第6章 王妃に仕えた家具調度品作家たち

作者不詳(パリ)
《寝台の上掛け》

クリーム色の繻子(しゅす)の地にシェニール・ステッチとサテン・ステッチの技法を使って刺繍したこの非常に美しい「絵画」は、マリー・アントワネットのために発注された上掛けである。さまざまな花を編んだ花輪の中にルイとマリー・アントワネットの頭文字を組み合わせたLMAが入っている。また、ギンバイカの花輪の中に二つのLが、矢車菊の花輪の中にMが、バラの花輪の中にA の文字が入っている。四隅のリボンで結んだアモルの松明は新婚夫婦のアレゴリー〔寓意〕であることから、この上掛けは皇女の結婚時か、あるいは結婚直後に制作されたと思われる。さらにモノグラム〔組み合わせ文字〕を囲むオリーヴと月桂樹の枝は、ブルボン家とハプスブルク家の新しい連盟関係によって強化された平和の勝利を喚起する。

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