世界まる見え!テレビ特捜部
07/12/03 OA
中国1200年 仁義なきコオロギの戦い

コオロギ格闘技、<闘蟋(とうしつ)>。
これは、コオロギ達の戦いで、中国ではおよそ1200年も昔から、
宮廷内の貴族達の娯楽として親しまれていた。
それがやがて、気軽に楽しめる遊びとして庶民にも定着し、
現在でも、1千万人を超える、熱狂的な闘蟋ファンがいると言われている。


その試合方法は、
まず、プラスチック製のリングに、対戦するオスのコオロギを入れ、
専用の棒で触覚を刺激。
こうして、闘争本能をかきたてたところで、仕切りをはずすのである。
実は、オスのコオロギは縄張り意識が強く、こうすることでバトルが始まるのだ。
そして、縄張り争いに勝ったコオロギは、勝どきの鳴き声をあげる習性がある為、
これが、試合の勝敗を見極めるポイントになる。
この闘蟋は、中国では毎年、チーム対抗戦による全国大会まで開かれているが、
決して高額な賞金がかけられているわけではない。
この伝統競技の頂点に立つこと、それが男たちの名誉であり、誇りなのである。


そんな過酷な全国大会を、何度も制したツワモノが北京にいた。
それが、ヤン・ウェイトウ。
彼は、今回の大会で勝てる、強いコオロギを手に入れるため、
コオロギの名産地、山東(サントン)省のネイヨウ郡に向かった。
ここは、黄河流域の湿り気のある大地と、涼しい気候によって、
屈強なコオロギがよく育つと言われている地域で
毎年、中国全土から100万人を超える人々が、コオロギを買いに訪れるのだ。
その売上げは、なんと14億円にも上るといい、
村の農夫達にとっては、まさに貴重な副収入!
強いアゴとキバ、踏ん張りをきかせる為の後ろ足が太い、などの条件を
全て満たした最強クラスのコオロギになると、1匹10万円の値段で売れるため、
村の人達は夜通し、コオロギ探しに打ち込むのである。


そんな村で、試合用のコオロギを150匹購入した、ヤンさんは、
北京の自宅へ戻り、コオロギたちを飼育する。
実は、コオロギには「養盆(ようぼん)」と呼ばれる、個室の鉢があり、
その中には水入れ皿やエサ皿、さらには、コオロギ専用のベッドまで完備。
食事も、エビやカニの身をペースト状にした特製のエサを与え、
さらには、コオロギ専用のお風呂まで用意されているのである。


そして、全国大会の予選リーグの日。
試合会場となる北京の国立会館には、18チームのツワモノ達が集結した。
その中には、北京チームを率いるヤンさんの姿が。
まず、コオロギたちは量りにかけられ、厳正な体重測定が行われる。
そして階級別に、ライト級、ミドル級、ヘビー級と分けられ、
1チーム7匹のコオロギによる対抗戦が行われるのだ。


その試合では、数々の技が繰り広げられる。
まずは、「打撃」。間合いをつめると、頭で一撃。
続いて、アゴの力だけで投げ飛ばす「投げ技」。
さらには、アゴを使っての「絞め技」など、
我々の想像を超える、壮絶な死闘が繰り広げられているのだ。


ヤンさん率いる北京チームの第1試合は、天津(テンシン)チームとの対戦。
すると、北京チームのコオロギが豪快な投げ技で、見事な勝利。
その後も順調に勝ち星をあげ、北京チームは決勝大会進出を決めた。
数週間後、決勝リーグに挑んだ北京チーム。
1回戦は、驚異的な強さで圧勝したが、
2回戦で、優勝候補である蘇州(そしゅう)チームに敗退。
ヤンさん率いる北京チームは、惜しくも3位という結果に終わってしまったのである。


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