放送内容

2018年9月 4日 ON AIR

ファミレスで世界初のアレルギー

2015年3月。
夜、家の近くの公園で友達とサッカーをしていた長友天晴くん。


1時間後、友達に顔の腫れを指摘されたがその時は気にもとめなかった。
しかし家に帰ると、天晴くんの顔を見た父親が驚いた。


父親の驚きように、急いで鏡を見てみると...
自分の顔が大きく腫れ上がっていた!


目の周りが腫れ、口元にも発疹が出来ていた。
あわてた父親はすぐに患部を冷やしたが、腕、さらに体全体に蕁麻疹が...


夜11時過ぎ、救急外来へ。
その時点では、症状は少しおさまっていた。


医師は天晴くんに今日何を食べたかを聞いた。
この日は友達とサッカーをする前に中学のクラス会があり、友達とファミリーレストランで
ハンバーグやピザなどたくさんの料理を食べていた。


この時、医師が疑ったのは、食物依存性運動誘発アナフィラキシー。
運動が引き金となって、蕁麻疹、呼吸困難などのアナフィラキシー症状が現れるもの。


通常タンパク質は、細かく分解されて血液に吸収されるが
食後に運動をすることで消化管の血流が悪くなり、消化機能が落ちる。
そのため未消化なままアレルゲンが吸収されやすくなり症状が起きると考えられている。


しばらく待合室で様子を見ていると...症状が再発した!
呼吸が乱れ、全身に蕁麻疹が!


すぐにアドレナリン注射を打った。
彼の症状は、一度おさまってから再び症状が現れる、二相性アナフィラキシーと
呼ばれるものだった。


原因はファミリーレストランで食べたアレ


はたして原因となった食べ物は?
後日、この日食べた食材でプリックテストを行うことにした。


プリックテストは、少量のアレルゲンを皮膚に垂らし、
そこに小さな傷をつけ反応を見るテスト方法。


最も運動誘発アナフィラキシーを起こす可能性がある小麦で検査をした。
しかし、結果は陰性。


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原因不明のアナフィラキシー。
いくつかの検査を繰り返し、ようやくある食材にたどり着く。それは...エスカルゴだった。


エスカルゴを食べ、ルームランナーで運動すると...8分後に呼吸が乱れ始めた!
アレルギーの原因、それはエスカルゴによる運動誘発アナフィラキシーだった。


実はエスカルゴが原因の運動誘発アナフィラキシーは、
世界で初めて報告された珍しいもの。


では、エスカルゴの何の成分でアレルギーが起きたのか?
当時、長友天晴くんを診察した医師によると、
今回の症例に関しては原因の物質は分かっていないのだという。


エスカルゴにはトロポミオシンというたんぱく質が含まれている。
それは、イカやタコといった軟体類や貝類、甲殻類にも含まれているが、
天晴くんは、これらを食べて運動をしてもアレルギー反応を起こしたことは一度もない。


そこで今は、生物学上エスカルゴと同じ仲間である巻貝を食べないことで
予防に努めているという。

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