STORY

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2024.06.29 OA

運命の判決…笑いと涙のその先に

裁判の判決を明日に控え、保釈中の正義(森本慎太郎)は彩(森川葵)と2人でケーキ作りに大忙し。今日は商店会のみんなを店に招き、今までのお礼とおわびの気持ちを込めてケーキをごちそうするのだ。

開店と同時に、街のみんなが続々と店にやって来る。莉菜(月島琉衣)も、龍一(皆川猿時)も、園田(円井わん)も、街を出て行った向井(竹財輝之助)の姿もある。さらに、偽装強盗をしなければ出会うこともなかったであろう刑事の澤本(吉川愛)や、シュン(曽田陵介)、マサキ(萩原護)も駆け付けて、店は大にぎわい。正義と彩は、来てくれた一人一人に、それぞれをイメージして作ったオリジナルケーキを振る舞っていく。

一方、荒木(浜野謙太)は、自分の店で一人寂しくビールをあおっていた。街のためとはいえ、正義一人に責任をなすり付けようとしてしまったことが後ろめたくて、みんなの前に顔を出せないのだ。するとそこへ日下部(宇野祥平)が訪ねて来て…。

そんな中、正義の店に商店会長・大村(船越英一郎)と息子・光一(伊藤健太郎)が現れ、和やかなムードが一変。「この商店街は、なくなります」。光一の無情な宣告が、商店街に響き渡る…!

当たり前のようにケーキを食べて、当たり前のようにおいしいと思える…。そんな平和な毎日が、みんなに訪れますように…。正義に下される判決は!?商店街の未来は!?運命の最終話!!

以下、ネタバレを含みます。

正義の店の前で鉢合わせた大村と光一。街のみんなの視線が集まる中、光一は今まで抱えてきた鬱憤を大村にぶつける。「俺は、あんたが親だったせいで、ずっと迷惑してんだよ!」。傲慢な態度で商店会を牛耳る会長の息子というだけで、光一も周囲から嫌悪の目を向けられてきた…「俺はこの街の人間、全員嫌いだね」と吐き捨てる光一は、「この商店街は、なくなります。もう決まりだよ」と宣告。虹色ロード商店街は地上14階建てのショッピングモールに生まれ変わり、そこに商店会の人々の居場所はないという…。

店主たちが肩を落とす中、正義は光一のために作ったケーキを用意する。横に長いショッピングモールを模したケーキで、端から端までトンネルのような穴が開いている。正義は「このアーケードは残して、ショッピングモールって作れない?」。ケーキのように、ビルの1階部分にアーケード通りを作れば、商店街とショッピングモールは共存できる。その1階部分で今の商店会の人たちが店をやれば、全て解決するはずだ。しかし光一は「こんな通りを残すつもりはない」と正義のアイデアに全く耳を貸さず、せっかく作ったケーキにも「こんなもん作って、何が楽しいんだよ。こんなもんなくなったって、誰も困んないだろ」と難癖をつける。…確かにケーキがなくたって人は生きていける…。でも、正義は確かに覚えていた。子どもの頃、嫌なことがあっても父が作るおいしいケーキを食べたら笑顔になれたこと、まだ小学生だった光一が大村と一緒にケーキを食べに来てうれしそうに笑っていたことを…。「ケーキが食べられて、おいしいって思えたら、今、すごく平和ってことじゃない?平和が実感できる仕事って、すごくいい仕事だよ」。正義の言葉に、光一の心が揺れる…。一方、大村は、みんなの前で「今まで悪かったね。すまなかった」と、深々と頭を下げるのだった。

大村親子が帰った後も、正義が火事から助けたホームレスやトミヤマ(森下能幸)がやって来て、うたげはしばらく続き…。最後は正義が「今日は、人生で最高の日です」とみんなに伝え、長い一日が終わった。
みんなを見送った後、正義は荒木の元にケーキを届ける。独りぼっちですねてはいたが、荒木のことだ、すぐに元気になるに違いない。そんなことを思いながら家に戻ると、彩がケーキを作って待ってくれていた。食虫植物の形をした新作ケーキだ。一口食べた正義は、思わず笑顔になってしまう。それを見た彩もうれしくて…。

その後、偽装強盗を行った店主たちは保険会社との示談が成立。裁判でも執行猶予がついたが、正義だけはリーダーとみなされ示談が成立せず、懲役3年の実刑判決を言い渡された。肩を落とす正義は、裁判所で白鳥(竹中直人)と偶然すれ違う。今まで保険金詐欺を繰り返してきた白鳥も、どうやら実刑を受けることになるらしい。思い返せば、偽装強盗は白鳥の入れ知恵から始まったようなもの…。その白鳥から「あんたは、この件で学んだことはある?」と問われた正義は「あると思います」と答える。すると白鳥は「そりゃ、錯覚だよ!」と笑い飛ばし、去って行った…。

後日、ショッピングモールの建設計画は一部変更され、1階部分に虹色ロード商店街が残されることになった。それにより、商店会の人々は元の場所のままテナントに入れることになったが、家賃が2倍になったため、いずれは出ていくことになるだろうといわれている…。

そんな中、正義の店だけは開発から漏れてしまった。店の近くにある地蔵を移動させられなかったためだ。その地蔵に見守られながら、一人せっせと店の看板を出す彩は、空を流れる雲を眺め、あの時の、正義の言葉を思い出す…「ケーキが食べられて、おいしいって思えたら、今、すごく平和ってことじゃない?平和が実感できる仕事って、すごくいい仕事だよ」…空に向かって力強くうなずく彩…。閑古鳥が鳴いていたシャッター商店街で、今にもつぶれそうだったケーキ店『恋の実』は、今日も元気に営業中だ――。