日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員 石澤 顕、以下日本テレビ)は、2023年日本民間放送連盟賞 技術部門において、「ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継」と「AIモザイク編集ソフト『BlurOn』」の開発の2テーマが優秀賞を受賞致しました。
日本民間放送連盟賞の技術部門は、放送技術に関する開発・改良等によって、民放事業に貢献し、その発展に寄与したと認められるものに授与されるものです。
日本テレビでは、今後も積極的な新技術の導入により、皆様へ迅速な情報提供と魅力的なコンテンツをお届けできるよう更なる開発を進めてまいります。
ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継
~自由視点映像による新たな映像体験を提供~
ボリュメトリックビデオ技術により360度自由なカメラワークで野球中継を制作し、従来の中継では決してできなかった新しい映像体験の提供を行っています。革新的なプロ野球中継を実現させた技術・工夫が高い評価を受け、受賞に至りました。
ボリュメトリックビデオ技術であらゆる位置・角度からのリプレイ映像を提供
本取り組みを実現させたボリュメトリックビデオ技術とは、選手や演者の動きを3次元データに変換することで、あらゆる方向から見た映像を鑑賞できるようにする技術です。まるでグラウンド内に入り込んだかのような選手目線の映像や、ファインプレーの瞬間に時間を止めて、上下左右自由に回り込むようなハイライト映像を作成するなど、通常のカメラでは撮影できない視点の映像を生成し、これまでにない新しい野球中継を実現しました。
●主な実績
・読売ジャイアンツの今季東京ドームで開催される全試合 ※1 にて実施 (昨季は5試合で実施)
・2022年度(一社)日本映画テレビ技術協会 第76回映像技術賞
・2022年度(一社)映像情報メディア学会 技術振興賞 コンテンツ技術賞
●受賞者のコメント
★起案/制作 佐々木聡史(スポーツ局 プロ野球中継プロデューサー)
★現場技術 渡邊勇二(技術統括局 制作技術部)
★起案/開発 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
自由度の高いボリュメトリックビデオによる番組づくりは、想像以上に高いスキルと経験を必要とします。通常の野球中継と大きく異なる環境に適応しながら、番組制作を続ける多くの関係者の努力があって取り組みが実現できています。今後も技術の革新と創造的アプローチを融合させ、見たことのない映像により、スポーツの魅力に関する“新たな気づき”を生み出せる番組制作を目指してまいります。
●協力:キヤノン株式会社、株式会社読売新聞東京本社
※1. 2023年シーズンのジャイアンツホーム戦の放送日程は、以下URLの日本テレビ公式サイトをご覧ください。
日本テレビ野球中継ホームページ:https://www.ntv.co.jp/baseball/schedule/
AIモザイク編集ソフト「BlurOn」の開発
~働き方改革と適切な個人情報保護の実現~
テレビ番組の映像編集作業の中でも、映像編集者にとって大きな手間になっているのが個人情報保護・プライバシーの観点から通行人の顔などに「モザイク入れ」を行う作業です。映像に1フレームずつモザイク入れを行うため、1分間の映像に対して1時間以上の作業時間が掛かることもあるなど、制作現場の大きな負担となっていました。その課題を解決するために日本テレビとNTTデータが共同開発したAIモザイクソフト「BlurOn」は画像認識AI技術によりモザイク入れ編集を自動化することで、作業時間を最大90%削減することに成功し、さらに99.7%の検出精度により漏れがほとんどなく、番組制作現場の働き方改革に貢献しています。
BlurOnは日本テレビの番組はもちろんポスプロ(映像編集会社)にも導入され活用が進んでいるだけでなく、放送業界以外でも利用が進んでおり、ドライブレコーダーや監視カメラの映像を取り扱う業界などにおいても個人情報を保護した適切な映像活用を推進しています。
●BlurOn 製品WEBサイト https://blur-on.com/
●主な受賞歴
・2023年度(公財)放送文化基金 第49回放送文化基金賞 放送技術部門受賞
・2022年度(一社)日本映画テレビ技術協会 第76回技術開発賞受賞
・2022年度(一社)映像情報メディア学会 技術振興賞進歩開発賞 現場運用部門受賞
●BlurOnユーザーのコメント
ユーザーの方々から以下のコメントをお寄せいただいております。
・手作業と比較して段違いに処理速度が速い
・もうBlurOn無しでのモザイク入れ作業は考えられない
・編集作業が効率化されて早く仕事が終わるようになり助かっている
・社会的にも個人情報保護の要望が高まっているので、こういうソフトは絶対に必要
●受賞者のコメント
★担当者 杉町夏実(社長室 新規事業部)
このたびの受賞を大変嬉しく、光栄に思っています。個人情報保護の意識が高まる近年の社会において、求められるモザイク入れ作業の量も質も高まり続けています。そんな映像編集現場の働き方改革に貢献すべく開発したBlurOnは、圧倒的な検出精度と番組制作現場での実用的な機能を兼ね備えた「本当に使える」プロダクトになりました。今回の受賞を励みに、番組制作技術の効率化と質の向上によりいっそう貢献できるよう、今後もさらなる開発を進めてまいります。
●共同開発:株式会社NTTデータ
~日本テレビの過去の日本民間放送連盟賞【技術部門】受賞歴~
●2022年 最優秀「AI業務支援システム『エイディ』」の社内開発と運用」
●2022年 優秀「WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール『クラポ』の開発」
●2021年 優秀「クラウドプレイアウトを用いた日テレ系ライブ配信システムの開発」
●2019年 優秀「画像認識AIを用いた番組応用と展開」
●2018年 最優秀「画像認識AI技術を用いた番組制作支援」
●2016年 優秀「スポーツ生中継用超小型審判目線カメラの開発と現場導入」
<以降省略>
以上
日本テレビ放送網株式会社 総務局広報部