08/03/17 OA
変幻自在 びっくりイカWORLD
自然豊かなインドネシア・バリ島を訪れたのは、
コウイカの世界的権威、マーク・ノーマン博士。
ノーマン博士は、ここで、「コブシメ」と呼ばれるコウイカが、
どうして、ネオンサインのような妖しげな模様を出すのか、実験するという。
さっそく実験開始。
まず、生きている小さなカニをコブシメの目の前に置くと・・・
ためらうことなく、素早く捕食。
しかし、皮膚の色はほとんど変わらない。
そこで今度は、小さなカニの代わりに、大きなロブスターの模型を置いてみると・・・
これには、反応なし。
しかし、この模型を、まるで生きているように博士が動かし始めると・・・
コブシメは、妖しげな模様を見せたではないか!
実は、この模様、色素胞(しきそほう)と呼ばれる特殊な細胞を
大きくしたり小さくしたりして作り出しているもの。
しかも、この能力を狩りに使うのは、確認されているイカの中では
コブシメだけだと言う。
今回の実験で、コブシメは獲物が大きい場合や、動きが早いときにのみ
模様を浮き立たせて、相手を威嚇し、捕食する習性が明らかになったのだ。
次にマーク博士が向かったのは、沿岸部の砂地。
すると海底で、お目当てのコウイカを発見。
胴の長さが、わずか5cm程しかない、小さな「ミナミハナイカ」である。
このミナミハナイカが持つ特殊能力は、
大きい敵がくると、突如、全身に不気味な黄色と白黒の
まだら模様を浮かび上がらせること。
実は、ミナミハナイカは、自然界で毒を感じさせる危険な色に身を包む事で、
数十倍も大きな敵から、自分の小さな体を守っているのだ。
だがコウイカが体の色を変えるのは、何も狩りや身を守る時ばかりではない!
オーストラリア南部 スペンサー湾。
5月の終わりになると、年に一度、
ここに、世界最大のコウイカである「オーストラリアコウイカ」が
繁殖のために大集合する。
オスの体長は、最大でおよそ1m。
彼らはその自慢の体に派手な模様を浮かべると、
近づいてきたオスを威嚇しながら、縄張り争いを繰り広げ、メスにアピール。
だが、中にはとっておきの裏ワザで、メスにアピールする賢い輩もいる!
その技とは、なんと、女装!
体を小さく縮めて、メス特有のまだら模様を浮かべると、
大きなオスたちが牽制し合う集団のすぐ目の前を悠然と通りながら、
岩底に隠れている本物のメスに近づき、隙を見て交接してしまうのである。
およそ5億年前に貝から進化したコウイカの仲間たち。
彼らは、これからもその賢い頭脳を武器に、更なる進化を遂げることだろう。