「火事が起きた日のその時間、遥人さまは私と一緒に仕事をしていました」――半年前の火事と遥人(上杉柊平)は無関係だと主張する千秋(桜井日奈子)。そんなはずはない……密子(福原遥)は千秋のアリバイを訂正しようとするが、会長・五十鈴(小柳ルミ子)に「この件はここまでにします」と話を打ち切られ、結局、火事の真相を暴けないまま……。
夏(松雪泰子)の社長選までわずか1週間。九条家に対抗する次の手立てを考える密子たちは、亡き姉・鞠子のノートパソコンに保存されていた隠しファイルのパスワードを解くことに成功。ファイルの中には、会社のお金の不正な出入りを示すようなメモ書きが残されていた。「もしかしたら、裏帳簿かもしれません」と密子。鞠子は何らかの方法で不正の証拠を見つけて保存していたのだ。メモの裏付けが取れれば九条家を糾弾できるかもしれない……密子は「これが最後のチャンスです」と裏付け捜査に動き出す!
一方、遥人のピンチを救った千秋は、美樹(渡辺真起子)の信用を得て、“お使い”を頼まれる。「遥人がお世話になっている方に、お礼をしたくて」と言う美樹から菓子入りの紙袋を渡された千秋は、遥人の役に立てるなら……と喜んでお使いを引き受けるが、菓子箱の中には札束が入っていて――。
九条開発に贈賄疑惑!?運命の社長選まで残り1週間……密子は九条開発の不正を暴けるか!?
裏帳簿の裏付け捜査をする智(清水尋也)と彩(吉柳咲良)は、夜、1人である店に入った玲香(志田彩良)が男にお金を渡している場面を目撃。その男はすぐに店を出るが、玲香は1人残ってヤケ酒をあおるように飲み続け……。泥酔状態の玲香を介抱する智と彩は、玲香を今井家に連れて帰り、夏が作った肉じゃがを勧める。嫌がりながらも空腹に耐えきれず、肉じゃがを頬張る玲香。母・美樹の手料理を食べたことがない玲香にとって、夏の肉じゃがは優しい味で……。「お礼は言わないから」と意地を張る玲香に、夏も「いりませんよ、そんなの。玲香さんは一応、社長争いのライバルですし」。すると玲香はつぶやくように、「私は別に、社長になりたいわけじゃないのよ」。代々女系家族の九条家にとって、遥人は待望の男の子。美樹の愛情を一身に受けてきた遥人の横で、実は常に寂しい思いをしてきた玲香……。
しかしその翌日、玲香は窮地に立たされる。九条開発の社員たちのメールに、玲香が店で男にお金を渡している写真が一斉に送られたのだ。その男は仲介業者で、玲香は男を通してSNSのフォロワーをお金で買っていた。さらに、会社のお金を私的に流用していたことも発覚。社内では玲香に対する批判の声が噴出し、玲香は社長選の立候補を取り下げざるを得ない状況に追い込まれてしまう……。美樹から「今後は遥人の協力に回って」と告げられ、茫然自失の玲香。そんな玲香に、美樹が「もうすぐ誕生日でしょ」と、プレゼントのネックレスを渡す。「ずっと一人にさせてごめんなさい。これからはちゃんとそばにいるから」。美樹の言葉がうれしい玲香は「……お母さん」と涙を流し……。
千秋は美樹から再び紙袋とメモを渡され、お使いを頼まれる。それが賄賂だと分かっている千秋は躊躇するが、千秋の迷いを見透かしたように、「明日、遥人と食事してらっしゃい。お店は予約しておいたから」と美樹。遥人との食事に釣られた千秋は断り切れず、紙袋を届けてしまう……と、「お使いですか?九条家の」……密子に見つかって……。警察に通報されてしまうと思った千秋は「通報するの、もう1日だけ待ってくれない?」と密子に頼み込む。夢だった遥人との食事だけはどうしても叶えたいと言う千秋……。
翌日、夏は、社内で肩身が狭くなった玲香に手を差し伸べる。「私たちと手を組みませんか?」。このままだと、遥人が社長になったとしても玲香が表舞台に立つことはない、でも自分が社長になった暁には副社長の椅子を用意できる。玲香の行動力や発信力や人脈は、きっと夏の力になるはず。「どうか力を貸してください。あなたが変われば、世界は変わります」――。しかし、自分の不正を暴露したのが今井家の人間だとにらむ玲香は、「誰があんたらの施しなんて受けるか!」と夏の誘いを突っぱねる。
すでに警察に通報されてしまったと思って落ち込む千秋に、夏は「通報してませんよ。できないと言ってました、密子さん」。通報すれば九条家を追い込めるが、千秋の人生も台無しになってしまう、それだけは出来ない……そんな密子の思いを知り、千秋の心は揺れ動く。一方その頃、密子は遥人の元に押し掛け、千秋との食事を断ろうとする遥人に、「今夜、千秋さんとの食事に行ってください。千秋さんは、あなたとの時間を楽しみにしているんですから。せめて今日だけは、誠意をもって向き合ってあげてください」――。
遥人との食事を終えた千秋は、翌日、意を決して美樹と対峙する。相変わらずお使いを頼んでくる美樹に、「お断りします。だってこれ、賄賂ですよね?」。いくら遥人のためとはいえ、そんなものを運ぶわけにはいかない、と逆らう千秋。そこへ、密子と夏が五十鈴を連れて現れる。千秋は「会長、私は美樹さまの指示で、これまでに数回、この紙袋を運んでいました」と美樹の不正を訴えるべく菓子箱を開けてみせる……が、箱の中身は、ただのお菓子だった……!言葉を失う千秋と密子。そんな2人をあざ笑う美樹は、一気に畳みかけるチャンスとみて、「今すぐに採決を取りませんか?」と、役員たちを集めて社長選を始める。「では皆さん、九条開発、次期社長について、九条玲香が適任と思う方」――大方の予想通り、手を挙げる者は誰もいない。「では次に、今井夏が適任と思う方」――挙手したのは荻野目(石井正則)1人だけ……と思ったその時、玲香の手が挙がる。驚く美樹に、玲香は「お母さんのスマホの中を見たら、こんなメールを見つけた」――それは、玲香と男の密会写真が載ったメール。玲香の不正を暴露したのは今井家ではなく、美樹だったのだ。「私を売ったのね。遥人を社長にするために」と憤る玲香は、プレゼントのネックレスを引きちぎり、「地獄に落ちろ」――。すると玲香派の役員たちも次々と手を挙げ、夏の支持者は5人に。対して遥人の支持者も5人。五十鈴だけはどちらにも手を挙げずに、じっと情勢を見守っていて……。かくして社長選は再び持ち越しとなり、密子は“してやったり”とほほ笑むのだった。
翌日、九条家に逆らったことで秘書室をお払い箱になった千秋が、夏たちのいる地下倉庫にやってくる。落ち込んだ素振りもなく、遥人のことも吹っ切れたと言う千秋。「新しい推しもできたしね」と、バッグの中から取り出したのは、密子のアクスタで……。
そんな中、事態は急展。前社長・謙一が亡くなった件について、警察が殺人の線で再捜査を始めたというのだ。そしてなんと、夏にその疑いの目が向けられて――!