スポーツ局
アスリートの戦う姿を
追いかけていく
スポーツニュースディレクター
松澤 唯Yui Matsuzawa
2016年入社
教養学部 アーツサイエンス学科 卒
『NEWS ZERO』『Going! Sports&News』でディレクターとして、レスリング、フィギュアスケート、空手道、パラスポーツなどを担当。レスリング・世界選手権、ユース五輪・アルゼンチン大会など海外での取材も経験。
飛び散る汗がかかるほどの距離で
『NEWS ZERO』や『Going! Sports&News』などの番組では、日々さまざまなスポーツニュースが取り上げられています。私はディレクターとしてスポーツの現場に足を運び、取材を行っています。担当する種目はレスリング、フィギュアスケート、空手道、パラスポーツなど様々。スポーツニュースの魅力は、飛び散る汗がかかるほどの距離でアスリートの戦う姿を目撃できることです。この仕事をしていないとみることができない熱気や喜怒哀楽。生で見たこと、聞いたこと、感じたことを多くの視聴者に届けるため、今日も取材に出かけます。
「誰よりも玄人になれ」「誰よりも素人になれ」
私が取材時に大切にしている言葉があります。それは「誰よりも玄人に、誰よりも素人になれ」です。これは入社当時先輩から言われた言葉で、まずその競技に玄人=詳しくならないと選手・競技の真の魅力はわからない。しかしその魅力をOAで視聴者に伝える際には素人=どこまで誰にでもわかるようにハードルを下げるかのさじ加減が大切ということです。もともとスポーツ全般に疎かった私は「ただの素人」、当初は戸惑うことばかりでした。取材を重ねるうちに私自身もスポーツの魅力にとりつかれ、自然ともっと選手・競技を詳しく知りたいと思うようになりました。
「試合が動く瞬間」を伝えたい
スポーツの試合会場では、「試合が動く瞬間」を肌で感じることがあります。あるフェンシングの試合を取材していたときのこと。相手に1対9と大差をつけられ勝敗は決まったという空気が流れる中、負けていた選手が、思い切って反撃に転じて1点を返したのです。その瞬間、私は選手同士の間に漂っていた空気が変わったような気がしました。そこから怒濤の反撃で、試合は見事にひっくり返ったのです。あのとき感じたような「試合が動く瞬間」「肌で感じる空気が変わった瞬間」を、どのように映像で表現すればテレビの前のみなさんに伝えることができるのか。その探求がスポーツディレクターの命題であり、この仕事のおもしろさだと感じています。
100の準備を捨ててでも…
取材に出かける前は入念な準備を行います。その試合の意義、選手の過去の戦績やプロフィール、ファンや視聴者が注目しているポイント…。「こんなニュースに編集しよう」と100の準備をしても、現場で何が起こるかは誰にもわかりません。あえて言うなら、準備した100を全部捨てて、事前に予測できなかったLIVEで起こった、よりおもしろいものを撮ってくることが私たちの使命なのです。取材を終えて帰社したら、OAに向け原稿を書き、映像を編集します。「なぜあれを撮っていなかったのか」「なぜあれを聞かなかったのか」と悔やむことばかりの毎日ですが、そうした経験を重ねて成長していくしかありません。翌日には切り替えて、次の現場へと向かいます。「筋書きのないドラマ」これを伝えることがスポーツの魅力。
追いかけてきた選手の活躍が励みに
初めて採用された私の企画は、平昌パラリンピックのアルペンスキーで金メダルを含む5つのメダルを獲得した村岡桃佳選手でした。学生時代、障がいをもつ子どもたちと一緒にキャンプやスポーツをするボランティア活動をしていたことから、仕事でもパラスポーツに関わりたいと考えていたのです。パラリンピック前、村岡選手が練習する群馬の山奥へ、小さなデジカメを持って一人で飛び込んでいきました。その日から取材を重ね、金メダルを獲得したレースは村岡選手のご家族と一緒に観戦し、その喜びをニュースで伝えることができました。追いかけてきた選手の活躍を伝えられることは、仕事の最大のモチベーションです。いま現在も何人かの選手に注目し、それぞれが挑み続ける姿を追いかけています。