放送内容

2019年7月 9日 ON AIR

自給自足で命の危機

沖縄県・石垣島。
横浜で暮らしていた女性が結婚を機に夫婦でこの南の島に移住した。


大自然の暮らしに憧れ、夫は休みの日や仕事終わりに海に出掛けて魚や貝を捕り、
妻は庭で野菜や果物を育てる。
自然の恵みを堪能する、悠々自適な生活を送っていた。


そんなある朝。
この日も自分たちがとった食材で作った朝食を食べていた。


しかし、突然夫婦に異変が起きる。
妻は手足が痺れる感覚に襲われ、全身に強い倦怠感が。


夫もなぜか体がだるい。経験のない感覚に不安を抱き、
仕事に行くのを遅らせて休むことに。


すると、牧場に来ない夫婦を心配した同僚が自宅を訪ねてきた。
明らかに様子がおかしい...同僚に勧められて2人は病院へ。


その間も妻は、何度も嘔吐を繰り返した。
医師は2人同時に症状が出ていたことから、食中毒を疑った。


思い返せば...味噌汁のカニを食べている時に舌が痺れる違和感があった。
それを医師に伝えると...カニと聞いた医師は慌てた様子でどんなカニを食べたかを聞いた。


夫が海で捕ってきたカニ、それは...ウモレオウギガニだった。
実はこれ、毒ガニの中でも最も毒性が強く「世界最強の猛毒ガニ」との異名を持つ。


その毒とは...サキシトキシン。
サキシトキシンは、脳から細胞に伝えられる命令系統に異常をもたらす神経毒。


手足のしびれなどを起こし、最終的に呼吸筋の動きを止めることで、
呼吸困難となり死に至ることも...。そんな恐ろしい猛毒ガニを夫婦は食べてしまったのだ。


命の危険もあるサキシトキシンの恐怖


すでに妻は自分の意思で体を動かすことができなくなっていた。
そのまま緊急入院。


症状は進み...激しいめまい、さらに絶え間なく頭痛が襲う。
そして医師から驚きの言葉が...恐ろしいことに、このカニに含まれる毒には解毒剤がない。
輸液を行い、体内の毒が排出されるのを待つしかない。


その頃、保健所の職員が夫婦の家に残っていたカニの味噌汁を回収し調査が行われた。
すると分析の結果、恐ろしい事実が判明する。


なんとわずか5センチ程のウモレオウギガニ1匹で作った味噌汁に
大人が7~8人死ぬレベルの毒が含まれていたことが分かったのだ。
しかも耐熱性があるので通常の加熱調理では分解されない。


そんな猛毒ガニを食べてから12時間が経過。
妻の症状はさらに悪化していった。
体が自分のものではなくなるような、言い知れぬ恐怖感に襲われた。


すると...今度は夫にも症状が現れた!
ついに夫婦そろって入院。
ただただ、毒が排出されて、回復するのを待つしかなかった。


そして入院3日目。
ようやく2人の症状は回復し、一命はとりとめた。


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猛毒ガニを食べて命の危機にさらされた箕田さん夫婦。
30年前の出来事にもかかわらず、あの日の苦しみははっきりと覚えているという。


そんな命をも奪う猛毒ガニ、ウモレオウギガニは今でも数多く存在するのか?
石垣島・大崎海岸...観光客も訪れるこのスポットで探してみた。


すると捜索開始から50分後...ウモレオウギガニを発見!
甲羅から毒がにじみ出ると言われているため、念の為、手袋をつけて捕獲。
簡単にあの猛毒ガニが見つかった。


ちなみにこれ以外にも...。
名前はカワイイが、食べると死に至る事もある猛毒ガニ、
「スベスベマンジュウガニ」を4匹も発見。


近年では、生息域ではないはずの和歌山県沖でウモレオウギガニが捕獲され、
地元では大きな衝撃が走った。


知らないカニは見つけても絶対に食べないように。

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