放送内容

2018年12月11日 ON AIR

自分よりも大きい腫瘍と戦う女性

世界には「巨大な腫瘍」ができたことで、壮絶な人生を歩む人が数多くいる。
ルーマニアに住むルチカ・ブンゲスさんもその1人。


当時47歳だった彼女を苦しめていたもの...それはお尻にできた巨大腫瘍。
その重さは何と70kg!
あまりに大きすぎて自力で座ることもできない。


腫瘍の原因は神経線維腫症Ⅰ型、別名レックリングハウゼン病。
全身の神経、皮膚、骨などに様々な症状を発症する遺伝性疾患。


主な症状は、カフェ・オ・レ斑と呼ばれる大小の褐色のアザが色んな場所にできたり、
全身に大小の突起が現れたり、骨の変形や欠損などの症状が現れ、根治は難しい。


両親どちらかからの遺伝により発症する確率はおよそ50%。
しかし、ルチカさんの場合は両親や親戚にもこの病はなく、突然変異による発症だった。


ルチカさんは生まれつき尻から腹にかけて大きなカフェ・オ・レ斑があった。
それが39歳の時に膨らみ始めたという。


ルチカさんの腫瘍は良性であるが、やっかいなのは切除してもまたできてしまうこと。
一度切除したのだがすぐにでき、どんどん大きくなってしまったという。


さらに彼女の場合、腫瘍が太い血管を巻き込んで増殖していたため、
切除すると大量出血し、命を落としかねないとされ、手術は危険と判断されていた。


巨大な腫瘍は巻き込んだ血管から血液を奪い、どんどん成長し続け、
8年間で70kgにまでなった。


一方、栄養を奪われたルチカさんは、輸血とビタミン剤で何とか命をつなぐが
腫瘍を除いた体重はわずか40kg。


3年間ほぼ寝たきりの生活。
血液を送る心臓には負担がかかり、部分的に機能不全を起こしてしまい
ただ死を待つ状態になってしまった。


突如現れた救世主!命を懸けた大手術へ


そんな時、彼女はたまたま観たテレビで米シカゴの外科医が
自分より大きな90kgの腫瘍の切除に成功したテレビドキュメンタリー番組を目にした。


ルチカさんはこの手術を執刀したマッキノン医師に連絡を取った。


すると、マッキノン医師は精鋭部隊を引き連れルーマニアにやって来た。


マッキノン医師によると、一度は成功したがまた同じ様に上手くいくとは限らないという。
それほどまでに難しい手術だった。
だが彼女に残された時間は少ない...彼女にとってこれが最後のチャンスだった。


アメリカとルーマニアの18人もの外科医と麻酔医がチームを組んで挑む手術は
世界的なニュースとなり、600人ものルーマニア人が彼女のために血液を提供した。


家族が見守る中、手術が始まった。
医師らは、まずあおむけの状態で前側の横の腫瘍を剥ぎ落とし、
その後、体をうつぶせにして背中の腫瘍を皮膚ごとそぎ落とす戦略を立てた。


ルチカさんが心不全を起こした場合に備え、心臓外科医もスタンバイ。
成功する可能性はわずか50%という本当に難しい手術。


9時間にわたる闘いの末、ついに70kgの腫瘍が彼女の身体から切り離された。
手術は無事成功。


しかしまだ安心はできない。
ルチカさんの体の40%は、皮膚がなくなりむき出しの状態になってしまっていて
感染症にかかったら、いつ命を落としてもおかしくない。


火傷の傷と同様に、皮膚の表面に保護剤をラップの様に巻いた。
痛みに耐えたルチカさんは約3か月かけて、自分の大腿部の皮膚を7回にわたって移植。


そして手術から9か月。
ルチカさんはようやく苦しみから開放され、ついに自宅に帰ることが出来たのだ。


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手術から14年、彼女はルーマニアの田舎町ブラショブで
家族と一緒に幸せに暮らしている。

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