<ケーキ>
ケーキがイギリスの一般家庭へ普及し始めたのは、1800年頃。
そのきっかけとなったのは、当時では画期的な道具「オーブン」の普及だった。
それまでは、直火やコンロで調理するしかなかった為、均一に温度が伝わらず、
ケーキ作りは至難のワザ。
さらに、当時のイギリスでは、砂糖は塊で売られていた為、
それを粉にする作業に労力を奪われ、ケーキを作るのに相当な時間がかかった。
ところが1860年頃、技術の進歩により、初めて粉砂糖が登場。
こうして、ケーキは身近な食べ物となったのだ。
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そして1927年、さらにケーキ作りが一般家庭に普及した大きなきっかけ…
それが、BBCのラジオ局の放送開始。
ケーキの作り方を教えてくれる料理番組がラジオで放送されると、
ケーキ作りが最先端でおしゃれな事だと、
女性達の間で大ブームとなったのである。
そして今では、フワフワでおいしいケーキが、
工場で大量に生産され、各家庭で手軽食べられている。
<パイ>
何層にも重なった生地を使った料理、パイ。
パイ包み焼きやミートパイなどの本格料理から、
こんがり焼けたタルトやミルフィーユといったデザートまで、その種類は実に様々。
本場イギリスでは、屋外でも気軽に食べられるパイは、
サッカー観戦に欠かせないと言う。
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しかし、中世ヨーロッパでは、パイは高級な食べ物。
鶏肉をはじめ、香辛料やドライフルーツなど、あらゆる食材が使われ、
貴族や聖職者の晩餐会を彩る、大変豪華で高貴な食べ物だったのだ。
貴族達は、自らの力を示すように何日もかけて城の形をしたパイや、
白鳥の飾りなど、芸術的で美しいパイを料理人たちに作らせたのである。
一方、庶民のパイの材料は、主に魚とフルーツといった、質素なもの。
それらは、公共のかまどを使って焼いていた為、
他の家のパイと間違わないように、ある工夫がされていた。
パイの表面に、例えば、ローズ家の場合はバラの飾りをつけるなど、
各家庭の目印がつけられていたのである。
また、イギリスで150年以上前から食べられているパイが「ポークパイ」。
1851年創業の老舗ポークパイ屋さんの作り方は・・・
パイ生地の中に豚肉をこれでもかと詰め込み、焼き上げた後、
パイに小さな穴をあけると、そこから豚のうまみたっぷりのブイヨンを流し込む。
こうして、焼く過程で豚肉が失った水分を補うことで、
うま味たっぷりのポークパイに仕上がると言う。
そして、イギリスで一番人気の牛肉パイ、「コーニッシュパイ」。
イギリス最大のパイメーカーの工場では、オートメーションにより、
なんと一週間で200万個のパイが作られていると言う。
さすがは、イギリスのナンバーワン、ソウルフードである。
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