放送内容

2018年12月11日 ON AIR

美女に心奪われたホームレス

2006年9月。
美しい運河の町として知られるオランダ・アムステルダム。


その町に似つかわしくない1人の男。
ヴィック・コクーラ、25歳。彼はホームレスで、その出で立ちは...ボロボロの靴に服。


2006年の始め、彼はカナダからバックパッカーとしてヨーロッパへやってきた。
そしてポルトガルから旅をスタート。


しかし3週間ほどで所持金は尽きてしまい、物乞いをするようになっていった。
今では得たわずかなカネで酒を買い...異国の地で酒に溺れるホームレス。
そんな男に数奇な運命が。


やがて、オランダ・アムステルダムに流れついたヴィック。
ある日、彼は町で見かけた女性に一目ぼれをした。


しかし、いま自分はホームレス。
それでも...どうしても、ひと声かけたい。
勇気を出して彼女に声をかけた!!


ヴィック「いま...何時ですか?」


なんてこともない一言。案の定、女性は困惑した様子だった。
でもここで引いてはいけないと、ヴィックは言葉を発し続けた。


勇気を出した甲斐もあり、何とか少しの時間だが会話をすることができた。
彼女はウィーンから来たエミー・アブラハムソン。
普段は英会話講師をしているが、女優としても活動し、映画の撮影でオランダに来たという。


待ち合わせをしていた女性監督がやってきたため、その場を去ろうとする彼女。
これで最後にしたくないと思ったヴィックは思いがけない一言を発した。


ヴィック「1週間後の12時に、またここで待ってる!」


ホームレスの恋...その行方ははたしてどうなるのか。


彼女に会うために単身ウィーンへ


そして1週間後の約束の日。
ヴィックは朝から念入りに顔を洗い、全身を丹念に拭いた。
さらに、足のニオイ消し!これは酒を買うのをガマンして用意した。


だが、彼は時計を持っていなかったため20分遅刻してしまった。
もちろんそこには、彼女の姿はなかった。


そりゃそうかと苦笑いのヴィック。
あきらめて帰りかけたその時、なんとエミーの姿が!


彼女はヴィックの一方的な約束を守り、会いに来てくれたのだ!!
ヴィックにとっては夢のような時間だった。


やがて映画の撮影が終わり、彼女はウィーンに帰ることになった。
寂しい面持ちのヴィックに、エミーは電話番号のメモを手渡し別れた。


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まるで心に穴が開いたような、喪失感。
また彼女に会いたい...でも、ホームレスの自分にどんな方法が?


一方、ウィーンへ帰ったエミーも、予想もしなかった感情が沸き上がっていた。
彼とまた会って話したい...でもそれは無理だと思っていた。
しかし運命はこの2人を再び引き合わせることに。


あれから3週間経ったある日のこと。
エミーの家の電話が鳴った...なんと相手はヴィックだった!
なんと彼はエミーを追ってウィーンにやってきたのだという。


エミーが去って、彼は変わった。
酒をやめて、町で空き瓶を拾いながらコツコツとウィーンまでの電車代を貯めたのだ。


しかし、ヴィックは土地勘がなく今どこにいるのかわからないという。
高い建物が見えて、賑やかな場所という事だけ伝えると電話は切れてしまった。


ホームレスと女優の恋の行方は?


ヴィックの手持ちにはもうコイン1枚もない。
その後、どこをどう歩いたのか...やがて歩き疲れ...道端に座りこんだ。


知らない土地で無一文。また物乞いに戻ってしまうのか?
ふさぎ込むヴィック...そんな時、聞き覚えのある声が。


エミー「いま...何時ですか?」


ヴィックが顔を上げると...目の前に、エミーがいた。
この時2人は、もう決して離れないと誓った。


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そして2年後の2008年、2人はウィーンの古城でステキな結婚式を挙げた。


そして現在、ヴィックとエミーは8歳になるカワイイ双子にも恵まれ、
スウェーデン南部のルードロップというのどかな町で暮らしている。


エミーさんはあの後、作家としてデビュー。
すでに著書が30冊ほどもある売れっ子作家となっていた。
そして今年1月、自分とヴィックの不思議な恋を書いた本も出版した。


妻は売れっ子作家...という事は現在、ヴィックはヒモなのか?
実は彼、その後大学で機械工学を学び、今はエンジニアとして働いている。


やはり「ヒトは見た目で判断してはいけない」!

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