放送内容

2018年9月11日 ON AIR

あのかわいいパンダで恐怖の病

アヴリル・ラヴィーンやリチャード・ギアも苦しんだある病。


アヴリルはこの病に苦しんだ期間を人生最悪の時間と語る。
その病は他にも、数々の有名人を苦しめた。


そして、イギリスに住む、1人の少女の才能も奪った。
彼女はなんとあの愛くるしいパンダが原因でこの病になった。


理解されない身体の異変


2010年。イギリス北部の街、ランカシャー。
この街に住む少女ソフィー・ワード(16)は、ある日、急な頭痛に襲われた。
実は彼女、将来を嘱望されたスイマーだった。


水泳を始めたのは生後6か月。
10歳で州の選抜チームに入ると、12歳の時にはイギリスの国内チャンピオンに。


その後も、数々の記録を塗り替え、
13歳でロンドンオリンピックの特待生プログラムにも参加していた。


今、ソフィーが目指しているのは、自国開催のロンドンオリンピック。
体調が悪いなんて言っていられない。


少し休めばよくなる、そう思っていたが...今度は喉の痛みも。
病院へ行き、薬を飲むと体調は一度は持ち直した。


しかしまたも頭痛が。しかも、痛みは日に日に増していく。
オリンピック出場は両親の夢でもあるが...なぜか体に力が入らない。


さらに...関節が燃えるように痛い。
手当たり次第、病院をまわったが...結果は異常なし。


だが、この異常は必ず何か問題があるはず。
ソフィーはそう思っていたが、両親にもわかってもらえなかった。


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もはや、心も体も限界。
そしてソフィーは、生きがいだった水泳をやめた。


原因はパンダに付着したあの生き物


それからは、頭痛と疲労感で外出することもできなくなった。
さらに吐き気をもよおすようになり、体重は3年で18kgも減った。


すがるような思いで病院を訪ね歩いたソフィー。
そんな中、ある病院で血液検査をすることになった。


血液検査はこれまでもさんざん行ったが、医師はある病に心当たりがあった。
そしてついにソフィーの病気が判明。これまで彼女を苦しめていたのはライム病だった。


ライム病とは、ボレリア属細菌による感染症。
ソフィーの血液を改めて検査し、ボレリア属細菌の抗体が見つかったのだ。
これはかつて、この細菌が体内に入ったことを意味する。


一般的な血液検査では、わからない項目。
そのため、これまでは見過ごされてしまっていた。


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初期の症状は、発熱、頭痛、悪寒など、インフルエンザに似ている。
しかし、細菌は気づかぬうちに脳や臓器にも影響を及ぼしていく。
治療法は、抗菌薬を投与すること。治療が遅れると、敗血症や脳炎などで、まれに死に至ることも。


気持ちが落ち込む、眠れないといった、神経症状も出るため精神的な問題だと
思われてしまうこともある。


ところで、原因菌であるボレリア属細菌には、どこから感染したのか?
医師は動物との接触について、彼女に尋ねた。
もともと動物は得意な方ではない彼女。だから最後に接触した動物をはっきり覚えていた。


それは中国に行ったときに触ったパンダ!でもパンダが直接の原因ではない。
実は、ボレリア属細菌をうつしたのはパンダではなく...マダニだった。


ソフィーが触ったパンダに、たまたま、ボレリア属細菌を持つマダニが付着していて
そのマダニに咬まれたと考えられた。


実は、マダニは吸血する際に、麻酔のような成分を出すため、かゆみや痛みを感じ辛い。
それゆえ、自分で咬まれたことに気づかない人も多いという。


ライム病と診断されて1年。現在24歳となったソフィー。
今は定期的に病院に通いながら、症状に合わせた治療を行っている。
体重は10kg戻り、体力も少しずつ回復しているという。


ロンドンオリンピック出場の夢を、突然奪われたソフィー。
今は、過去を悔やむよりも新しい夢をもつように前向きだという。


今、彼女はライム病を知ってもらうための活動に精力的に取り組んでいる。

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