フリースタイルコンピューティング部門How (not) to get hit by a self-driving carTomo Kihara + Playfool
「自動運転車とぶつかる(ぶつからない)方法」は、AIの死角を発見するために敢えて自動運転車にぶつかりにいくゲームです。横断歩道を渡りながら AI に「歩行者」と検知されないように工夫し、スクリーンに表示される AI の確証度を一定以下に保ちながらゴールに到達する必要があります。プレイヤーの巧妙なアプローチが成功するたびに、AI が歩行者を検知できないデータが蓄積され、より安全な自動運転技術の進化に寄与する可能性があります。
ARTIST PROFILE
- 木原共
- 新しい問いを引き出す遊びをテーマに、実験的なゲームやソフトウェアの開発を行うメディアアーティスト。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、オランダのデルフト工科大学院のインタラクションデザイン科を修了。その後、アムステルダムに拠点を置く研究機関WaagFuturelab に参加。近年の作品はアルス・エレクトロニカ STARTS PRIZE (リンツ、2021 年)にノミネートされたり、Victoria & Albert Museum(ロンドン、22 年)で展示された。
- Playfool
- Playfoolはダニエルコッペン(英)と丸山紗季(日)によるデザイン・アートユニット。共にRoyal College of Artを修了し、あそびを媒介に人と技術との関係性のありようを探索している。制作手法はオブジェクト、インスタレーション、メディア表現と多岐にわたり、あそびの内省的かつ探索的な特質を強調した作品制作を行う。作品はロンドンのV&AやウィーンのMAK応用美術館などで広く展示されている。
メタバース部門
GOLD MEDALバーチャルドミネーションノガミ カツキ
「バーチャルドミネーション」ではVR技術を通じた身体とデジタルの関係、デジタルテクノロジーが引き起こす制約からの身体解放、仮想現実における身体の所有権とアイデンティティの変容、現実とバーチャルの比較を通じた身体の重要性の再評価、社会的死の概念、AIやディープフェイク技術による死後の存在などが論じられています。仮想現実が私たちの感情や行動に及ぼす影響や、身体の現実と仮想の違いが強調され、アイデンティティの変容が広範な効果をもたらす可能性が示唆されています。
作品の内容をちゃんと見て評価してくださる場所と作家を支援する機会があって嬉しいです。ありがとうございます。
ARTIST PROFILE
新潟県長岡市出身。現在パリ在住 Cite des Arts in Parisにて1年間のレジデンス中。
リンツ芸術デザイン大学インターフェースカルチャー、パリ第8大学ATIに在籍。
2018年モントリオールのコンコーディア大学Topological Media Labの客員アーティストとして在籍。
ベルリン芸術大学オラファーエリアソンゼミに交換留学。武蔵野美術大学卒業。
大阪北加賀屋に千島財団が主催管理のパブリックワークを恒久設置。千葉県のものづくり施設MONOWにパブリックワークを恒久設置。学生の頃から海外ビエンナーレ等に出展を行い17カ国での展示・上映経験がある。アルスエレクトロニカや文化庁メディア芸術祭、ifva香港を始めとした受賞多数にBehind the Mac、Forbes U30、映像作家100人、フィンランドサウナアンバサダーに選出。VICEやWIRED、装苑などのメディアで作家特集が掲載。
SILVER MEDALConversation Echo蜂須 瞬
「Conversation Echo」は、話題をリアルタイムで反映させたVR環境を通じて、アイデアの発想やインスピレーションを促進します。これまでの研究では、創造性を支援するVR環境が独創的なアイデアの生成に寄与しており、海や森などの創造的な空間が認知的柔軟性を高めることが報告されています。背景として、AI技術の進化により、会話の話題や画像生成を高速に実現でき、リアルタイムで環境に反映させることが可能となりました。これにより、参加者は会話を通じて変化する環境で体験を共有できます。
この度は、大変光栄な賞をいただき誠にありがとうございます。審査委員の皆様、そしてコンテストを主催してくださった方々に心から感謝申し上げます。「Conversation Echo」は、会話の話題をリアルタイムでVR環境に反映する空間でのコミュニケーション体験です。本作品を通じてアイデアを表現でき、評価していただくことができたこと、誠に光栄に思います。改めまして、ありがとうございました。
ARTIST PROFILE
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project 所属
