芸人人生をかけた仕事の時、大病発症
クローン病...原因は分かっておらず、完治する治療法も今はない。
指定難病となっている病で、日本では年々患者数は増加。
現在は約4万人いるとされる。
その病気に苦しんだ芸人、お侍ちゃん。
発病前の体重は70kgほどあった彼は、クローン病になって55kgにまで体重が落ちた。
しかもわずか3週間の間の15kg減だった!
今年1月、お侍ちゃんは気合が入っていた...ある舞台の出演が決まったのだ。
出演者は山本耕史、さらに松岡茉優や八嶋智人などの超ビッグネームばかり。
お侍ちゃんにとって芸人人生初の大チャンスだった。
このとき彼は37歳。まさにこの舞台は正念場。
そんなお侍ちゃん、実は結婚しており幼い子どももいた。
妻は、家計を助けるため、派遣社員として働きに出ていた。
だからこの舞台だけは絶対に成功させたい。
しかし稽古が始まって1週間。なぜかお腹が張っている感じが...そして痛みもあった。
稽古の緊張や疲れか?
食事をお腹にやさしそうなおかゆやゼリーにして体調管理に努める事に。
ただの腹痛、そう思っていたのに...これが、とんでもない病の症状だった!
舞台は降板...恐ろしい病の正体とは!?
大事な舞台のために腹痛を我慢し、稽古に臨んでいたお侍ちゃん。
しかし、痛みは増すばかり...。
胃の下がズキズキと一日中痛い。
心配になり近くの病院へ行くと、胃腸炎と診断された。
処方された薬を飲み回復を待ったが、少しもよくならない。
稽古を休むわけにはいかず、痛み止めの点滴をしてもらい稽古場へ。
しかし、あまりに激しい痛みに...休むことにした。
その日は妻もたまたま家にいたので事情を話すと...その日のうちに総合病院へ。
すぐに採血はしたが...明日の検査のために入院をすることに。
早く、稽古に復帰したい!その一心だった。
翌日、詳しい検査が行われた。
すると...小腸に炎症が見られた。医師によると原因としては食中毒が考えられるという。
胃腸を休め、回復を促すためにこの日から絶食。栄養は点滴で取るようになった。
その時、1週間程で退院できるだろう、と言われていた。
せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない。
ところが、なぜか痛みは増すばかり。この時、痛み止めは3時間しか効かなかった。
そして退院の目処と言われた1週間が過ぎてしまった。
治療をしても改善が見られないことで医師から大学病院への転院を勧められた。
そして入院11日目、転院がきまった。
そして、あらためて様々な検査が行われた。
この頃になると、痛み止めは1時間半ほどしか効かなくなってしまう。
退院の目処はたたず...舞台は降板せざるを得なかった。
入院18日目。小腸内視鏡検査が行われた。
小腸は全長6~7メートル。しかも口からも肛門からも遠いので、1度ではすべて検査できないことが多い。
まず肛門から内視鏡を入れ、大腸に近い半分を検査。
そして翌日、今度は口から内視鏡を入れ、胃に近い側の半分を見る。
入院して20日目。この検査でようやく病名が「クローン病」と判明した。
完治する治療法がない「クローン病」
クローン病とは、消化管に慢性的な炎症や潰瘍ができる原因不明の病気。
口から肛門まで消化管のどの部位にも起こるが、小腸と大腸に発症することが多い。
消化管の病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が出る。
発症は20代より下の若年層に多く、男女比は2:1で男性の方が多い病気。
そしてなんと、完治する治療法がない。
はっきり原因が分からないクローン病だが食生活が大きく影響するとされており、
近年日本で患者が増えているのは食の欧米化で、脂質を多く取るようになったことが一因とも指摘されている。
クローン病への治療が始まった。
まずは炎症を抑えるためのステロイド剤を投与。
そして食事療法も。栄養剤を水に溶き、1日3回。
胃腸に負担をかけず栄養は取れるが...もちろん美味しいものではない。
一方、ステロイド剤の効果は大きかった。
2日もすると、痛みはやわらぎ楽に。日に日に回復が実感できて、前向きになれた。
そして最初の入院から40日後、ようやく退院。
久しぶりの我が家で家族とささやかなお祝いをした。
そして退院から5か月...お侍ちゃんはアルバイトをしながらの芸人活動に力を入れている。