決算説明会

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2003年2月4日(金)午後2時半よりエデュカス東京にて

2002年度第3四半期 スモールミーティング

細川知正 取締役・執行役員常務経理局長

日本テレビ単体の第3四半期の経理的な数字について、私からご報告させていただく。

テレビ収入の中の放送収入は、前年とほぼ横這いの状況となっており、細かく申し上げるとタイムのレギュラー枠が実質前年を下回り、番組販売収入が多少増えている。その他収入の中では事業収入が前年をかなり上回っている。これは、ポール・マッカートニー日本公演が収支に大きく影響し、ほとんどがその部分での増加となった。

結果として売上は前年を上回ったが、利益は減少となった。これは、事業収入はどうしても利益率が低く、全体的な売上が上がったとしても利益に反映しないという構造になっているためと考えられる。

放送収入は、10月から12月にかけて横這いで、スポットの売上が少し前年を上回る結果となった。特に11月は15カ月ぶりに前年比増となり、あくまで前年との比較だが回復しつつある。逆にタイムは減少しており、しかも日本シリーズを入れ込んだ上での数字なので、かなり落ち込んでいることになる。にもかかわらず最終的な数字がそれほど大きく減少していないのは、やはり日本シリーズがあったことと、地方局へ支払われる電波料のいわゆる「通り抜け」の数字がそのまま入っているため。スポットは僅かながらプラスに転じた。10月は実は予想に反して前年比をクリアせず、11月と12月でクリアした。とは言うものの、前々年に比べるとまだかなり低い。回復基調が必ずしも好調というところにまでは至っていないというのが現状だ。

業種別シェアで見て4月から12月で前年比100%を超えたのは輸送機器と電気機器のみとなっていて業種別では小さい部類に入るため、全体としてはマイナス7.7%となっている。第3四半期にはかなりの業種で100を超えているが、トップ業種である食品・飲料が100を切っているので最終的な数字がどうしても伸びない。金融・保険についても私達の最も得意な分野なので、回復が遅れているのは痛い。

制作費はほぼ横這いの状況。11月は日本シリーズがあったことで支出に影響が出た。また、CS日本の立ち上げによる制作費増もあるが、全体としては横這いになっている。設備投資と減価償却についてこれまでの数字を若干修正した。現実の数字が実際に動いてきているため。

松本正樹 執行役員経営戦略局長兼秘書役

グループ会社の第3四半期の概況についてご説明する。各社概ね順調に推移している。国内の連結対象10社の内、増収が7で減収が3、増益が4社で減益が6社となっている。

制作系の中では、日本テレビ映像センターと日本テレビビデオが制作技術と報道技術の移管で業務拡大し、増収となった。通年でも順調。放送以外では、日本テレビ音楽が「アンパンマン」や「ルパン三世」関連の商品が好調。VAPについては、昨年のミスチルのような大きな売上がなかったので大幅ダウンとなっている。コンテンツ系については、市場動向を見ながら売上増に努めた。フォアキャスト・コミュニケーションズは、携帯向けのMY日テレやアンパンマンのサイトが好調で、通期で増収増益が予想される。BS及びCSについては、加入の状況を見ながらコスト管理に努めている。BSは336万世帯にまでなったが、広告出稿が少なく第3四半期には減収減益。

萩原敏雄 取締役COO・社長

現在の状況に加えて来期の見通しや取り組みについてもご説明したい。

まず視聴率だが、ご承知の通り9年連続での四冠王を獲得した。下半期、年度と合わせて四冠王を確保する見込みとなっている。1月以降も5週が経過したが状況は変わらない。後で申し上げるが、10月以降この業界の勢力図が変わってきてこうした状況はさらに顕著になってきたと言える。また、1月も含めて54カ月連続での月間四冠王の新記録も更新中。日本シリーズがあり、その後の日米オールスター戦もあってかなりの数字が取れてプラス要素となったことは事実だが、何より大きいのはレギュラーのバラエティ番組が好調であることに尽きる。そのためプライムタイムを独走し続けている。また、ワイドショー関係でも「おもいッきりテレビ」や「ザ・ワイド」が引き続き好調であるのに加えて、一時心配していた「ズーム」も「情報ツウ」も思い切った改編の効果が徐々に出てきている。

