STORY

神様のコインと裏切りのパーティー2024.07.27 OA

密子(福原遥)に助けられながら九条開発の次期社長になろうとする夏(松雪泰子)は、前社長が成し遂げられなかったプロジェクトの実現を目指すものの、建設業界のことは全く分からないし、慣れないヒールで靴擦れを起こすし、みんなをまとめるどころか社員たちの嘲笑の的……。そんな不器用な夏に、娘の彩(吉柳咲良)も「お願いだから目立つようなことしないでよ」と冷ややかな目を向ける。広報部の契約社員から念願の正社員を目指す彩にとって、九条家を敵に回すことは大きなリスク。まして直属の上司である九条家の長女・玲香(志田彩良)から睨まれるわけにいかないのだ。彩は密子に「母をそそのかすのはやめてほしい」とお願いするが……。

週末、玲香の主催で、名だたる投資家や実業家をもてなすパーティーが開かれることになった。次期社長候補として顔を売る絶好の機会だが、夏は招待されず……。密子は「こちらはこちらなりに戦いましょう」と、前社長のプロジェクトに興味を示していた大手IT会社のカリスマ社長・奈良橋和美(山下容莉枝)との接触を図る。奈良橋の協力を得られれば、夏にとって大きな後ろ盾になるはずだが……。一方の彩は、玲香に気に入られるために密子たちの邪魔をしようとして……。

そんな中、密子は、玲香のパーティーでお見合いをすることになった遥人(上杉柊平)から、秘密のコーディネートを頼まれる――。
密子がまさかの裏切り!?大事なパーティーで敵の遥人をコーディネート!さらに彩も九条家の味方をして……!次期社長争いは予想外の展開へ!!

以下、ネタバレを含みます

大手IT会社の女社長・奈良橋とのアポが取れ、面会に向けてプレゼンの準備を始める夏は、前社長が進めていたプロジェクトの資料を見ながら建設業界のことをイチから勉強する。一方の彩は、今のままでは正社員になれないと分かり、どうにかして玲香にアピールしなければと焦り始め……。
そんな中、夏と奈良橋が玲香のパーティーに招待された。2人きりでプレゼンできるチャンスだったのが、パーティーの場にすり替えられてしまったのだ。「あらあら、情報でも漏れたのかしら」と面白がる千秋(桜井日奈子)。
九条家では、IT界の大物である奈良橋の招待に成功した玲香の株が急上昇。イラ立つ遥人は、密子に「パーティーでは今井夏ではなく私の手伝いをしろ」と、夏を裏切れと要求。「その代わりに、欲しいものがあるならかなえてやる」。そう言われた密子は思案して……。
「やっぱり、情報を流したのは彩さんだったんですね」。密子は、玲香に奈良橋の情報を流したのが彩であることを見抜いていた。「私は、母さんみたいにはならない。自分の幸せを一番に考える」と彩。目的のためなら手段を選ばない彩の生き方を「私は好きですよ」と肯定する密子は、1枚の古いコインを彩に見せる。表は白、裏は黒のコイン。チベットの高僧からもらった“神様のコイン”だと説明する密子は、人生の中で選択に迷った時、このコインが正解を教えてくれるという。「たとえば、私はどちらに従うべきか。白なら遥人さん、黒なら夏さん」と、テーブルの上でコインをはじく密子。するとコインはくるくると回って倒れ、白が出る。コインに従い、今回は遥人に従うことに決めた密子は「彩さんも、迷っているならどうぞ」とコインを勧めるが、「何が正解かは自分で分かってるから」と拒否する彩。しかしその表情からは迷いが見て取れて……。そんな彩に、密子は「じゃあ、今回は2人で協力しましょう」と共闘を持ちかける。

