マリー・アントワネットは、王立セーヴル磁器製作所に食器セットを注文した。1777年、王妃は「日本」という名の最初のセットを購入し、新年にオーストリア大公である母に贈った。1781年初めには新しい食器セットを作らせた。バラと矢車菊で装飾された比較的簡素なデザート用の食器や、装飾性豊かな 、300点近くから成る大きな食器セットなどである。矢車菊のセットはヴェルサイユ宮殿の庭にあるトリアノン宮向けに作られ、1782年6月6日に帝政ロシア皇太子夫妻に夜食をふるまった際に、初めて使用されたとされる。1784年1月、マリー・アントワネットは一層豪奢な食器セットを所望したが、これは当時パリを訪問中のスウェーデン国王グスタフ3世に贈られた。そのためセーヴル磁器製作所は、これと同じ食器セットを再び手がけ、1784年8月26日に王妃のもとに届けられた。
王立セーヴル磁器製作所 《「豪華な色彩と金彩」の食器セット》 1784年 軟質磁器、硬質磁器、エナメル釉、金 ヴェルサイユ宮殿美術館 ©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/©Jean-Marc Manaï
王立セーヴル磁器製作所 《食器セット「日本」より 皿》 1777年頃 硬質磁器 3×24.5cm パリ、個人蔵 ©Château de Versailles/©Christophe Fouin