10月に改編した番組の中では比較的報道系が順調となっている。「バンキシャ」が高い数字を出している上、「プラス1」もキャスターを交代して順調に推移している。また、23時台のいわゆる「別バラ」枠も思ったよりいい出足となっている。反面、これは日本テレビだけの問題ではないが、連続ドラマが非常に苦戦している。これが10月改編期の特徴と言えるが、この状況は1月にも継続している。

1月から新しい年に入り、日本テレビにとって今年は大事な年となる。今年四冠王を取ると10年連続になる。フジテレビが12年だったのでさらに2年取らなくてはならないが、とりあえず10に乗せたい。巨人軍がV9だったので、我々はV10と考えている。それにも増して今年は創立50周年、汐留新社屋もあるので、何が何でも取らなくてはならない。その意味では、順調に滑り出し、年度四冠王は確実、下半期も圧倒的な勢いでトップに立っている。

先ほど触れたように業界の勢力図が変わりつつある。一言で言えばフジテレビの低迷、ということになる。10月からその傾向がかなりはっきりしてきた。これまで何とか2位の座を死守するための主たる原動力だったドラマだが、全体的に下がってきている。バラエティについてはまだまだ再建途上なので、ドラマが落ちて非常に苦しくなっている。このところフジテレビが3位、TBSが2位という現象が続いている。全日はまだフジテレビが2位を維持しているが、10月以降のゴールデン、プライムでフジテレビが置かれた状況はかなり深刻だ。下半期のゴールデン、プライムではTBSの2位が確定的になりつつある。もちろん非常に珍しく、何年ぶりかの出来事となる。

我々が四冠王を取り続けてきたこの9年間もフジテレビは常に2位だった。下半期だけで申し上げると、18週で日本テレビの平均はプライムとゴールデンでそれぞれ15.0%と15.3%で前年と変わってない。フジテレビは14.1が13.2に、13.9が12.8に落ち込んでいる。18週ということなので、これは一時的な現象ではない。TBSも13.7が13.5に、13.6が13.5に、と若干下げている。こうした傾向が続くと年度の平均でもゴールデンではTBSが逆転する可能性もまだ残されている。1月については日本テレビとフジテレビとの差はゴールデン、プライムで各2.6%、3.5%、TBSとは2.5、2.7となっている。

年間で四冠王を取るためには、1月から3月にかけて2位と差をつけてからナイターのシーズンに入るというのが基本戦略。その上で9月で勝負を決めて10月からの編成は来年、再来年に向けての布石を打つ、というのが9年間の基本戦略だった。ある意味では計算通りというより計算以上の状況となりつつある。「箱根駅伝」が30.4%、「千と千尋の神隠し」が46.9%という高い数字を記録したが、こうした数字も含めて現在の差が開いた状態となっている。「千と千尋」をあえてあの時期に放送したのは、とにかくぶっちぎって、という戦略に基づいている。その意味では非常にうまくいった。

4月からの編成に関しては、スポット営業とも関連するので、簡単に申し上げたい。日本テレビとフジテレビとの視聴率の差が拡大傾向にあるのにスポット収入についてはこの差がそのまま収益差に結び付いていない。そこで4月以降どうするか、について申し上げるとまずいわゆるF1信仰は必ずしも各メーカー、流通業のニーズに合っているとは言えない。不況下で唯一の足掛かりがF1であるかのように言われているが、不況時にはまずタイムセールスをきちんとやるのが鉄則と理解している。その上でスポット収入増加のために、F1層を取り込んでいく努力が必要となる。したがって、そのために編成的に何らかの措置を取ってF1を吸収しようという取り組みの1つとして「別バラ」枠を作った。

