第465回日本テレビ放送番組審議会は、2013年2月11日の夜9時から放送された開局60年特別番組『海を渡ったサムライ&なでしこ 世界が認めた日本人に感謝状スペシャル』に関しての合評が行われました。
「日本を元気にしたい、テレビの元気さを再び伝えたい」をテーマに作っている開局60年番組の中でも、特に「若い人にメッセージを伝えたい」と思い、海外に出かけた数多くの日本人の中でも、「現地の人に本当に頼りにされ、尊敬を集め、日本人として誇りに思えるような活動をしている人」を選んで制作した番組です。
- 「志」を持って海外に渡った日本人を紹介することで、日本人としての「自信」や「誇り」を取り戻せるような元気をもらえた番組だった。この番組を通して、「こんなに頑張っている人がいるんだから、自分もちょっと支援したい」と思う人も多いはずで、メディアの力の良い循環ができていくと思った。
- コメンテイターに若い世代の人がいて、感想を聞いてみても良かったのではないかと思った。また、リポーターも、その国や分野に関心がある人や、造詣が深い人が混じっていたら、もう少し面白くなったのではないかと思う。「日本人って素晴らしいと思った」というコメントに、国力が落ちたと感じた。
- 「これからの若い人に」ということであるなら、成功者だけでなく現実にもがいている人をちょっと見たかった。若干、一人一人のドキュメント部分に悔いたり無さを感じた。また、スタジオでどうしても「凄い」「凄い」の連発になってしまうのは、もう少し言って欲しいと思った。
- 名誉もお金も初めから追及したわけではなく、ただ、ひたすら考える暇も無く忙しく頑張っていた人たちを、若い人たちに誇りに思ってもらいたい。「諦めなければ全て成功するわけではないが、それでも諦めなかったので、今、私はこうしていられる」という星出さんの言葉が、一番強調されたら良かったのではないかと思う。見終わった後、「凄い人たちは皆、海外に出てしまって、日本に残ったのはカスばかり」という印象になってしまったのは残念だと思う。
- メッセージより、ドキュメントそのものが「良いものは、やはり良い」と感じた。しかし、全体として詰め込みすぎていると思う。また、ゲストも多すぎる印象がある。若い人に聞かせるならば、もっと重みのある人を選んで人数を絞ってもらいたいと思った。
- リポーターと世界で活躍している人の接点が無く、言葉の引き出し方が勿体無い。心に響いているところが余り見られなかったのが残念。国民栄誉賞に輝くような立派な方々をお笑いタレントのような扱いにしているような最近の傾向は見ていて「痛い」感じがする。
- 「こういう番組は、特番ではなくレギュラーにしてもらいたい。インタビューに行った人たちが真摯に話を聞いている姿勢はとても良いと思った。ただ、感謝状を与える人と与えなかった人がいたのは何故か?与えるのであれば、全員に与えてほしかった。
この御意見を受けて、日本テレビ側は次のように答えました。
感謝状を渡した人と、渡していない人がいた理由としては、現場でご本人が「皆でやっていることだから、自分だけ貰うのは避けたい」と仰り、そのお気持ちも理解できたのでお渡ししなかった。
また、「全体のトーンが、やや物質主義により過ぎたのではないか?」という御指摘は真摯に受け止め、今後の参考にしたいと思う。