これからの夫婦のカタチ

これからの夫婦のカタチ 白河桃子先生

― 白河先生はこれからの時代、ママも仕事をした方が良いと考えているそうです。
その理由を3つ伺いました。
ひとつめのメリットは「女性社会がやってくる」。

白河:
今はとにかく人手が足りないんです。2060年ぐらいには労働人口は半分に減る。女性の手を借りなければ社会は回らない時代が来ています。
「お願いします、働いてください」という社会からの要請がやってくるようになってきますね。
大澤:
今年の春に発表されたデータによると、大学や学校を出て就職して継続している人は全体の20%ほど。子育てやその他の理由で一度離職し復職した人は4割。就職して離職して、そのまま専業主婦になられる人が4割とのことです。(※電通総研「女性×働く」調査 2014年12月19~21日 WEB調査)
電通総研「女性×働く」調査
白河:
今は「時短」という働き方が上手くとれるようになったので、継続する人が増えてます。大卒女性に関しては5割ほどは続けるようになっていますね。
辻岡:
うちの妻はフリーアナウンサーなんですけど、子どもが生まれてからは子育てに専念。もうちょっと落ち着いたら仕事したい、と言っています。
白河:
今の大学生のお母さんたちは、子どもが5歳の時点では子育てに専念していたけど、今みんなパートで働いているんですよ。だから今の子たちは「いずれ働かざるを得ない日が来る」と分かっていますね。

― ふたつめのメリットは、「世帯年収が増える」。

白河:
今、仕事も不安定な時代なので、片方にもし何かあった時に二馬力だと強いですよね。男性が自分の生涯年収を1億円増やしたいなら、奥さんを応援して働いてもらうのが一番ですよ。
堀込:
宝くじを買うよりも、奥さんに働いてもらった方がいい。
白河:
男性が育休を取って「仕事の意欲がない」と上司に言われたとしても、妻と2人で働き続けていれば世帯年収はその上司より上がる可能性があります。
大澤:
夫がなんらかの事情で長期就労不能になった場合、どの期間生活できますか?という調査では、半年が限界が64%、一年以内が85%という結果が出ています。(※ライフネット生命保険株式会社「夫が働けなくなるリスクに関する意識調査」2014年10月24日~28日 WEB調査)
夫が働けなくなるリスクに関する意識調査
白河:
お子さんが小さいうちはいいですけど、大黒柱がずっと一本という状態はキツいのかなと。お互い補っていくのがこれからの時代の夫婦になるかなと思います。専業主婦の方は、そういう旦那さまに巡り合えてすごくラッキー。ただ、いつなにが起こるかは分からない。家庭のバランスが変わって来たその都度で、夫婦のカタチを変えていければ気持ちがラクですよね。

― 3つめのメリットは「次世代への影響」。

白河:
今の女子大生の話を聞いていると、一家の大黒柱はお父さん、という家庭が非常に多い。でもこれからの時代、年収400万円以上稼ぐ独身男性は4人に1人と言われています。だから「自分も働くのは当たり前だよ」と言うんですけど、なかなかイメージが湧かないんです。その大きな理由が「お父さんの家事育児度」。お父さんが家事育児に協力的でないと、「やっぱり一人でやらなきゃいけない。それは無理だから仕事はほどほどにしておこう」「専業主婦になるしかない」と仕事への意欲が減ってしまうんです。
大澤:
こちらに意識調査があるのですが、「夫は外で・妻は家庭で」という考えに「賛成」が数年前より増えていますね。(※内閣府大臣官房政府広報室 世論調査「『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』という考え方に対する意識」平成26年8月28日~9月14日)
夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』という考え方に対する意識
白河:
両親がかけがえのないロールモデルになっているんですね。今の子には「お母さん=仕事」のイメージが全然ないんです。だからお母さんは、子どもにイメージをつけさせるためにも「パートだから大したお金じゃない」じゃなく、「ちゃんと働いて家計に貢献してる」と堂々と言って欲しいと思います。
辻岡:
堀込さんは、自動車メーカーに勤めていた頃と今の翻訳の仕事だと、年収はどうですか?
堀込:
確実に下がっていますね。でもそれに代えられないものもありますから。

― 夫婦で働くとなると、やはり大事となるのが「パパの子育て協力」。
まずは何から始めたら良いのでしょう?

白河:
週イチくらいは早く帰れる日を約束する。週2はハードル高いので、せめて週イチ。会社で育児キャラをつけておくのも重要だと思います。昭和の上司は子育てに参加せず来ているので、育児キャラをつけておかないといつまでも「仕事第一」の仲間にされてしまいますよ。あと会社の就業規則を見返すのも大事です。意外と在宅勤務が認められていたり、自分から新たに提案するのもひとつのやり方だと思います。
白河:
あとは夫婦で育児を共有するために、夫婦のメールアカウントを取ってください。保育園とか子ども関係のメールが全部そこに届くように設定するんです。子どものことはパパもママも「自分事」「夫婦事」にすることが大切ですね。学校のことは「当然ママが行くでしょ」じゃなく、「どうする?」と話し合うことが出来ます。学校のプリントは携帯で写して、メールでアカウントに送って共有するのもおススメですよ。

めまぐるしく変化する世の中。
固定概念に縛られることなく、臨機応変に夫婦のカタチを変えることが大切とのこと。
夫婦互いにコミュニケーションを取り合い、その時々で最善のカタチを判断する。
それが、子育てがより楽しくなる一歩だと感じました。

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