疹が出来ていた。
それは首元やお腹など、かなり広い範囲に。
病院へ向かうと、疲労からなる急性蕁麻疹と診断され、
抗ヒスタミン薬の注射を打ってもらい、塗り薬を処方された。
しかしひと月後、家ですき焼きを食べた2時間後...また猛烈な痒みと蕁麻疹が。
さらにその2か月後も同じ症状になった。その時食べたのは牛モツ鍋だった。
幸い、注射と塗り薬で毎回症状は収まってはいたが、原因は何なのか?
最初は夫と立ち寄った店で豚焼肉定食を食べた後...
2度目は、家ですき焼きを食べた後...
そして3度目はもつ鍋の後...どうやら肉を食べると症状が出る。
この事から、それ以後は魚中心の食生活に変えた。
すると症状はピタリと出なくなった。
だが3か月後...突然また、あの症状が発生!
肉は一切口にしていないのに、なぜ?
なぜ魚料理でもアレルギーが?
今回は今までの症状とは何かが違うと感じていた彼女。
病院で治療を待つ間にアナフィラキシーショックを起こし、意識を失ってしまう。
意識が戻った時にいたのは病室のベッドの上だった。
後日、彼女は初めて詳しい検査を受けることに。
検査してみるとやはり彼女は牛肉、豚肉に対して著しい反応がでた。
しかし今回彼女が食べていたのは、カレイの煮付け。魚料理だったのだ。
医師はカレイ、もしくは魚に寄生するアニサキスがアレルギー反応を起こしたのではないかと疑ったが・・検査でいずれにも反応は出なかった。
実は彼女があの日食べたカレイとは、冬の産卵期でお腹に卵をたくわえた
いわゆる『子持ちカレイ』だった。
今度はカレイの魚卵でテストをしてみると、しっかりと反応が出た。
実は、牛肉・豚肉のアレルギーを発症する人は、カレイの卵にもアレルギーを発症することが分かったのだ。
よく似た別の抗原にもアレルギーが出ることを交差反応という。
牛肉・豚肉とカレイの卵のアレルギーにもこの関係があったのだ。
ちなみにイクラ、タラコ、よく食べられる他の魚卵は食べても問題ないらしい。
食の楽しみはちょっと減ったが、食べていけないものがはっきりしたことで、
その後、あの女性は平穏な生活を送っている。
だがこのアレルギーには、さらに意外な原因が!
なんと牛肉アレルギーやカレイの卵アレルギーの大きな原因は、マダニだった。
山林や草むらに住み、動物や人の血を吸うマダニは肉アレルギーと同じ抗原を持っており、
マダニに咬まれたことがきっかけで、肉などにアレルギー症状を起こしてしまうというのだ。
肉が好きならマダニに気をつけて!