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ネット動画配信サービス全盛期だからこそのクオリティ!
世界中で話題の『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の魅力とは?

海外ドラマの最高峰であるエミー賞で作品賞を含む最多8部門を制覇、
映画と海外ドラマの祭典であるゴールデン・グローブ賞でも2冠を達成と、まさに2017年度を代表する海外ドラマである『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。

なぜこのドラマが視聴者から批評家までに幅広く評価されているのか、
高く評価される理由、見どころについて紹介したい!

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ネット動画配信サービス全盛期の今だからこそ
見られる伝説のドラマ

ディストピアドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』は、
1985年に出版されたカナダの女流作家マーガレット・アトウッドによる
ベストセラー小説「侍女の物語」を原作としている。

小説では、
化学物質や放射能により世界規模での環境破壊が進み、
子供の出生率がほぼゼロになった世界が描かれている。

結果、数少ない妊娠可能な女性は政府にとらえられ、
支配階級の元に送られ、彼らの子孫を残すべく
妊娠マシーンと化されてしまう。

過激なストーリーゆえに、一度は映画化されたものの、
小説の世界観をそのまま映像に落とし込むことが難しく、
その映画は、一言でいうと、“ぬるい”描写になってしまったことでも有名。

“この小説を実写で見るのは不可能…”
小説のファンや批評家が実写化をあきらめていたところに、
小説の世界観をリアルに描写したこのドラマが登場した。

なぜ、手を緩めることなく、
小説の世界観を真正面からとらえ、
視聴者に届けることができたのだろうか?

一言ではいえないが、やはり、
ネット動画配信サービスのHuluで配信したことが
大きかったと思う。

映画やテレビだと、スポンサーの存在や倫理委員会等の審査の関係で
どうしても放送の規制が厳しい。そのままストレートに放送できないのだ。

ネット動画配信サービスだと、
企業判断で配信するかしないかを決定できるため、
実写化不可能だといわれた小説「侍女の物語」のドラマ化が叶ったのだ。

まさに、
ネット動画配信サービス全盛期の
今の時代だからこそ見られる
貴重なドラマなのである!

ハリウッドから引っ張りだこの
エリザベス・モスの存在感!

本作で主演を演じるのは、
今、アメリカのテレビドラマ界で欠かせない存在の
女優エリザベス・モス。

大統領と側近を描くポリティカルドラマの『ザ・ホワイトハウス』、
1960年代におけるNYの広告代理店を描く『マッドメン』をはじめ、
最近では『トップ・オブ・ザ・レイク』など、
数々のヒットドラマに出演するエリザベス・モス。

アメリカでは、供給過剰時代に突入するテレビドラマ界で
オファーの声が鳴りやまない彼女を
「クイーン・オブ・ザ・ピークTV」と呼ぶ。

助演でも主演でも、
見終わった後、余韻が残るのは彼女のシーン。
自分が演じる役を自分なりに分析し、表現しているのだが、
それがドラマの世界観と異様なほどにマッチするのだ。

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』では、
主人公の侍女オブフレッドを演じているが、
彼女からは愛する娘と引き離された絶望、
必ずまたともに暮らすんだという希望、
そのために今をなんとか乗り切るんだという力強さを感じ、
女性が、母親がもつ底知れぬパワーを強く感じる。

小説のファンも多く、
批判も受けやすいこの役を自分のものとし、
批評家やファンから大絶賛をうけ、エミー賞で主演女優賞まで得た彼女の演技力、女優としての天性の才能に拍手を送りたい。

女性軽視・女性虐待のドラマではなく、
逆境の中で立ち上がり、希望を見つけるドラマ

あらすじだけ聞くと、
“女性軽視“、“女性虐待“のドラマだと
思う人もいるだろうが、
断固として、違うと言いたい。

本作は、
絶望に追いやられ、明日が見えない暗闇の中で、
決してあきらめず、強く戦い希望を手に入れようとする
強き女性たちのドラマなのだ。

このドラマには、5人の監督がいるのだが、
うち4人が女性である。

女性の目から、女性が権利という権利すべてを奪われる世界が描かれているのだが、同じ女性だからだろうか、
作中で過酷な世界が描かれてはいるのだが、
真正面から見なければと思う。
この先、世界がどう変わり、侍女たちの未来はどうなっていくのか
見届けなければと強く思う。

主演のエリザベス・モスはメディアからのインタビューでこう答えている。
「オブフレッドは全てを奪われる。人権も、世界も、友人も―。それでも決して諦めないの」と。

プロデューサーのブルース・ミラーも
「背景となる世界は暗いが、テーマは違う。希望を捨てずに戦う姿勢を描いているんだ」と語っている。

ダークでバイオレンスなドラマでは決してない。
逆境の中でたくましく生き抜き、
暗闇の中で希望を見出そうとする
戦う女性たちのドラマなのである。

せっかく今この時代を生きているのだから、
このドラマを見ない理由はないだろう。

(text:伊藤ハルカ)

伊藤 ハルカ

週に20本、年間1500本以上のアメリカドラマを観る、「日本一アメドラを観る女子」。「アメドラ界のデーブ・スペクター」を目指し、アメドラコラムニストとして幅広いメディアで活躍中。

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