パーティー当日。遥人のアテンド役に回った密子から夏のサポートを任された彩は、先に会場入りした夏に電話をかけ、「急に具合が悪くなっちゃって……これから病院に行ってみる」と伝えて電話を切ってしまう。彩がいなければ、夏は何もできない。これで玲香が有利になる。「おかげさまで、うまくいった」と密子に礼を言う彩は、密子から“神様のコイン”を借り、玲香と夏、どっちの味方をするのが正しいかを改めて占う。白なら玲香、黒なら夏。するとコインは白の玲香を示し、「やっぱり正解だった」と安堵する彩。……ところが、夏はバカ正直に彩を心配して病院へ向かってしまった!大事なプレゼンがあるのに、この日のために勉強してきたというのに、全部をかなぐり捨て、どこの病院かも分からないまま娘を捜して駆けずり回る夏――。そうと知った彩は居ても立ってもいられず夏を追いかけ、靴擦れの痛みで歩けなくなっていた夏を発見。「何してんの!もうとっくにパーティー始まってるんだよ!?大事なプロジェクトを紹介するチャンスなんでしょ!?」。しかし夏は、何よりも彩が無事だったことがうれしくて、つい笑顔になってしまう。そんな夏を見て自分を恥じる彩は「私、母さんを助けたい。お願い、密子さん」と密子にコーディネートを依頼。密子は遥人から“夏に協力するな”とクギを刺されているが……「彩さんに協力するなとは言われていません」――。

その頃、パーティー会場では、玲香が奈良橋にあいさつするものの、気難しそうな奈良橋に全く相手にされないでいた。そこへ、密子のコーディネートで着飾った彩が夏を連れて会場にさっそうと現れる。彩は来客一人一人に夏を紹介しながら、やがて奈良橋の前に来ると、「立ち話もなんですから」と、奈良橋に安いパイプ椅子を勧める。玲香はギョッとして「失礼でしょ」と彩をとがめるが、奈良橋はフッと笑い、「ありがとう。気が利くわね」と、パイプ椅子に腰を下ろした!実は奈良橋も夏と同じで堅苦しいことが苦手……密子の入れ知恵で一気に奈良橋の心をつかんだ夏と彩は、奈良橋にプレゼンの時間をもらい、見事、プロジェクトへの支援を約束してもらうことに成功する。

「私、神様の答えに逆らっちゃったけど」。コインの結果とは別の道を選んでしまったことを不安に思う彩に、密子は「その話、ウソです」。コインはただのオモチャで、神様の話は密子の作り話だった。「まずは決めてみること。何かを決めた後で、そこで初めて自分の本心が分かることもありますから」と密子に言われ、苦笑する彩。そんな2人の元に、逆上した玲香が迫って来る。「あんたたちのせいで!」と手に持った水を2人にぶっかけようとする玲香。その瞬間、近くにいた智(清水尋也)が反射的に密子をかばって水をかぶり……。なおも怒りが収まらない玲香は、彩に向かって「あんた分かってんの?正社員の話は――」と言うより先に、彩は「お断りします」とキッパリ言い放つのだった。
一方、遥人のコーディネートはというと、「このままで大丈夫です」と密子。調べたところ、遥人の縁談の相手は、人付き合いにおいては相手の内面や人間性を重視する、まっとうな価値観を持った女性。「ですので遥人さん、そのままのあなたで大丈夫です。それで、ちゃんとフラれますので」。……その通り、何もせずとも縁談を断られた遥人から、報酬としてUSBメモリを受け取る密子。その中身は、九条開発の全社員の出退勤のデータだ。「どうしてこんなもの欲しがる?」と首をかしげる遥人に、密子は「マル秘です」――。

夏は密子が落とした日記帳を拾い、中を見てしまう。そこには『助けて』『殺される』など、穏やかでない文字が並んでいた。密子は慌てて日記を奪い返すと、「小説を書いているんです。意地悪な人たちにイジメられた女の子の話です」。そのイジメはどんどんひどくなり、ときには殺されそうになったりもするが、そんな彼女を助けてくれた男性がいる――という密子の“物語”に興味津々に耳を傾ける夏。「ステキな人ね。どんな方なの?」と夏が聞くと、密子は「一度だけ、その人とかき氷を食べる機会があったんですけど、その人、レモン味がお好きみたいで。……でも、それ以外のことは何も。命の恩人だけど、名前も居場所も分からない、だからお礼が言えなくて……という話ですよ」。そう言ってほほ笑む密子。その頃、今井家では、智がレモン味のかき氷を食べていて――。

夜、密子は九条開発の大会議室で、ある人物と会う。「お疲れさま。ここまで順調にいっているようね、密子さん」。それは、会長の五十鈴(小柳ルミ子)で――。密子と五十鈴の関係は!?4話へ続く!!