第5章 ファッションの女王としてのマリー・アントワネット

エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブランと工房
《フランス王妃マリー・アントワネット》

この絵は、ヴィジェ・ル・ブランがマリー・アントワネット付きの画家になる決め手となった1778年の王妃の肖像画を部分的に採用している。たとえば白いサテン地のパニエ付きドレスや、百合の花の飾りがついたトレーン〔引き裾〕などは原画と変わらない。一方、顔や薄布のヴェールで飾られた髪型は、ヴィジェ・ル・ブランが1785年8月にショワズール・グフィエ伯爵(フランス国王からコンスタンティノープルに派遣されていた大使)に届けることになる半身の肖像画(個人蔵)に近い。今回の作品は、仕上げの質は高いものの、国王蒐集室の模写画家が協同制作したことが、顔はともかく、少なくともドレスに表れている。

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