社長室
日テレの制作力を
教育現場で活かしたい
新規事業部
大澤 弘子Hiroko Osawa
1992年入社
文学部 哲学科 卒
入社以来、番組制作の現場でディレクター、プロデューサーとして活躍。2015年より社長室企画部。中期経営計画の策定などに携わり、2018年より新規事業専従となる。
新規事業を将来の収益源に
テレビ局のビジネススタイルは、いま大きな変革期にあります。番組制作や放送そのものがなくなってしまうことはありませんが、これまでと同じことをただ繰り返しているだけではダメな時代です。そこで日本テレビでは「新規事業提案制度」を作りました。新たな収益を生み出すアイデアのある人は、誰でも提案することができる制度です。私は社長室企画部でこの制度設計に携わり、そして自ら率先して新規事業をドライブしてきました。その名も教育事業「みんなのドラマ」。まだ生まれたばかりの事業ですが、いずれ会社の収益の柱となれるよう、全力で育てていきたいと考えています。
テレビ局が持つクリエイティブの力
私は20年にわたって、番組制作の現場で働いていました。1つの番組には、何十人、ときには何百人というスタッフが関わっています。アナウンサー、タレント、技術者、スタイリストなど、それぞれ専門のスキルを備えたプロフェッショナルの集団です。所属や年齢、キャリアの異なる人たちの集まりですが、いい番組を作るという目的のもと、すばらしいチーム力を発揮するのです。「このクリエイティブの力を、番組制作以外にも活用できるのでは?」、そうした考えが新規事業の出発点でした。そこにかねてからの夢だった「子どもたちがそれぞれの個性を伸ばせる学校を作りたい」という思いが重なり、アイデアがふくらんでいったのです。それはやがて、アクティブラーニング教材というカタチにまとまっていきました。
教育現場だけでなく一般企業にも拡大
「みんなのドラマ」は、日テレが持つ番組制作のノウハウと、ポジティブ心理学・コーチング理論を掛け合わせた、まったく新しい教材です。教室でグループでドラマを鑑賞し、ストーリーの中で提示されるさまざまな課題に対してディスカッションすることで、知らず知らずのうちに子どもたちはお互いの個性を認め合い、少しずつ成長していく仕掛けになっています。また、これは社員研修などビジネスの現場で大人たちが取り組んでも同様に効果が高いものになっています。もちろん学びが深いだけではなく、日本テレビがどこにも負けない「人を楽しませる」というノウハウを活かし、楽しみながら学べる教材になっています。…と自信を持って開発したプログラムですが、事業として成立させるためには越えなければならない壁が多くあります。教育現場に新しい教材を導入することの難しさは強く感じていますが、誰も切り拓いたことのない世界を進んでいける喜びも感じています。
人と人とのつながりを大切に
20年におよぶ番組制作の現場で培ったものは、社内外の人脈でした。新規事業へとフィールドが変わったいまも多くの人に助けていただきながら仕事をしています。これまでに縁のあった数多くの人の助けがなければ、新規事業をスタートさせることはできませんでした。もしもその場の損得や駆け引きだけの人間関係だったら、いま支援してくれている人は得られなかったと思います。新規事業は、いわば日テレという大きな会社の中にあるベンチャー企業。実績がないため、こちらの都合だけ押しつけていては誰も耳を貸してくれません。事業の意義を説明し、相手にとってのメリットも挙げ、お互いがハッピーになる提案を心がけています。そういう意味では、いい番組作りも、いい事業作りも、根は一緒だと思います。誰も進んだことのない道だからこそお手本のない手探りの日々ですが、チームのみんなで意見を出し合いながら一歩ずつ進んでいます。