07/02/19 OA
SOS マナティを救出せよ
アメリカ・フロリダ州西沿岸部のクリスタルリバーは、
野生のマナティと直接触れ合えることが出来る、超人気スポット。
ところが、近年、マナティの数が激減しているという。
その原因は一体なんなのか?
調査の結果、マナティはモーターボートと接触し、
ボードのスクリューによって、体に深い傷を負っていることが判明した。
そこで、アメリカ政府は「マナティサンクチュアリ(聖域)」と呼ばれる保護区を設置。
その中に、ボートが立ち入る事を全面的に禁止したのだ。
ところが今度は、冬になると、ボートのスクリューとは違う
奇妙な傷跡があるマナティの遺体が次々に打ち上げられたのだ。
一体マナティに何が起きているのか?
本来、水温が低くなると生きていけないマナティは、
冬になるとフロリダ周辺を離れ、南に移動し温かい海域で生活。
夏がくると再び、フロリダに戻ってくるという回遊生活を送っていた。
しかし近年、フロリダ周辺に発電所が建設されて、
そこから温水が排出されるようになったため、マナティは回遊を止め、
冬でも、その周辺で暮らすようになったのである。
だが時折、エサを求めて、温かい発電所周辺から離れてしまうと、
冷たい海流にさらされ、「コールドストレス」という危険な状態に陥ることがあるのだ。
「コールドストレス」とは、通常の体温を保つ事ができなくなり、体の機能が低下、
お腹や尾ひれなどの皮膚がただれるといった、人間の『凍傷』のような症状が発生、
最悪の場合は死に至るというもの。
そこで、動物園関係者やボランティアが、マナティレスキュー隊を結成。
彼らは、フロリダ近辺の海をパトロールし、
コールドストレスによって衰弱したマナティを見つけると、
治療施設へ運んで治療を施し、完治すると安全な温かい海へと帰すのである。
フロリダ州野生動物保護局の調査によると、マナティ生息数は、
近年、徐々にではあるが回復の兆しを見せているという。
人々の努力によって再び数多くのマナティたちの姿をみられる日も、
そう遠くないことなのかもしれない。