千葉工業大学創造工学部デザイン科学科 卒業
全国学生VRコンテストIVRC2022 審査員賞 観客大賞 企業賞受賞
BRONZE MEDALTypemanWOWOW×CinemaLeap
「Typeman」はメタバースでのリアルタイム演劇コンテンツ。アクターと複数の体験者が同一のバーチャルワールドに入り、アクターの実演を間近で鑑賞し、コミュニケーションを通じてストーリーを楽しむ。孤独感を抱える現代人に、人とのつながりを再認識してもらうことがコンセプト。体験者はメタバース空間の中で、世の中から忘れ去られてしまった「Typeman」と出会う。メタバースやXR技術の特長である「実在感」や「コミュニケーション」に焦点を当て、Typemanとの感情の共有を通して、孤独感を打破してもらうことが狙い。本作品をより多くの人に届けるために応募。
この度は日テレイマジナリウムアワード2023メタバース部門での選出をいただき誠にありがとうございます。「Typeman」はコロナ禍の最中である2022年に、メタバース空間を使って人と人との繋がりを生み出すきっかけを作ることができないかと考えて制作しました。
今回の受賞をきっかけに、さらに多くの方々に作品をご体験いただき、Typemanと共に感情を分かち合う時間を過ごしていただけたらと願っています。
ARTIST PROFILE
監督略歴・活動歴:
伊東ケイスケ(VRアニメーション監督)
1986年生まれ。多摩美術⼤学グラフィックデザイン学科卒業。メーカーのグラフィックデザイナーを経て、現在はXRアーティストとして活動する。これまでにヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭、世界最大のCGの祭典SIGGRAPHなどで上映を行ってきた。ヴェネチア国際映画祭のVR部門では2020年より自身が監督を務めるVRアニメーション作品で4年連続ノミネート。2019年に『Feather』が第76回ヴェネチア国際映画祭にて、VR部⾨では⽇本⼈初のビエンナーレカレッジセレクションとしてプレミア上映。2020年に『Beat』は第77回ヴェネチア国際映画祭のVR部⾨、およびカンヌXR VeeR Future Award 2021にノミネート。2021年に『Clap』は第78回ヴェネチア国際映画祭のVR部⾨、およびカンヌ XR VeeR Future Award 2022にノミネート。2022年に『Typeman』は第79回ヴェネチア国際映画祭のXR部⾨にノミネート。2023年に『Sen』は第80回ヴェネチア国際映画祭のXR部⾨にノミネート。
XR部門
GOLD MEDAL戦災VR小松 尚平
「戦災VR」は、戦災写真のデジタルアーカイブと新興テクノロジーを活用して、新たな体験を提供し〈戦災の記憶〉を未来に繋げる試みである。「戦災VR」の体験では、3Dスキャナー技術を用いて体験者のアバターを再現し、戦災写真内で歩行させる。これにより、過去の写真の没入感を提供し、特に新たな世代に戦争の実感を伝える。体験者はタイムマシンのように過去の写真内をアバターとして歩行し、臨場感を感じる。本プロジェクトは、渡邉英徳研究室や被災地の地元クリエイターが収録した3Dデータや写真、PocketRD社の提供技術など、デジタルアーカイブや新興テクノロジーに支えられています。
「戦災VR」がXR部門大賞を頂き、誠に光栄に思います。本プロジェクトは、渡邉英徳研究室や被災地の地元クリエイターが収録した3Dデータや写真、PocketRD社の提供技術など、デジタルアーカイブや新興テクノロジーに支えられています。終戦から78年がたち、「戦後生まれ」が殆どを占めるようになりました。「戦災VR」が、戦争を考えるきっかけとなり、平和への価値を高める力になることを期待して、更なる研究開発に努めます。
ARTIST PROFILE
平成元年生まれ。東京大学大学院「戦災VR」作者、高知大学医学部 「医療×VR」学 特任講師。一般社団法人デザインシップ 理事、株式会社BiPSEE 取締役CPO。
LITEVIEW株式会社(2015)、一般社団法人デザインシップ(2018)を共同創業。2021年より、高知大学医学部「医療×VR」学/株式会社BiPSEE CPOとして、VR治療の臨床研究に携わる。2023年、東京大学大学院にて「戦災VR」開発に従事。経済産業省のデザイン振興施策に関する共同プロジェクトなどに携わる。
SILVER MEDALARコミック「壁」今谷 真太郎
ARコミック「壁」は縦スクロールマンガの進化形で、ARを活用した未来のマンガ形態。読者の歩行を時間進行に置き換え、歩くことでコマが移動。コマの形態も変化し、初めは平面に映るコマが、後にデバイスの画面(またはHMDの視界)そのものがコマとなる。XRコンテンツとして効果音やアニメーションを排除し、コマの本質を重視。読者がコマの時間や空間を自由に設定できる点が、マンガと他の映像との最大の違いとして強調されている。
