「お姉ちゃんを殺した犯人を、必ず見つけるから」――。姉を苦しめた九条家から社長の椅子を奪い取り、夏(松雪泰子)を九条開発の新社長に就かせることに成功した密子(福原遥)。あとは、夏の社長としての権限を利用して、姉の命を奪った火災事故の真相を突き止めるだけ――。
夏が社長に就任したことで、今井家と九条家の立場は完全に逆転。それまで借家住まいだった今井家には九条の屋敷が与えられ、智(清水尋也)も彩(吉柳咲良)も社員たちから一目置かれる存在に。一方、遥人(上杉柊平)と玲香(志田彩良)は屋敷を追い出され、社内でも肩身の狭い地下倉庫に追いやられてしまう。息子を社長にできなかった美樹(渡辺真起子)はショックでホテルに引きこもり、会長の五十鈴(小柳ルミ子)も引退の意向を固めたようだ。
生まれ変わった九条開発の第一歩として100周年記念プロジェクトの成功を誓う夏に、密子は「もう一つ大事なことが」と、火災事故の調査チームの立ち上げを求める。警察にも再調査を依頼すれば、火事の真相は必ず明らかになるはず。「覚悟してくださいね遥人さん」――火事を起こした疑いのある遥人に宣戦布告する密子。
ところがその直後、大切な姉の日記が何者かに盗まれ、密子のアトリエもめちゃくちゃに荒らされてしまう。さらに、今まで共に闘ってきたはずの夏が急に態度を裏返し、「密子さんは、この会社の方ではないですし」と密子を部外者扱い。密子は盗難の犯人捜しをさせてもらえず、九条開発を追い出されてしまう――。
社長になった途端、夏が態度を豹変!?火事の真相を突き止めようとする密子を蚊帳の外に追いやる夏の真意は……!?密子VS夏!新展開の第8話!!
夏のプロジェクトチームに遥人が加わった!?密子は会議室に乗り込み、「どういうことですか?」と夏を問い詰める。よりによって姉を殺した疑いのある遥人を、なぜ……。憤る密子に、「遥人さんの経験が必要ですから」と平然と答える夏。密子は返す言葉もないまま、会議室を追い出されてしまう……。
遥人から話を聞くことができなくなった密子は、留置場の坂東(黒羽麻璃央)を訪ねる。半年前の火事について坂東は、リゾート計画を考えていた小宮山議員が遥人をそそのかしたのではないか……と臆測を立て、「大事なのは、あの火災事故で、一番得をしたのは誰なのか?ということです」と意味深な言葉を残す。
坂東の見立て通りなら、遥人と小宮山は今もつながっていて、遥人は夏のプロジェクトを乗っ取るためにプロジェクトチームに加わったのかもしれない……。しかし、真相を確かめようにも、夏は忙しいことを理由に火災事故の調査チームを立ち上げる気配すらない。夏が社長になって火事の真相に近づけると思ったのに、どんどん真相から遠ざかっていくことに歯がゆさを感じる密子。
そんな密子の元に玲香から思いがけない情報が届く。「遥人、これから小宮山先生と会うみたいよ」――急いで現場に駆け付ける密子。すると遥人は、小宮山が雇ったチンピラたちに袋だたきにされていた。訳も分からず助けに入った密子に、遥人は火事の日のことを話し始める。「火事の話は、小宮山先生から持ち掛けられたんだ。地上げのために、手を貸すと言われて」……しかし当日になって思い直した遥人は、放火を中止するよう小宮山に伝え、それだけでは不安で現場にも行ってみたという。「夏社長のご主人が目撃したのは、その時の俺だろう。だからって俺はご主人を殺しなんかしないし、もちろん火事も起こしていない」……ならば一体誰が火を付けたのか、遥人もそれを知りたくて先程のチンピラたちに確認したが、彼らは関与を否定。「あいつらは火を付けてない、それは間違いない」と断言する遥人は、「……あいつらに、もう1つ聞いたことがある。キミのお姉さんの日記のことだ」――日記を盗んで部屋を荒らしたことについて、無実のチンピラたちを問い詰めてしまった遥人は、彼らの怒りを買って袋だたきにされたのだった。「キミにとって、大事な物なんだろ」――遥人の優しさに、密子の心が揺れ動く。
傷だらけの遥人を手当てしようとする密子は、遥人の肩にある古傷が気になって触れようとする……と、遥人はそれを隠すように服を着て、「俺が小宮山先生に会おうと思ったのは、先生との関係を断ち切るためだ」。九条開発をクリーンな会社にすること……それが自分にできる最後の仕事と考えた遥人は、夏に退職の意向を伝えたが、引き留められたと言う。理由はプロジェクトのためだけではなく、密子のためでもあった……。夏は、密子が問題に巻き込まれないよう、小宮山から遠ざけてほしいと遥人に頼んでいたのだ。「すべて、キミを思ってのことだったんだろう」――夏の本当の気持ちが分かって安堵する密子。
ところが、九条開発に“ある荷物”が届いたことから、事態は急転。実は火事の現場には監視カメラがあったのだが、火事によって中のデータが破損していたため、前社長が業者に修復を依頼していた。そのSDカードがようやく会社に届いたのだ。しかし、映像を確認した夏は「何も映ってなかった」と言って、SDカードをゴミ箱に捨ててしまう。それを知った密子は、社内のゴミ袋を手当たり次第にあさり始める。たとえ何も映ってなかったとしても、この目で確かめたい――。すると、見つかったSDカードの中には、ハッキリと映っている映像があった。燃え盛る炎の中、助けを求める鞠子(泉里香)に背を向け、前社長だけを救い出す夏の姿が……。
密子は夏にSDカードを突き付け、「姉を、見捨てたんですか?」――。あの火事の時、地元に精通する介護センターの職員だった夏なら、倒れているうちの1人が九条開発の社長であることに気付いたはず。その上で、状況的にどちらか1人しか救えないと判断した夏は、前社長の命を選んだ……。結果、夏は九条開発に取り入り、新社長にまでなった。あの火事で一番得をしたのは、間違いなく、夏だ。「まさかと思いますが……工場に火を付けたのも、夏さんじゃないでしょうね?」。すると、密子の話を黙って聞いていた夏が静かに口を開く――「だとしたら?」。そう言って警備員室に電話をかけると、「不法侵入者です。すぐに警備員を」。驚き言葉を失う密子に、夏は悪びれる素振りも見せずに言い放つ……「最後に一つお礼を。密子さん――社長にしてくれてありがとう。今後一切、九条開発には関わらないでください。……出ていきなさい――本宮さん」。にらみ合う密子と夏――2人の戦いの行方は――!?