時間割

雨のパラつく5月16日(土)。
足元の悪いなか会場にはお子さん連れのママやパパが多く集まってくれました。
今回のセミナーテーマは「仕事と子育て パパとママのこれからのカタチ」。
目まぐるしく変化する今の時代、夫婦でどう協力し合って子どもを育てていくか。
仕事で忙しいパパは、どう子育てに関わっていくと良いのか。
新たな夫婦のカタチを探ります。

ご登壇者

■白河桃子さん
少子化ジャーナリスト・作家・相模女子大学客員教授
内閣府新たな少子化社会政策大綱策定のための検討会委員
NPO法人全国地域結婚支援センター理事
婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信。
著書に「専業主婦になりたい女たち」「婚活症候群」など。


■堀込泰三さん
フリーライター、在宅翻訳家
ファザーリングジャパン文京支部代表
在宅で翻訳をしながら2児を育てるワーキングファザー。
大学院修了後、大手自動車メーカーに勤務。
長男誕生時に2年間の育休を取得し、その後「子育て主夫」に転身。
「子育て主夫青春物語」著書。


■辻岡義堂
日本テレビアナウンサー
2009年日本テレビ放送網株式会社、入社。
現在9ヶ月の娘を持つ新米パパ。


進行は8歳・5歳の2人の娘の母、
日本テレビ「ママモコモてれび」プロデューサー・大澤弘子が務めました。

育休2年、「子育て主夫」堀込泰三さん

―東京大学大学院卒業後、大手自動車メーカーに就職した堀込さん。長男の誕生を機に2年の育児休業を取得します。その経緯は?

堀込:
妻が研究者で育児休業が取りにくい仕事だったんです。2人とも仕事を続けるには私が育休を取るしかなくて。
上司からは「将来設計どう考えてるんだ?」と言われました。2時間の話し合いを3回して、ようやくハンコを押してくれて。
大澤:
キャリアに不安はなかったんですか?
堀込:
戻ったら今まで通り働いて、取り戻せばいいかなと思ったんです。会社員生活は40年くらい、そのうちの2年ってたった5%ですからね。

― 「会社員生活」から「子育て生活」にシフトチェンジ。
  24時間子どもと向き合う生活の中で大変だったことは?

堀込:
育休を取ったパパみんな言いますけど、最初ママ“界”に馴染めないんです。児童館に入った途端バッと視線が集まって、アウェイ感を感じる。
それから1歳くらいまでは、「孤独」な「孤育て」をしていました。妻の職場が徒歩10分の場所だったので、一日2回授乳に連れて行って。家で子育てしているより外出した方がいいなって思っていましたね。
堀込泰三さん
堀込泰三さん
白河:
大人としゃべりたくなりませんでした?
堀込:
そうなんです、離乳食の悩みとかがいろいろ出てきて。妻が仕事を終えて帰って来て相談しても、分からないんですよ。だからやっぱり同じ立場の仲間が必要だと思って、再び飛び込むことを決めました。
辻岡:
もう一回、児童館へ!
堀込:
決心して行ったんですけど、最初はやっぱりダメで。
でも2・3回行くうちに、別のママから声をかけてもらって救われましたね。そこから「孤育て」から解放されて、楽しい「子育て」が送れるようになりました。
大澤:
子育て中のストレスは女性だから感じるものではなく、子育てしている人が誰しも感じるものなんですね。
堀込:
性別関係なく、立場だと私は思いますね。
大澤:
奥さんにはどうしてほしかったですか?
堀込:
話を聞きながら解決策を言われると「いや、聞いてほしいだけなんだよ」って。
白河:
すごい女性化!女性は共感の動物だから、まず分かってほしいんですよ。
それで男と女は揉めるはずなんですけど、まるで逆ですね。

― 2年の育休中に、奥さんがアメリカへ転勤に。
最初は家族3人アメリカで生活するも、育休期間が切れてしまい…

堀込:
子どもと離れての生活は耐えられないから、仕事辞めたいって言ったら妻に怒られました。育休を取った目的が「2人とも仕事を辞めないため」だったことを思い出して…。結局、妻と子どもはアメリカに残して1人日本に戻って復職しました。それからはスカイプの画面で見るだけの生活。それが苦しくて辛くて。それでもう一回妻に相談したら、ちょうど妻も異国の地でシングルマザー状態で大変だったみたいで「辞めていいよ」と許可を下ろしてくれたんです。復職から4ヶ月でめでたく退職して、アメリカに渡って完全に専業主夫になりました。
大澤:
ということは、大黒柱は完全にママ。奥さまもすごい決断ですね。
辻岡:
男性も仕事を辞めるってなかなかの決断ですよ。不安とかなかったんですか?
堀込:
不安よりも寂しさですね。仕事は楽しかったし辞めないで済むなら辞めたくなかった。でも「子どもに会いたい」寂しさの方が勝ってしまった感じです。
大澤:
ご両親の反応は?
堀込:
反対されるかと思ったんですけど、逆に背中を押してくれて。「仕事なんかどうにでもなるんだから」と言ってくれたのが両親でした。

― 人生の大きな決断をした堀込さん。
仕事を辞めて主夫になって良かったと思うことは

堀込:
「パパ大好き!」って子どもが言ってくれるのが嬉しいですね。
辻岡:
なるほど、普通ですと「ママ大好き」の方が多そうですけど。
堀込:
あとは今、翻訳とライターの仕事をしているんですが、どこでも仕事が出来るんです。妻の収入だけじゃやっていけなかったので、家で出来る仕事を調べたら翻訳で。今は定期的に仕事がもらえるようになったので、自宅で毎日仕事をしています。ワーキングマザーならぬ、ワーキングファザー。ワーパパですね。
大澤:
夏休みにもお楽しみがあると聞きましたが?
堀込:
せっかくどこでも出来る仕事をしているんで、子どもと一ヶ月の旅に出るんです。宿で夜中に仕事をするんですけどね。0歳と4歳連れて大変だけど、本当に楽しくて。子どもたちもすごい成長して、兄弟仲も良くなって、こんないいことはないと思います。
白河:
一週間くらいパパと子の親子旅をする人も増えていますから、一ヶ月と言わず短い期間だけでも「パパと子どもの旅」はおススメかもしれませんね。
堀込泰三さん
堀込泰三さん

堀込さん曰く、人生は「臨機応変に」「ニュートラルに」。
ノー残業デイが社会に浸透しつつあるように「家族デイ」が生まれたりすると、また違う世の中が生まれるかも・・・

堀込さんはお子さんが生まれて初めて、会社の就業規則を読んだそうです。
みなさんも一度見直してみると、子育てしやすいヒントが隠れているかもしれません。

次回は、これからの日本でどう子育てしていくか、夫婦でどう協力し合うか。白河先生を中心にお話を伺います。

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