この度はこのような賞をいただき、大変光栄です。今まで漫画だけでは中々ウケることができませんでしたが、XRと組み合わせることでクリエイターとしての可能性が見出せたかなと思います。XRが存在する世界線に生まれてよかったです。
ARTIST PROFILE
1995年生まれ。豊田工業大学工学部卒業後、メーカー勤務を経て2021年情報科学芸術大学院大学[IAMAS]博士前期課程に入学。以降、XRコンテンツの制作を始める。在学中にARコミックにて第27回学生CGコンテストエンターテイメント部門評価員賞、2021年アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA学生/エンターテインメント(産業応用)部門大賞、XR CREATIVE AWARD2022大賞などを受賞。
BRONZE MEDALInformalized Void竹澤 風太
「Informalized Void」は見えない物体を追いかけるように指差しを行うロボット群からなる作品です。見ることのできない対象に対して、ロボットたちの動きから様々な情報を感じ取ることができます。
近年、ARのように情報を画面の中に留まらず空間にも出現させる技術が登場していますが、本作品から感じとれる「見えない何かの様子」も、画面を飛び出した「情報」のあり方の一つだと言えます。今後、「情報」と我々の関わり方はどのように進化するのでしょうか。
この度は大変栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。 この作品は私達が普段接しているスマートフォンやPC、VRゴーグルのような「メディア装置」を自身の手で新しく作ってみたいという思いで制作しました。「今ある形」からいったん離れてみて、「今まだないもの」の可能性を想像することはとても刺激的で楽しいことです。この作品が、「今まだないもの」を想像することのきっかけになれば嬉しいです。
ARTIST PROFILE
1999年生まれ。情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] 修士二年所属。学部時代は電気通信大学に在籍し、ヒューマンコンピューターインタラクション (HCI)分野での研究開発を行う。現在は大学院にてインタラクションデザインを学ぶ傍ら「新たなメディア装置を開発することを通して未知の表現を模索すること」をテーマに領域横断的な制作活動を行う。
フリースタイル
コンピューティング部門
コンピューティング部門
GOLD MEDALぬけがらメトリ森田茉莉+橋田朋子
「ぬけがらメトリ」は、3Dスキャン技術を使用して物体の曖昧な表層を取り出す試みです。フォトグラメトリ手法による3Dスキャンの際に、物体にポリ袋などの半透明な覆いを被せると、物体の表面が覆いに貼り付いたような、本来とは異なるかたちのスキャンデータが出来ます。通常の 3Dスキャンでは失敗とされるようなこの現象を新たな表現手法として捉え、中身を失い表面だけが残された様を「ぬけがら」のような状態と解釈しました。さらに得られたスキャンデータを再び実体化することで、物体のそのものらしさや実在感の境界にあるような表現を生み出しています。
この度は素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。この作品は手探りの中で生み出され、当初は自分でもどう言い表すか悩んでしまうような不思議な存在でした。それでも「ぬけがら」の面白さや新しさを信じて制作を続けてきました。なので今回、皆様にこの取り組みを評価して頂けたことを大変嬉しく思います。今後も新たな制作に挑戦し、まだ見ぬものを生み出していきたいです。
ARTIST PROFILE
- 森田茉莉
- 1999年生まれ。早稲田大学大学院基幹理工学研究科表現工学専攻修士課程在籍。デジタル技術の特性を用いて、現実と仮想の境界を探るような作品を制作している。
- 橋田朋子
- メディアテクノロジー研究者、博士(学際情報学)。よく知っているようで思いがけない、見慣れないけどありうるかもしれないモノやコトを具現化する研究や作品制作に取り組んでいる。
SILVER MEDALまなざしをまなざす橘卓見・沈有方・李暁彤
「まなざしをまなざす」は、現代社会において視覚コミュニケーションの重要性が高まる中、他者の視線が生じる身体の変調を体験させる映像作品です。観客が画面内で注視する箇所で映像が変化し、他者の視線の持つ加害性や攻撃性を視覚的に体感させます。光学機器や人工知能による技術の進化に伴い、視覚情報の生成・共有が増加している中で、この作品は他者の視線の影響を問い直し、コミュニケーションの複雑さを浮き彫りにしています。
