死を呼ぶ危険な魚
今から数年前、長崎県。
釣りをしていた男性が、「アオブダイ」という立派な魚を釣り上げた。
アオブダイは、沖縄で「イラブチャー」と呼ばれていると記憶している人も多いだろう。
イラブチャーは刺身や煮付け、唐揚げなどで食べられている。
男性は、早速その日の夕食で煮付けと刺身にして食べた。
ところが、およそ3時間後...突然、背中から足にかけて激しい痛みが!
そしてその翌日、なんと男性は亡くなってしまった。
なぜ男性は命を落としたのか?
実は、沖縄で食べられている「イラブチャー」。
店や、市場などでも「アオブダイ」と表記していることがあるが、実はアオブダイではなかった。
沖縄で食べられているイラブチャーは、「ナンヨウブダイ」や「イロブダイ」という、
色や形は似ているが別の魚。
本当のアオブダイは毒を持つ場合がある。その毒は「パリトキシン様毒」というもの。
海藻などに付着する特徴をもった有毒な渦鞭毛藻という
プランクトンの一種に含まれていると言われている。
そのプランクトンがたくさん付着した海藻を食べたアオブダイの体に
毒が蓄積していくと考えられている。
その毒を持ったアオブダイを食べると、横紋筋融解症という疾患を起こす。
横紋筋融解症とは、筋肉の細胞が融解し、その成分が血液中に流入するというもの。
主な症状は筋肉痛や、脱力感、麻痺などだが、重篤になると呼吸困難や、
急性腎不全を引き起こし最悪の場合死に至ることも。
あの男性を襲ったのも、この横紋筋融解症の症状だった。
これまで日本では、アオブダイの中毒は20件以上、死者は7人報告されており
現在、アオブダイは厚生労働省により販売自粛。
地方自治体などもアオブダイ中毒の危険性について周知を繰り返している。
全てが毒を持っているとは限らないが、命の危険もあるため、
本物のアオブダイは絶対に食べないように。
ちなみに沖縄のイラブチャーは安全です。