ソクラテスの肖像
  本展覧会には古代ギリシア文明の叡智の象徴ともいえる3人の哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスの肖像彫刻がそろって出品される。法を遵守して死刑を甘受したソクラテス(前469−前399)を偲んで、死後約80年後にアテネ市民はその肖像彫刻をリュシッポスに依頼してアゴラに建立した。そのオリジナルはブロンズの全身像だったが、ヘレニズム時代からローマ時代にかけて古代ギリシアの学問が広く伝播し受容されるにつれて、哲学者の顔だけが大量に模刻されて一般に普及した。偉人の肖像画や肖像彫刻は時代が経るにつれて理想化されていく傾向があるが、本作には「醜い顔」といわれたソクラテスの容貌が伝わっている。チュイルリー宮にあったルイ14世のコレクションからルーヴルに移管された作品。
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