日本テレビ開局70周年という記念すべき節目に、映像作品を通じて結ばれましたこと、大変光栄に思います。まずは共同制作メンバーと喜びを分かち合うとともに、作品制作に関わってくださった皆様全員に深く感謝申し上げます。本作品は、映画制作の過程で遭遇する出来事に端を発しています。メディアアートという文脈においては初めての制作であり、この度の受賞が今後の創作活動を大きく後押しする契機となることを予感せずにはいられません。
ARTIST PROFILE
- 橘卓見
- 2000年生まれ。東京大学医学部医学科5年。
東京大学大学院情報学環教育部およびENBUゼミナール監督コースにも在籍し、免疫学研究の傍ら写真・映画をはじめとした映像制作を行う。 - 沈有方
- 2001年生まれ。東京大学大学院学際情報学府 修士課程1年。
- 李暁彤
- 1998年生まれ。東京大学大学院学際情報学府 博士課程1年。
BRONZE MEDAL※写真はイメージですAsuka Ishii + Kazuki Nagata
「※写真はイメージです」は、AIが生成した画像と、それを現地で模倣して撮影した写真を対比させる作品です。AIは「江ノ島」の特徴を捉えた画像を生成しますが、比較的わかりやすな特徴と、人間が無意識に認識する難解な特徴が組み合わさります。写真と生成画像の比較により、私たちの「江ノ島」に対する意識と無意識が浮かび上がり、そのイメージの形成における欲望が探究されます。さらに、これらの画像は再びインターネットに投稿され、AIの学習データとして用いられ、イメージと現実の相互関係を探ります。
このような賞をいただくことができ大変光栄です。
本作は、AIが生成した画像になるべく似るような写真を撮り対比する・それらをインターネットにアップロードするという作品です。インターネット上のイメージ、データセットが生むバイアス、消費への欲望、場所性の起源......こういったことを考えながら制作しました。受賞にあたり、本作品のご指導をいただいた研究室の皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
ARTIST PROFILE
- Asuka Ishii
- 2001年 札幌市生まれ。AI(人工知能)を用いた視覚表現と自然言語表現に関心を持ち、メディアアート作品の制作を行う。
〔賞歴〕
2022 Yamanashi Media Arts Award 2021 Y-SILVER(優秀賞)(Yamanashi Prefectural Museum of Art / 山梨)2022 Asia Digital Art Award 2021 General Category Interactive Arts Finalists' Award(Fukuoka Art Museum / 福岡)他多数 - Kazuki Nagata
- 2001年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部在籍。「(ポスト・)ポスト・インターネットにおける抵抗」をテーマに、作品制作やソーシャル・プラクティスの実践を行う。
[賞歴]
IMA NEXT THEME #24MEMORIES SHORT LIST
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業【国内クリエイター発表支援プログラム】 採択
受賞者一覧
- VR アートパフォーマンス “祀りごと”石原 延啓 越中 正人
- Avater Performance "桃太郎"
VR Audio Visual Performance - 甦るVR太陽の塔 ver.5日本工業大学「甦れ!太陽の塔」プロジェクトチーム
- XR部門
- Homo-cinematic
- Metaverse WindowScapeだれかとどこか(石田康平×畑田裕二)
- XR クラブイベント「シュッとしとるヤツ」チーム「シュッとしとるヤツ」
- Homo-cinematic
- フリースタイル
コンピューティング部門 - "聖剣を継ぐ者 - 集中の証明 - The Legend of Holy Sword-Proof of Concentration -"園山遼馬、旭博佑、正田千宙、小谷七海
- SHIBAMATA VR七海 麻衣
- BEAR ART TOKYO緒方 ゆうと
この度は、初開催となるこのアワードにて、グランプリという身に余る賞を頂き、誠にありがとうございます。フランスの思想家、ポール・ヴィリリオは「新しい技術の発明は、新たな事故の発明でもある」と指摘しましたが、AI関連の技術が社会に広く普及するいま、私たちが直面する「新たな事故」とは何でしょうか?—この作品がそのような問題について考えるきっかけとなれば嬉しいです。