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世界最長のドラマシリーズ『ドクター・フー』
イギリス国民から絶大な人気を誇る秘密とは?

1963年より放送が開始され、
世界最長のSFドラマシリーズとして
今なお多くの人から愛される
イギリスの国民的ドラマ『ドクター・フー』。

厳しい海外ドラマ市場で、
なぜこのドラマはこんなにも長く放送できるのか、
世界中の人々から愛される理由は何なのか、
人気の秘密に迫る!

©BBC 2005

ドクターは交代制!再生後は全くの別人に…

世界最長ドラマシリーズということもあり、
魅力について、どれから話せばいいか迷うが、
初めに紹介したいのが、主人公であるドクターが
ある時期をもって、全く別の人物に交代するという点だ。

ドクターは、ガリフレイという惑星出身の異星人である。
見た目は人間とうりふたつなのだが、
強靭な身体と2つの心臓を持ち、非常に長生きで
寿命は軽く1000歳を超える。
そして、ドクターは生命の危機を迎えると、
「再生(リ・ジェネレーション)する」という大きな特徴を持つ。
心は全くの同一人物でありながら、
外見や食べ物の好み、クセなどが以前の身体から
全くもって変化してしまうのだ。

このルールは、初代ドクターを演じたウィリアム・ハートネルが
体調不良を理由に降板することになったため、
やむを得ず作られたとのこと。

当時の製作陣が苦肉の策で絞り出したアイデアであるが、
そのおかげで、シリーズは今なお継続していると言っても過言ではない。
現在は12代目のドクターが活躍中だが、
これまでおじいさんから渋いおじさま、若手イケメンまで、
12人のタイプの違うドクターを楽しむことができ、
視聴者は飽きることを知らずにここまできている。

再生後、誰が新ドクターに抜擢されるのか、
新キャスティングについては、いつもイギリス中で話題になる。
決定後はニュースサイトで速報が流れるなど、
イギリスでは、お祭り騒ぎである。

記憶に新しいのが、第11代目に抜擢された俳優マット・スミス。
ほぼ無名の役者だったマットが、
当時26歳という史上最も若い年齢のドクターとして任命されたため、
イギリス中のニュースとなったのだ。

マットは、本ドラマ降板後、多くの海外ドラマからオファーがくるなど
順調にキャリアアップ。
今や海外ドラマ界になくてはならない存在となっている。

一代目からベテラン俳優のピーター・キャパルディ演じる
現在の12代目までを通しても、
筆者は個人的には、マット・スミスの代が一番好きである。

少年のような愛くるしい表情で視聴者に親近感を感じさせ、
独り言が多くドジ。一番コミカルなドクターだったように思うが、
頭のよさはやはり人間とは比にならない。
“彼とこんなタイムトラベルにいってアドベンチャーを感じたい”と
強く感じた、親近感溢れるドクターである。

人それぞれ好みはわかれると思うので、
自分のお気に入りのドクターを探しながら見るのも
楽しいかもしれない。

幅広い層に好まれるSF&アドベンチャー!

主人公は異星人、彼が電話ボックス風のタイムマシーンにのって
様々な時代をタイムトラベル…と聞くと、
SFドラマが苦手な人はとっつきにくく思うかもしれない。

しかし、老若男女みんなが楽しめるのが
このドラマの人気の秘密である。
はじめは子ども向けのドラマとしてスタートしたこともあって、
このドラマは、SFが苦手な人でも楽しめる様、様々な工夫がされている。

主人公は、異星人といえども人間そっくりな見た目だし、
さびしがり屋でお人よしという人間以上に人間らしい一面がある。
窮屈そうに見えるタイムマシーンの中は、
プールや図書館があって夢が広がる!
ドクターは毎回、タイムトラベルに
“コンパニオン“と呼ばれる、人間の仲間を連れて行く。
エピソードを重ねるごとに強くなる、
ドクターとコンパニオンの連帯感や信頼関係、仲間意識。
より近く、強く、発展していく彼らの関係は、見ていて気持ちがいい。

このように、本作は、SFでありながら障壁は低く、
アドベンチャーや人間ドラマの要素をいれることで
多くの人が楽しめるドラマになっている。

現に、SFが得意なほうではない筆者も、
アドベンチャー感満載の大がかりなストーリーに
ドクターの憎めないキャラクターも助けて、
すぐにこのドラマのファンになってしまった!

最後にまとめると、ドラマを長く続かせるための秘訣は、

・飽きさせない工夫があること
・様々な層の視聴者に愛されるドラマであること

であると、このドラマを見ていてつくづく思う。

ドクターが変わる度にまた新たな気持ちでこのドラマを楽しめるし、
次はどんなコンパニオンとどんなタイムトラベルを繰り広げてくれるのか、
考えるだけでわくわくする。大人も子どももこの気持ちは同じだろう。

以上が、イギリスのロングランドラマ『ドクター・フー』、
人気の秘密である。

純粋な気持ちでワクワクしたい人、
アドベンチャーが足りない人にこそ
このドラマをおススメしたい!

(text:伊藤ハルカ)

伊藤 ハルカ

週に20本、年間1500本以上のアメリカドラマを観る、「日本一アメドラを観る女子」。「アメドラ界のデーブ・スペクター」を目指し、アメドラコラムニストとして幅広いメディアで活躍中。

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