4月は夕方に月~金で夕方の再放送枠に生放送の番組を作る。F1、F2向けの情報番組を想定している。また、10時半から11時半までの再放送枠についてもNNN24を中心とした生放送の情報番組に切り替える。ドラマの再放送はF1対策という意味ではあまり期待できず、本数も少ない。「太陽にほえろ」等を流していてもF1の取り込みは実際には難しい。「別バラ」も1枠は改編する。視聴率を見た場合、悪くても8%は取れており、数字に問題があるわけではないが、F1層を取り込んでいないことが判ったので改編に踏み切る。また、「ズーム」ではキャスターを福澤アナから若い羽鳥アナに思い切って代え、1日だけの数字だが14.2%とキャスター交代の影響は出ていない。こうした形で若返りも図っていく。さらに土日の午後の編成もF1、F2向けに、またプライムタイムの新番組でもF1が取れる番組ということで土曜日22時の枠に思い切ったエンターテインメント番組を置く。フジテレビが世帯視聴率で苦労している中、ある意味F1でも我々にチャンスがあると思う。そのための思い切った編成を考えている。

放送外収入についてだが、広告収入は2、3年前がピークだと考えており、本業のみならず副業を本業の一部としていくための組織改革や職務分掌の改訂を行った。つまり番組を作るだけでなく、映画も作ればイベントもやり、グッズも販売する、ということが出来るようにするための職務分掌の改訂で、例えば今年までは映画については出資のみだったが、日本テレビ主体で自主企画、自主制作をしていくことになった。これは出資ではないが、「たそがれ清兵衛」は順調で、事業イベントでいえばポール・マッカートニーは大成功した。3月にはローリング・ストーンズが予定され、来期にはミレーの三大名画展も開催される。こうした事業でも収益性を重んじて企画していく。グッズについては、「伊東家の食卓」や「おもいッきりテレビ」関連のグッズをロイヤリティー収入だけでなく流通も含めて本業化していく方針だ。

地上波デジタルは、今年の暮れからその体制に入る。普及には時間がかかるだろうが、編成的にはHD化を進める。汐留は全てのスタジオがHD対応となっていて、「ズーム」や「情報ツウ」をはじめとする生番組は費用をかけずにHD化が出来る。また巨人戦もHDで放送する。また、アナログ放送が終わる2011年以降にも再放送して採算が取れると期待していることもあり、現在の番組をHDで残していくことが重要となる。「火曜サスペンス劇場」やドキュメンタリーの一部はHDで収録していくことになる。とはいえ、まずはアナログでの圧倒的勝利を目指し、ひいてはそれがデジタル時代でも圧倒的勝利を得ることにつながると考えている。そのためにはやはりクリエーターの育成が重要。技術優先ではなく、あくまで良い番組を作ってその中で技術を取り入れていきながら勝利を目指す。

BSは、その特性であるHD放送を地上波デジタルが普及するまでBSの特性として続けていく。他局のように大きな出資をする気はない。現在の状況をしばらく見守る。CSは、ちょうどスタートと景気の悪化が重なり、非常に苦戦している。どう辛抱していくかが当面の戦略となる。大きな投資をしてリスクを負うのではなく、しばらくは辛抱せざるを得ないと認識している。

営業面を見るとタイムでは世帯視聴率で圧倒的勝利を収めていることを基盤にフル稼働していく。19時台と20時台は非常に強いが、22時台が弱くて3位になることがしばしばだ。この辺の強化は課題となっている。

今季の巨人戦については、全ての曜日で1時間延長を決定した。最大の商品としてあくまで商品価値の堅持に全力を挙げる。松井が抜けて心配する向きも多いが、松井ファン=巨人ファンではない。かつてONが抜けても急激に視聴率がダウンしたわけではなかった。要はいかに面白い野球をするかが巨人戦の視聴率を左右する。必ず新しいスター、新しい巨人の顔が生まれてくると信じながら、日本テレビの目玉商品として強力に推し進めていく。ヤンキース戦の放送に関してだが、試合の中で松井が出てくるのはほんの数分しかない。そのために他の17人のプレーを見たいという人がどれだけいるのか。「ズーム」を潰してまでヤンキース戦を放送するのは視聴率的にも営業的にも意味はない。我々にとっての米びつはあくまで巨人戦であってヤンキース戦ではない。高い放映権料を払ってまで取りにはいかない。

制作費の問題だが、前にも申し上げた通り番組のクオリティーを下げることは一切考えていない。編成上でメリハリをつけるためトータルの制作費を収入に見合う形にすることはあるかもしれない。一律何%カットという愚は一切しない。