どんな依頼もかなえるトータルコーディネーター・密子(福原遥)のサポートで、平凡な人生を送ってきたシングルマザー・夏(松雪泰子)は大胆にも大企業『九条開発』の次期社長に立候補。九条家の長男・遥人(上杉柊平)、長女・玲香(志田彩良)と新社長の座を争うことになった夏は「もしかして私、とんでもないことをしてしまったんじゃ…」と、今更ながら事の大きさに気付いて戦々恐々…。会長の五十鈴(小柳ルミ子)は、1カ月後に開かれる役員会議で次期社長を決めるという。
夏の不安をよそに、目的のためなら手段を選ばない密子は、自分の素性を嗅ぎ回る秘書・千秋(桜井日奈子)の弱みを握り、スパイとして遥人の動きを報告しろと要求。「何が目的か知らないけど、用が済んだらあんたを殺してやるから」と敵意をむき出しにする千秋に、密子は笑みをたたえて「その意気です」――。
社内では、“次期社長に立候補した身の程知らずの女がいる”と夏の話題で持ち切り。総務部で働く智(清水尋也)は、恥ずかしさのあまり夏の息子であることを隠そうとするが、上司の森山(小久保寿人)にバレてしまう。一躍社長候補となった夏に豪華な役員室が与えられる一方で、九条家の遠縁でもある森山に目を付けられてしまった智は、社内の“墓場”と呼ばれる地下倉庫での雑用を命じられ…。
そんな中、亡くなった前社長・謙一(神保悟志)が進めていたプロジェクトの復活を目指す密子と夏は、プロジェクトが取りやめになった理由を探り始める…。
次期社長争いに巻き込まれていく夏の陰で、パワハラに苦しむ智…。馬鹿にされても侮辱されても、波風立てまいとへつらう智に、密子が仕掛けるコーディネートは…?密子の意外な過去も徐々に明らかに!!
旧プロジェクトの資料を探すために総務部を訪ねた密子は、智が上司の森山にいびられているところを目撃。契約社員を略して“ケイヤくん”と揶揄され、自分の仕事ではないのに地下倉庫の整理作業を押し付けられ…。それでも波風立てまいと、へつらい、命令に従う智。
地下倉庫は社内の“墓場”と呼ばれ、不要になった書類や使い古しのパソコンが保管されている場所。密子はもしかしたら…と智に付いて地下倉庫に行くが、旧プロジェクトに関する資料は九条家からの指示ですべて破棄してしまったという。
「なんで母さんに余計なこと言ったんですか?」…智は夏の立候補をサポートした密子をとがめ、夏に社長なんて務まるはずがないと断言。そんな智の前で、密子は倉庫にあった大きな段ボールを棺おけに見立て、その中に横たわって“死の疑似体験”をしてみせる。「こうして死の疑似体験をすると、いろんなことが頭に浮かぶんです。…あのときああすれば良かったっていう後悔とか」。そう言いながら密子は「智さんもいかがですか?試しに一歩踏み出してみれば、何かが変わるかもしれませんよ」と“死の疑似体験”を勧めるが、「僕はいいですよ」と殻を破ろうとしない智。そんな2人のいる地下倉庫に、清掃スタッフに扮した夏が現れる。社長になる前に会社の一員になりたい…そう思って清掃のお手伝いを始めたらしい。密子はそんな夏を微笑ましく見つめる。
夏が社員に聞き込みをしたところ、旧プロジェクトが取りやめになったのは半年前の火事が原因らしかった。謙一がケガをしただけでなく、あの火事で1人、死者が出ていたからだ。亡くなったのは謙一の秘書で、後輩だった千秋の話では、その秘書は遥人と意見がぶつかることが多かったという。「ぶつかるというのは、どういう…」。密子が詳しく話を聞こうとしたその時、そばにいた智のスマホが鳴り、最悪の知らせが飛び込んでくる。総務部が管理していた重要データが消失したのだ。データの消失により新プロジェクトの進捗に遅れが出たら、何億という損失になる…。「ケイヤくん、この件の担当は、確かキミだったな」と森山から責任をなすり付けられた智は、本当は無関係なのに言い返すことできず…。
息子の危機に居ても立ってもいられない夏は、もしかしたら電子化する前の書類が残っているかもしれないと、地下倉庫の中を必死に探す。そんな夏にイラ立つ智は「誰のせいでこんなことになったと思ってんの」。今まで波風立てずにうまくやってきたのに、夏が次期社長に立候補したばかりに、上司に目を付けられ、こんなことになってしまった。現状を夏のせいにする智は「もうやめてくれよ…恥ずかしいんだよ!」と声を荒らげてしまう…。息子を追い込んでいたことに気付いた夏は、社長どころか親失格だと自分を責め…。
さすがに言い過ぎたと落ち込む智は、一人、段ボールの中に横たわり、“死の疑似体験”をしてみる。「しょうもない人生だったな」とパッとしない人生を振り返る智。「もっと、やりたいことやればよかったな。嫌なやつ、ぶっ飛ばせばよかった。もっと……もっと……母さんのこと、大事にすればよかった」。ようやく自分の本心を見つけた智の背中を、密子が優しく後押しする。「今のあなたなら、何でもできます。あなたが変われば、世界は変わるから」――。
その頃、夏は遥人や森山から親としての責任を追及され、九条開発の株の譲渡と、次期社長の立候補を取り下げるよう要求されてしまう。「それは…」と夏が言葉を詰まらせたその時、「待ってください」と智が駆け付ける。「今回の件は、母には何も関係のないことです」とキッパリ言い放つ智は、森山に向かって「あなたは、ウソをついてます」。そもそもデータの管理は自分の仕事ではないし、仮にそうだったとしても、指示した上司にも責任があるはず…「僕とあなたと2人で責任を取りましょうよ。だから母は巻き込まないでください。この人は僕の大切な人なんです。何よりこの人は、九条開発の次期社長になる方なんですから」。思いがけず智に反撃され、「ケ、ケイヤくん…」と狼狽する森山に、智は「智です。母が付けてくれた大切な名前です。お間違えなく」と吐き捨て、夏を連れてその場を後にするのだった…。
消失したとされていたデータは千秋が隠し持っていた。全ては夏を陥れるために千秋と森山が仕組んだことだったのだ。千秋からデータを奪い返した密子は「次はない。いいですね」とにらみを利かせ、千秋を完全に支配下に置く。
データが見つかったことで智の処分は見送られ、森山は他の社員からのパワハラの告発もあって関連会社に出向になった。ホッと胸をなで下ろす夏は、これを機に地下倉庫を特別役員室として利用することに決める。さらに、倉庫の中から、亡くなった秘書のパソコンも見つかった。本当はずっと前から智が見つけていたのだが、夏に社長になることを諦めてほしくて黙っていたのだ。でも、今は違う…「もしかしたら前のプロジェクトのデータも残っているかもしれない。俺も協力するよ。母さん、社長になろう」と夏を応援する智。
そんな中、千秋は、謙一が火災事故で入院していた時の写真を何げなく見返し、その中に見覚えのある人物が写っているのを発見。「これって…」と言葉を失う千秋。それは、病院スタッフの格好をした密子で…。
一方、密子のアトリエには、遥人と九条家の写真が大量に保管されていて――。密子と九条家の関係は!?密子の真の目的は!?3話へ続く!