愛されれば苦しむアレルギー
アメリカ、インディアナ州インディアナポリス。
この街で前代未聞のアレルギーが見つかった!
仰天スタッフが訪ねると...迎えてくれたのはこの街に住むベス・ウェーバーさん(58歳)。
その驚きのアレルギーを持つのは彼女ではない。
では一体誰が、どんなアレルギーを持っているのか??
安楽死が決まっていた犬を保護
今から4年前の2014年。
ベス・ウェーバーは動物の保護や犬をトレーニングする団体で働いていた。
ある日同僚から電話が。町でひどい状態の犬が保護されたという。
その犬を初めて見たベスは言葉を失った。
その犬は体中の皮膚がはげており、血と膿で、ドロドロの状態。
激しいかゆみに襲われているらしく、出血してもかき続けていた。
その様子があまりにも辛そうで、保健所では3時間後に安楽死が決まっていた。
それを聞き、保護団体が駆けつけたのだ。
この状況を知ったベスは、自分で引き取ることにした。
そしてこの犬にアダムと名付けた。
さっそくアダムを動物病院へ連れて行ったベス。
医師に診てもらうと、アダムはアレルギーの可能性が高いと言われた。
実はアダムはこの時も、アレルギーの原因に囲まれ苦しんでいた。
それはアダムが信じられないものにアレルギーを引き起こしていたからだった。
そのアレルギーとは、なんと「人間アレルギー」だった。
アレルギーに苦しむアダムとの生活
しかしそんな事には誰も気づかず・・
ベスはアダムに愛情をたっぷり注いだ。
アダムがひっかいて皮膚を傷つけないように服を着せ、3日に1回、体をキレイにした。
人間が近寄るだけで、アダムがアレルギーを起こしているとは知らずに・・
アレルギー検査の結果、アダムは雑草やドングリ、小麦にアレルギー反応を示すことが判明。
しかしこの検査では、人間アレルギーまでは調べられていなかった。
アダムは下痢などの別の症状にも苦しむようになっていた。
実は犬のアレルギー症状は、下痢や嘔吐で現れることが多い。
そこでベスは、再度アダムのアレルギー検査をすることに。
今度は症状が起きている皮膚にどんな物が付着しているかを調べ、
それに対するアレルギー反応を確認。
そしてようやくアダムが人間にアレルギーがあることが判明した。
原因は人間のフケ...それは、ベスにも告げられた。
一般的に人間が犬や猫に近づき、アレルギーを発症することは知られているが、
今回のアダムのケースは、人間が近づくことで、逆に犬や猫がアレルギーを発症する
可能性もあるとわかった貴重なケースだった。
人間アレルギーと分かってから、ベスはアダムとの接触を極力避ける生活に...
アダムの体を洗う時は手袋を着け、直接肌に触れないようにした。
また、フケが落ちないようにシャンプーハットもかぶった。
さらに詳しく検査すると、アダムは天疱瘡(てんぽうそう)という症状も患っていたことが判明した。
天疱瘡(てんぽうそう)とは自分自身の体や組織を異物と認識して
攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつ。
強いかゆみに襲われ、掻いてしまったりすることで、かさぶたができたり、
毛が抜けてしまったりする。
アダムの皮膚がひどい状態になっていたのは、この天疱瘡も原因の1つだった。
病院ではごく微量のアレルゲンを少しずつ注射して症状を緩和していく治療を行った。
その結果、アダムのアレルギー症状は徐々に改善していき、禿げた部分にも毛が生えてきた。
4年経った現在のアダムは当時とは見違える姿に。
現在でも薬を服用させているが、それ以外特別なことは何もしていないという。
もの言わぬ犬や猫...人間が苦手な犬や猫がいてもおかしくはない。