指輪:アテナ女神
  古代ギリシア美術といえば、神殿や彫像などモニュメンタルな作品を想像しがちだが、優れたブロンズ像を制作できる金工技術によって、日常の生活用品や装飾品にも様々な金属製品が大量に生産されていた。この小品はアテナ女神を刻んだ金の指輪。アテナはゼウスとティタン族の娘メティスの間に生まれた知恵の女神だが、生まれた時は鎧を身にまとい槍をかざしていたという。そのために武装して槍と盾を手にした姿で表現されることが多い。ローマ神話ではミネルヴァにあたり、聖木はオリーヴ、聖鳥はふくろうで、知恵の女神として広く信仰を集めた。その名を冠するアテネでは、処女神(アテナ・パルテノス)、都市の女神(アテナ・ポリアス)として最も崇敬され、毎年夏にはパナテナイア祭が盛大に開催された。
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