本村弁護士の見解 ある日本人男性が、東南アジアから帰国した時に、 空港で荷物のチョコレート缶の中から覚せい剤が見つかった事件です。 このチョコレートの缶は、男性が海外で知人から預かったものでした。 事件の争点は、缶の中身が覚せい剤と知っていたかどうかです。 第1審では、一般市民から選ばれた裁判員による裁判員裁判の結果、 缶の中身が覚せい剤であることを男性は知らなかったと認定して、 無罪を言い渡しました。 ところが高等裁判所では、プロの裁判官による審理の結果、 缶の中身が覚せい剤であることを男性は知っていたと認定して、 逆転有罪で懲役10年を言い渡しました。 最高裁判所は再逆転無罪を言い渡し、 裁判員裁判の事実認定を尊重すべきだと述べました。 裁判員裁判では、 一般市民から選ばれた裁判員の市民感覚が反映されます。 それが裁判員裁判を導入した狙いです。 しかし、裁判員裁判が行われるのは第1審だけなんです。 もしプロの裁判官が裁判員裁判の事実認定を簡単に覆してしまうと、 制度が成り立たない。 最高裁が明言したのは、非常に意義がある事だと思います。 |