よく鼻血を出す女性、衝撃の病気
ただ、鼻血が出やすい体質だと思っていたある女性がいた。
千葉県流山市を拠点に活動する、実の三姉妹によるアイドルユニット「三姿舞(さんしまい)」。
鼻血をよく出していたのは、二女の眞珠さん。
実は彼女、幼い頃から頻繁に鼻血が出ていた。
しかし両親は、それを気にしていなかった。
その理由は...父親も、鼻血をしょっちゅう出していたから!
お風呂上がりは、ほぼ毎回鼻血...この光景は、一家にとって日常的なことだった。
やがて、6歳年下の妹、愛華さんが生まれ、三姉妹に。
小学生になった眞珠さんは貧血にも悩まされるようになるが、それでも運動が大好きに。
三姉妹揃ってダンスに興味を持ち、スクールメイツに所属した。
しかし、高校生になると...鼻血だけではなく便に少量の血が混じるように。
でもこれもきっと鼻血を飲み込んでいるせいだろう、と気にしていなかった。
そして、眞珠さんが17歳の時、思いもよらぬ悲劇が。
父が亡くなった...原因は胃ガン。46歳の若さだった。
愛する父の死...この出来事で三姉妹が結束。
ダンスが大好きだった父を思って、アイドルグループ「三姿舞」を結成した。
地元、千葉県流山市のイベントなどを中心に、CDも発売。
しかし、結成から4年たった2014年。
突然、倒れることが増えた眞珠さんの体は...誰も気付かないうちに深刻な状況になっていた。
2か月前から生理が止まっていたこともあり、母に付き添われ大学病院の産婦人科へ。
すぐに血液検査が行われると...医師も驚く結果が。
ヘモグロビンの数値が4.9しかなかったのだ。
女性の場合、ヘモグロビンの数値は、10.9以下で貧血だと診断される。
ヘモグロビンが不足すると、体の隅々まで酸素が行き渡らなくなってしまう。
心臓は、酸素不足を解消しようと鼓動を速め大量の血液を流すが、その結果肺や心臓に負担がかかり命に関わることもある。
眞珠さんは、まさにその状態...すぐに輸血をすることになった。
原因は指定難病の珍しい病だった!
一方、医師には他にも気になることが。
それは...眞珠さんの問診票に書かれていた、頻繁な鼻血や下血の症状。
詳しい検査が必要だと、大学病院内の医師数人で精密検査を行った。
すると、恐ろしい症状が次々と判明する!
まずは...大腸の中に無数のポリープがあり、その一部から出血していた。
下血の原因はこれだった。さらに、肺動静脈奇形も見つかった。
肺動静脈奇形とは本来、毛細血管を介するはずの「肺動脈」と「肺静脈」が、直接繋がってしまう病。
治療が遅れれば命の危険もある。
医師から両親や血縁の人に同じ症状の人がいないかと質問があった。
思い当たるのは、亡くなった父...確かによく鼻血を出していた。
そのことを聞いた医師は、今回の症状を「オスラー病」と特定した。
オスラー病とは、遺伝性出血性末梢血管拡張症という指定難病に認定されている珍しい病気。
毛細血管が拡張したり、消滅したり、血官が異常に繋がったりすることで、体内の様々な箇所から出血してしまう。
その血管の異常が、肺や脳、肝臓その他の消化器官などで起こると、
脳出血や脳梗塞、心不全などに繋がり命の危険もある病。
そして、オスラー病は遺伝する病。
実は眞珠さんの父親は、胃ガンで亡くなる前に突然呂律が回らなくなることがあった。
病院へ行くと、脳の血管に異常が見つかったのだが、これはオスラー病が原因だった可能性があるということだった。
眞珠さんは、下血の原因となった腸の一部を切除し、肺の動静脈奇形はカテーテルで治療された。
入院は半年に及んだが無事退院。
この病は完治することはないというが、医師からは月に1度の通院を続ければ大丈夫と言われている。
遺伝する病ということで、他の姉妹は今度検査を受ける予定だという。
眞珠さんは、「三姿舞」としての活動を再開。
同じ病気で苦しむ患者会にも参加し、この病気を世に知らせるための活動をしていきたいと思っている。